気軽に効率よく掃除できるとあって、スティック型のコードレス掃除機が大人気だが、最近は、キャニスター型にもコードレス式が登場している。コードレスのキャニスター掃除機とは、どんな存在なのか? 特徴と使い勝手を検証してみよう。
キャニスター型なら家の中を自在に動き回れる
バッテリーで駆動するコードレス掃除機は、掃除のたびに電源コードをコンセントに抜き差しする手間がかからず、すぐに掃除を始められるメリットがある。最近は、新製品が多数登場し、その手軽さも広く認知されてきている。
とはいえ、コードレス掃除機はスティック型が主力。高性能バッテリーや高効率モーターなどを搭載して、キャニスター型に比肩する吸引力を誇示するモデルもあるが、スティック型は、ずっと持ち続けていると意外と負担になる場合があるし、バッテリーの持続時間やダストカップの容量などを考えると、心もとない面があるのも事実。より丁寧に、しっかりと掃除したい場合には、キャニスター型のほうが安心感がある。
そういった声にこたえて登場したのが、キャニスター型のコードレス掃除機だ。キャニスター型は、家の中を引き回すことが多いが、コードがないことで動きも自在だし、テーブルの脚などにコードを引っ掛ける心配がないのもうれしい。
実は、両社は過去にもコードレスキャニスター掃除機を販売していたことがあるが、本格普及には至らなかった。今回、バッテリー性能が向上し、使い勝手も考慮された製品を投入。大きな注目を集めている。以下、シャープの2モデル(紙パック式、サイクロン式)と東芝の1モデル(サイクロン式)について見ていこう。
シャープはサイクロン式と紙パック式をラインアップ
シャープは、2013年にもコードレスキャニスター掃除機を発売したが、今回の新製品では、モーター、回路、本体構造などを一新し、常識を変える軽量化を追求。2013年モデルと比較して、メインモーターは54%、バッテリーは60%、電子回路は86%、本体シャーシは40%も軽くなっているという。
紙パック式、サイクロン式とも、パイプ部には、軽さと強さを兼ね備えた「ドライカーボン」を採用。これにより、本体重量1.8キロ、手元重量1.1キロの世界最軽量を実現している。本体が軽いと、本体を持っての階段掃除などが楽になるし、手元も軽いので、高所の掃除などでも負担が減り、疲労感が少なくなる。
サイクロン式
■シャープ
EC-AS700
実売価格例:7万3150円
●サイズ/幅204mm×高さ230mm×奥行き390mm(スタンド収納時の高さ1200mm)●重量/2.9kg(本体のみ1.8kg)●集塵容積/0.25ℓ●電源/リチウムイオン電池●充電時間(バッテリー1個当たり)/約80分●運転時間(バッテリー1個当たり)/弱モード:約30分、自動エコモード:約20分、強モード:約8分●製品バリエーション/EC-AS500(6万2680円)
紙パック式
■シャープ
EC-AP700
実売価格例:7万3150円
●サイズ/幅194mm×高さ182mm×奥行き395mm(スタンド収納時の高さ1200mm)●重量/2.9kg(本体のみ1.8kg)●集塵容積/1.0L●電源/リチウムイオン電池●充電時間(バッテリー1個当たり)/約80分●運転時間(バッテリー1個当たり)/弱モード:約30分、自動エコモード:約20分、強モード:約8分●製品バリエーション/EC-AP500(実売価格例:6万2680円)
性能面では、大風量ターボファンと強力自走パワーヘッドによる高い集塵力に感心。ゴミの取りこぼしはほとんどなく、軽い力でスイスイ動いて、段差や壁際もスムーズに掃除できる。
バッテリーは着脱タイプで、2個同梱されている。常にフル充電しておけば、掃除中にバッテリーが切れても、もう一個のバッテリーに交換して、約60分(約30分×2=「弱」モード)の連続使用が可能だ。一般家庭のフローリングや畳なら、パワーは「弱」で十分なので、バッテリーを余計に使うことも少ないだろう。
ASシリーズは、遠心分離サイクロン式なので、ゴミ捨てはダストカップを外して行う。慣れれば問題ないが、ホコリの舞い上がりには注意したい。
紙パックを使うAPシリーズは、簡単で衛生的なゴミ捨てが可能。ホコリが舞い上がる心配がないので、花粉やハウスダストに敏感な人にはこちらがおすすめだ。
●バッテリー
EC-AS700
EC-AP700
●ゴミ捨て
EC-AS700
EC-AP700
大きな車輪により方向転換など取り回しが良好
東芝は、大きな車輪が目を引く、ユニークなフォルムを採用。旋回性に優れるのでスムーズに方向転換ができ、狭い場所でも楽に掃除できる。
また、進行方向を逆転させても本体がくるりと反転し、ひっくり返ったまま掃除を続けられる「ダブルフェイススタイル」になっていて、取り回しがとても軽快。コードレス化が、このような使い方の革新にまでつながるのはおもしろい。
コードレス式なのに、キャニスター型に求められる便利機能を犠牲にしていない。軽いタッチでスイスイ進む自走式ヘッドは、グリップを振るだけで向きが変わって快適。ゴミがあるとランプがつく「ゴミ残しまセンサー」や、暗い場所をLED光で照らす「ワイドピカッとライト」、静電気の発生を抑えてゴミ離れをよくする「Agブラシ」、ヘッドを浮かせると一時停止する「節電ストップ機能」など、機能が充実していて満足度が高い。
バッテリーは内蔵タイプで、フル充電で連続約60分運転可能。ダストカップは大きめだが、構造が複雑で、ゴミ捨てや手入れには少々戸惑うかもしれない。
手軽さを望むなら、ゴミが自動で排出できる姉妹機、VC-NXS1(ダストステーション付属)にも注目したい。
サイクロン式
■東芝
VC-NX1
実売価格例:10万2470円
●サイズ/幅261mm×高さ185mm×奥行き234mm(収納時の高さ1100mm)●重量/4.2kg(本体のみ2.8kg)●集塵容積/0.4ℓ●電源/リチウムイオン電池●充電時間/約5時間●運転時間/標準:約60分、おまかせ:約20〜30分、強:約7分●製品バリエーション/VC-NXS1(11万6640円)=ダストステーション付属
●可動式本体ハンドル&ダブルフェイススタイル
●充電
●ゴミ捨て
東芝機にはダストステーション付きモデルも登場!
■東芝 VC-NXS1
実売価格例:11万6640円
キャニスターとスティックの一長一短を見極めよう!
スティック型が大人気のコードレス掃除機だが、キャニスター型の投入により、市場はさらに盛り上がりそうだ。
ただし、両タイプはそれぞれに一長一短があるため、一言でどちらがいいといえるものではない。例えば、床がフローリング中心で、気になる場所をササッと掃除したいならスティック型が向くし、部屋数が多い戸建て住宅などで、時間をかけてしっかりと掃除したいならキャニスター型が向いている。
自分の使い方を考慮して、最適なタイプを選ぶようにしたい。
監修/中村 剛
◆Profile/「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権で優勝の実績を持つ家電の達人。家電製品総合アドバイザー、消費生活アドバイザー。東京電力「くらしのラボ」所長。現在、暮らしに役立つ情報を動画(Facebook)で配信中。
https://www.facebook.com/LifestyleLaboratoryTEPCO
取材・執筆/市川政樹(テクニカルライター)
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