知ってるとためになる家電とIT用語の基礎知識(5)

テレビ

家電やITの世界では、さまざまな新製品や新サービスが登場しているが、そういった新しい「モノ」や「コト」を理解するうえで知っておきたいキーワードがたくさんある。そこで、現代を象徴する必須用語の基礎知識をわかりやすく解説していこう。
基礎知識(1)
基礎知識(2)
基礎知識(3)
基礎知識(4)

8Kテレビ/有機EL/VR/AR/MR/UHDBD/スカパーハイブリッド/AbemaTV/全天球カメラ/インスタ映え/ドローン規制

8Kテレビ

家庭用テレビの高精細化のゴールといわれているのが8K。今年12月には、衛星を用いた実用放送がスタートする予定だ。

画面の横×縦の解像度が、7680ドット×4320ドットとなる超高精細なテレビが8Kだ。横の解像度である7680ドットが約8000=8K(キロ)と表せることから、通称「8K」と呼ばれている。

どれくらい高精細かというと、画素数比でフルHD(1920ドット×1080ドット)の4倍が4K(3840ドット×2160ドット)、4Kの4倍が8Kとなる。デジタルカメラと同じく、画素数が多いほど、細部まで鮮明に表示できる。

フルHD(1920ドット×1080ドット)の4倍の解像度を持つのが4K(3840ドット2160ドット)。8K(7680ドット×4320ドット)になると、フルHDに比べて実に16倍の高精細な映像を見ることができる。

8Kは、NHKが究極の臨場感をもたらす「スーパーハイビジョン」として開発し、全世界的な規格として認められている。家庭用を想定した場合、スペース的に100V型程度のサイズが実用最大限となるため、それに見合う高精細化のゴールは8Kと考えられているのだ。

今年の12月には衛星を用いた実用放送がスタートする予定で、2020年の東京五輪の中継では、8K放送も充実する見通し。

製品としては、シャープが世界で初めて家庭用8Kテレビ「LC-70X500」(70V型/実売価格例106万9200円)を発売していて、8K放送対応チューナーが登場すれば(年内予定)、8K放送が視聴可能になる。

今後の高精細化は自然な流れで、普及はコストしだいだろう。

有機EL

液晶テレビの画質面での物足りなさを解消した有機ELテレビが大注目。普及が進めば、さらなる低価格化も期待できる。

薄型テレビの歴史は、プラズマ方式で幕を開けたが、その後、消費電力やコスト面に優れ、高精細化が得意な液晶方式が主流になるという道をたどってきた。

しかし、バックライトを液晶シャッターで遮って映像を照らし出す液晶方式には、原理的に動画の表示に適さない残像問題、斜めから見ると映像の見え方が変化する視野角問題、輝度ムラや黒浮きなどの弱点があり、画質面では今も課題を抱えているという点は否めない。

そこで、最近勢いをつけてきたのが有機ELである。有機ELは、光の3原色である赤、緑、青のサブピクセル一つ一つが独立して自ら光を放つ「自発光」が特徴で、完全な黒の再現や、高コントラストで純度の高い色表現も得意なのだ。

現在、家庭向けテレビ用としては、LGが有機ELパネルを開発・生産・供給し、LG、ソニー、パナソニック、東芝が、55V〜70V型の大画面有機ELテレビを発売している。

有機ELパネルの生産も行うLGの55V型4Kテレビ「OLED55C7P」は、最高峰の画質と値ごろ感を両立したモデル。実売価格は、大手家電量販店で30万円程度。

どのメーカーの製品も、液晶タイプより圧倒的に高画質で、特に星空のように、黒い背景に小さな光が点在するような絵柄では、漆黒ときらめきが共存する高コントラストな映像美が堪能できる。

中でもLGの製品は、モデルによっては液晶テレビに近い価格で購入できる。また、大量生産に移行すると、さらなる低価格化も期待できるだろう。

時代は、もう有機ELだ。

VR/AR/MR

一まとめに扱われることも多いVR/AR/MR。具体的にどんなもので、どんな機器を使えば楽しめるのだろうか。

VR/AR/MRは、一まとめに扱われることも多いが、それぞれ別の技術である。

まず、VRは「バーチャル・リアリティ」の略で、「仮想現実」や「人工現実感」などと訳される。

VRで体験できる世界は、コンピューター上に作られた仮想の世界であり(現実の景色を撮影したものも含まれる)、ゲームなどのエンターテインメント分野や建築分野、旅行業界などで使われている。

これに対し、ARは、「オーグメンテッド・リアリティ」の略で、「拡張現実」と訳される。VRと違って、あくまで現実が主で、そこにCGによる追加情報が追加される形だ。簡易ARはスマートフォン単体でも可能であり、部屋の中に家具を自由に配置できるアプリやナビゲーション、メイクアプリなどで活用されている。

今後は、建築現場や施工進捗の確認や危険回避などにもARが利用されるようになるだろう。

MRは、「ミックスド・リアリティ」の略で、「複合現実」と訳される。仮想世界と現実世界を融合させた世界を作る技術で、ARをさらに発展させたものだ。

MRでは、現実の世界に重ね合わせたCG映像を、利用者が現実の物体と同じように自由に操れる。マイクロソフトは「HoloLens」と呼ばれるMRデバイスを開発しており、今後、さまざまな分野での利用が期待されている。

エイサーのMRヘッドセット「AH101」(実売価格例4万3880円)。Windowsパソコンと付属のモーションコントローラーでMRに没入できる。

UHDBD

4K映像が収録されたブルーレイがUHD BD(4K Ultra HDブルーレイ)。さまざまな作品が続々とソフト化されている。

4K映像の収録が可能になった新しいブルーレイが「4K Ultra HDブルーレイ」。「UHD BD」などと呼ばれることも多いが、業界団体が推奨表記として「4K Ultra HDブルーレイ」を掲げている。

ディスクの構造にかかわる基本技術はブルーレイと共通だが、動画圧縮コーデックとして、従来のブルーレイで採用しているH.264に対して約2倍の高効率圧縮が可能なH.265(HEVC)を採用し、4K化によって増大するデータ量を吸収している。

4Kの高精細映像をフルに楽しむには、対応ソフト、対応プレーヤー(レコーダーを含む)、対応4Kテレビが必要になる。

また、4K Ultra HDブルーレイでは、明暗をよりダイナミックに表現するHDRにも対応しているので、HDR対応テレビと組み合わせると、さらなる高画質で楽しめる。すでにHDR対応タイトルも多数発売されているので必見だ。

現在、4K/HDR映像を視聴できるメディアとしては、主に「4K Ultra HDブルーレイ」「放送」「インターネット配信」の三つが考えられる。

画質面では、データ量が豊富で安定した再生が可能な4K Ultra HDブルーレイが有利だが、コストや利便性も考慮すると、ネット配信が先行き有望といえる状況だ。

映像の業界団体・DEGジャパンのサイトでは、現在リリースされている4K Ultra HDブルーレイのタイトルを一覧することができる。

スカパーハイブリッド

BSとCSの番組を同一画面で選べるなど、スカパー!の利便性が大幅に向上。

これまで「スカパー!」は、BS放送衛星、110度CS通信衛星を用いた二つの放送サービスと、インターネット回線を利用し、視聴者の操作によってコンテンツを再生できるオンデマンドサービスを提供してきた。

しかし、同じ「スカパー!」でありながら、放送ではBSとCSの切り替えが、オンデマンドでは別のメニューでの操作が必要になるなど、使い勝手の面では決してユーザー本位のものとはいい難かった。

こうした状況を改善する取り組みが「スカパー!ハイブリッド」である。テレビリモコンの「dボタン」で番組表が起動し、BSとCSを切り替えることなく、同一画面に全番組を表示できるようになった。

過去に放送された番組も、対応番組であれば、番組表で選択するだけでオンデマンド視聴ができるなど、利便性の大幅な向上が期待できる。

そのほか、おすすめ番組の表示機能や、オンデマンド視聴の続きをスマートフォンやタブレットで視聴することができる点も新しい。

技術面では、インターネットを通じてデータをやり取りするHybridCastを利用しているので、「スカパー! ハイブリッド」を利用するには、HybridCastに対応したテレビが必要になる。

昨年末にサービスを開始した「スカパー! ハイブリッド」。対応テレビなどの情報もここで見られる。

AbemaTV

パソコンやスマホなどで視聴できるインターネットのテレビ局「AbemaTV」とは?

「AbemaTV」は、株式会社AbemaTVが運営しているインターネットテレビで、パソコンやスマホ、Fire TVなどで視聴できる。

ストリーミング形式で配信され、チャンネルごとに予定された番組表に従って配信されるため、従来のテレビの感覚に近い(登録されている番組を選んで再生するビデオオンデマンド方式ではない)。

20を超えるチャンネルがあり、視聴は無料。

録画はできないが、有料のプレミアムプランでは配信が終了した番組(一部の番組を除く)を視聴期限までの間、オンデマンドで視聴できるほか、「マイビデオ」として好きな番組を登録することが可能だ。

AbemaTVの番組表。ストリーミング放送なので録画はできず、テレビの感覚に近い。

全天球カメラ

撮影者の上下・左右全方位にわたる360度のパノラマ写真を撮影できるスティック型カメラが人気

180度を超える画角の魚眼レンズを背中合わせに2基配置することで、上下・左右全方位にわたる360度パノラマ写真を撮影できるのが「全天球カメラ」。

これに対し、レンズを1基だけ使用したものは「全天周カメラ」と呼ばれる。

全天球カメラの代名詞的存在が、リコーの「THETA」シリーズだ。二つの光学系を持つことで本体サイズが大きくなりがちなところを、THETAはレンズの配置を工夫することで薄型化。最新モデルでは、4K動画の撮影にも対応している。

全天球写真を見るには、専用のビューワーが必要。「フェイスブック」や「LINE」などでは、ユーザーが特別な設定をしなくても表示が可能だ。

二つの魚眼レンズを背中合わせに2基配置し、360度のパノラマ写真を撮影できるリコー「THETA」。

インスタ映え

「インスタグラム」で多くの人から注目を集める見栄えのする写真を撮ることに、みんなが夢中になっている。

「インスタ」とは、ユーザーが撮影した写真を投稿して共有し合うSNS「インスタグラム」のこと。「インスタ映え」とは、写真の見栄えがよく、「インスタグラム」で多くの人から注目を集める完成度であることを指す。

「インスタ映え」する写真の例としては、おしゃれな雑貨やおいしそうな料理、見たことのないような絶景などが被写体となったものが挙げられる。また、一目でインパクトを与える構図の写真でもいい。

誰もが「センスがいい!」とか「マネしたい!」と感じる被写体や構図であれば、「インスタ映え」する写真になっているというわけだ。

当初は若者(特に女性)言葉だった「インスタ映え」だが、現在は、一般にも浸透。

最近では、飲食店が料理の盛り付けに工夫を凝らしたり、自治体が観光客誘致のキャッチフレーズに使用するなど、「インスタ映え」を意識したPR手法も盛んになっている。

ドローン規制

ホビーからビジネスまで、幅広いシーンで使われるようになったドローンだが、運用には注意が必要だ。

ドローンとは、本来は無人航空機を指す言葉だが、最近はマルチコプターを指すことが多い。

ホビーからビジネスまで幅広く使われるようになったドローン。普及するに伴って、建物への衝突や落下などの事故が増えたことで、2015年12月に改正航空法が施行された。

改正航空法は、重量200グラム以上のドローンが対象で、空港周辺上空、人口集中地区上空、高度150メートル以上の空域については、無許可飛行はできず、国土交通大臣の許可が必要となった。

ただし、200グラム未満の小型ドローンでも、条例や重要文化財保護法などで飛行が規制されている場合もある。

人口集中地区がわかる国土地理院の地理院地図。

解説/鴻池賢三(AV評論家)/石井英男(テクニカルライター)/加藤 肇 (フリーライター)

※表示の価格は、記事制作時のものです。
※サービス内容は変更になる場合があります。

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