ハイレゾや配信全盛の今だからこそ輝く! カセットテープ&ラジカセの魅力

家電・AV

かつて誰もが夢中になったカセットやラジカセの人気が再燃している。ブームの立役者の一人であるデザインアンダーグラウンドの松崎氏が、その魅力を語る。

松崎順一:ラジカセを中心にレトロ家電の発掘、蒐集、整備、販売を行うデザインアンダーグラウンドを主宰。著書は「ラジカセのデザイン!」(立東舎)など。

カセットにはレコード以上に秘めた力がある

CDをはじめ、ハイレゾや配信といったデジタルオーディオが当たり前の昨今ですが、一方で、レコードやカセットといったアナログオーディオにも復権の動きが出ています。

特に、レコードはその動きが顕著で、CDの登場で一時は過去の存在となっていましたが、この7〜8年は、世界的にも返り咲きの現象が起きています。

欧米の最先端に位置するアーティストやクリエイターたちもレコードを熱く支持しています。彼らは異口同音に、レコードにはデジタルにはない「モノ」としての魅力があるといいます。

レコードでは、音楽を聴く前に、まずジャケットデザインを目にします。

現代の配信のように「試し聴き」なんて簡単にはできないので、ジャケットを見て、中に入っている音楽を想像して購入を決める「ジャケ買い」も普通です。

だから、大金をはたいて買ったものの、中身を聴いてがっかり、なんてことも少なくありません。しかし、この失敗があるからこそ、音楽を聴く情熱を生むのだと感じます。

デジタルでは、音楽を聴くのに失敗することはありません。数千万曲に及ぶ膨大な音源を試し聴きできますし、目当ての曲も一発で再生できます。ちょっと気に入らなければ簡単にほかの曲に飛ばせます。でも、こうして便利になればなるほど、聴く側の姿勢も空虚になっていく気がするのです。

レコードの場合、失敗したくないからこそ、真剣に選ばなければならない。盤に針を落としたら、あとは針がトレースを終えるまでじっくりと耳を傾けなければならない。傷やホコリがつかないように、モノとして大切に扱わなければならない。

こうした手間や不便さこそが、音楽を聴くうえでの「実感」につながるのではないかと思います。

こうした価値観は、カセットも共有していると思います。

カセットはレコードに続く形で、じわじわと人気が盛り上がってきました。昨今では、レコード以上に魅力を秘めたメディアとして、多くの人に再認識され始めています。

カセットテープの専門店が出てきたり、カセットで新譜を発表する音楽アーティストが増えたりしているのも、よく知られているところです。

ビンテージラジカセも魅力的な存在になった

ラジカセの新製品も続々出ており、家電量販店に足を運ぶと、ラジカセを扱うコーナーができています。実際、販売台数も伸びているようです。

ただ、さすがに全盛期のラジカセに比べると、最近の数千円から1万円台程度で販売されているラジカセは、物足りない点があるのは否めません。

現在、カセットのメカや部品を製造しているのは、大部分が中国です。その品質は、メーカーによって天と地ほどの差があります。

低コスト化の影響で部品は少なく貧弱で、耐久性にも疑問符がつくものが見受けられます。しかし、中にはある程度の品質を保持しているメーカーもあります。

私が主宰するデザインアンダーグラウンドでも、そんな高品質のユニットを使った、新しいラジカセの製作をクラウドファンディングで進めています。

また、カセットで聴いてほしい音楽を扱う「カセット専門レーベル」を8月に立ち上げるなど、一過性でなく、安定的にカセットを楽しめる環境を構築したいと思っています。

カセットは、オーディオの枠を超え、アート、ファッション、インテリアなどとコラボして、未来を盛り上げるツールになると実感しています。

1970年代以降のビンテージラジカセも、デジタル全盛の現代において、とても魅力的な存在となっています。下に紹介している4機種だけでなく、デザイン、音質ともに、時が経過しても色あせない魅力を存分に湛えた名品、迷品、珍品が多数存在しています。デザインアンダーグラウンドでは、今後もこれらのラジカセを整備して販売し、さまざまな人にその魅力を知ってもらいたいと思っています。

これからの時代に目指すのは、アナログとデジタルの共存です。古いモノの価値観の向上と、デジタル技術の向上があってこそ、世の中はもっと楽しいものになると確信しています。

松崎順一氏が推薦!
今でも比較的入手しやすく、音質もいい黄金期のラジカセ4種

1982年発売
シャープ
GF-1000
(THE SEARCHER-W)
●サイズ:幅75cm×高さ38cm

当時の大型機の中でも群を超えた音量で世界を驚嘆させたシャープ・サーチャーの最高峰が、このGF-1000。現在、1000の入手は難しいが、兄弟機GF-909/919などでも、その実力を体感できる。

1979年発売
ビクター
RC-M70
(METAL CASSETTER)
●サイズ:幅57cm×高さ31cm

メタルカセットテープの登場とともに誕生したビクターの中型ステレオモデル。中型とはいえパワーは大型機並みを誇る。当時のラジカセの魅力を存分に楽しめる機種だ。

1982年発売
サンヨー
MR-V9
●サイズ:幅46cm×高さ15cm

横長のスタイルが特徴的なサンヨーの代表作であるU4(ユーフォー)シリーズの上位モデル。コンパクトなサイズながら質感がよく、音のクオリティも高い。高級感すら漂う名機だ。

1976年発売
ソニー
CF-1980mk2
(STUDIO 1980)
●サイズ:幅38cm×高さ24cm

ソニーのモノラル機の中でも名作中の名作といえるCF-1980シリーズの2代目。デザインも洗練され、短波も受信できる。ラジカセ好きなら一台は手にしておきたいモデルだ。

解説/松崎順一(家電蒐集家)

写真提供:立東舎/リットーミュージック

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