おすすめ軽キャンピングカーは【かるキャン】裏側まで全て見せます 超人気の軽キャンパー開発秘話

スポーツ・アウトドア

日本独自の自動車規格である軽自動車をベースに使ったキャンピングカー「軽キャンパー」が、シニア層やアウトドア愛好家などを中心に支持を集めている。その中でもコイズミの「トランスフォームキャンパー かるキャン」は、走行時と車中泊時で形を変えるユニークな機構を搭載し、人気となっている軽キャンパー。製品の開発担当者に企画・開発の経緯や裏側などを訊いた。

車中泊時には家の形にトランスフォーム!日本独特の車文化を象徴する軽キャンパー

キッチンをコンパクトに設計し、居住スペースを広くとった新バージョンの「かるキャン コンビ」。

<キーパーソンはこの人>
株式会社コイズミ
カルコア事業部 取締役事業部長
萩原祐樹さん

キャビンの変形機構はタバコの箱のフタを見てて思いつきました。

200万円台から買える手軽さが魅力

軽自動車をキャンピングカーに仕立てた「軽キャンパー」が、シニア層やアウトドア愛好家を中心に人気を集めている。

軽キャンパーの魅力は、何といっても購入のハードルの低さにある。キャンピングカーというと、車両価格600万〜800万円以上というのが一般的だが、軽キャンパーは200万円台から購入可能。

税金や保険料、ガソリン代といった維持費も安く抑えられる。また、車体サイズがコンパクトなため、車庫入れや市街地での運転も楽だ。

軽キャンパーは現在、各社からさまざまな車種が発売されているが、中でも独自の存在感で人気なのが、コイズミの「トランスフォームキャンパー かるキャン」(以下、かるキャン)だ。

「かるキャンの最大の特徴は、走行時や通常の駐車時には箱型でありながら、車中泊時には家のような形になる変形機構です。これにより、軽キャンパーの弱点である室内空間の狭さを解消しており、大人でも立ち上がったり寝返りを打つことができるスペースを実現しています」

こう話すのは、かるキャンの企画・開発を手がけた同社カルコア事業部の宮田芳孝さん。

開発のきっかけは、今から10年ほど前に、同社社長から新製品の開発を進めるようにいわれたことだったという。

当時、個人的に軽キャンパーに興味を持っていた宮田さんは、同社の主力製品の一つであるゴム製タイヤチェーンの耐久テストで訪れた夏場の北海道で、キャンピングカーに乗って旅をする中高年夫婦を数多く目撃。軽キャンパーの市場は拡大するはずだと感じて、独自の製品開発を模索し始めた。

「かるキャンの肝である変形機構は、タバコのボックス型パッケージのフタ部分がヒントになっています。このアイデアを思いついたときは、すぐにバルサ板を買ってきて試作品を製作。社長にプレゼンして1000万円の予算を手に入れ、開発をスタートさせました」

その後、開発費用が予算を大幅オーバーしてしまったものの、無事に製品は完成。2009年9月の関西キャンピングカーショーで初お披露目され、2010年2月に発売。ユニークな変形機構は大きな注目を集め、2010年度のグッドデザイン賞も受賞している。

軽自動車とは思えないほどの広々とした居住性。窓も多く、明るくて開放的なキャビンに感動!

まず、車の右後部にあるスタビライザージャッキを降ろして車を安定させる。

ウインチでキャビン全体を斜め上方向に上げていくと、三角屋根の状態になる。あとは拡張部屋を手前に引っぱり出し、そこに屋根を降ろせば、ステイモードの完成。

ニューモデル「かるキャン コンビ」のキャビン内部。従来モデルよりもギャレー(キッチン)をコンパクトにして、そのぶん居住空間を広く取ってある。

リビングスペースには対面・対座式のソファーがあり、間に収納式のテーブルが設置されている。このソファーとテーブルは、就寝時は大人がゆったりと横になれるベッドになる。

実際に体験してみると想像以上に快適な空間

かるキャンのベースとなる車両は、5速オートギアシフトのスズキ「キャリイ」。軽トラックの荷台にFRP(繊維強化プラスチック)製のシェルを載せた、いわゆる「キャブコンバージョン」タイプのキャンパーだ。

変形機構はこのシェル部分に搭載されている。ドライブモードから車中泊用のステイモードにすると、室内の高さは820ミリ、幅が695ミリもアップ。室内空間は約2.5倍となる。

「ドライブモードからステイモードへの切り替えはウインチを回して屋根を上げ、車両右側の拡張壁を引き出すだけ。力は必要ありませんし、どんなに不慣れな人でも数分でセットが完了します。スタビライザージャッキを搭載しているので、車体の安定性も確保されています」

通常のドライブモード(左端)からステイモード(右端)への変形プロセス。まず屋根を上げ、拡張部屋を引っ張り出し、最後に拡張部屋の上に屋根をゆっくりと降ろす。作業にはウインチを使うので、力は必要ないし、時間もそれほどかからない。

今回の取材では「かるキャン ロフト」というモデルの室内空間を体感したのだが、車の中で立ち上がることができるというのは、想像していた以上の快適さだった。

また、天井や壁部分の窓からは風や光が入るため、閉塞感はまったくない。

ギャレーや電源周りなど必要十分な装備もあり、これならば、長期の旅行も可能だと感じた。

「かるキャン」内部の広さに感動するライター・加藤。余裕で立ち上がれるので、料理をしたり、服を着替えたりするのも楽々。

※外装や内装のデザインなどの仕様は「かるキャン」のモデルによって異なります。

ギャレー上部には電動蛇口付きシンクを装備。下部には給水タンクと排水タンクが収納されている。

ただ、シェルにはエアコンがないため、夏場の室内温度は気になる。

宮田さんのおすすめは、同社が販売する「トランスクール EC3」というオーストラリア生まれのポータブルクーラーだ。

シガー電源で使用でき、本体に水を入れるだけで送風口から冷たい空気が出る仕組みになっており、気温32℃の環境では、24℃のミスト風が吹き出すとのことだ。

水を使って冷たく爽やかなミスト風を発生させる「トランスクール EC3」(3万9852円)。幅220ミリ×高さ220ミリ×奥行き240ミリ・1.5kg。

4人家族でも使えるツー・イン・ワンモデル

さて、かるキャンで軽キャンパーに革新をもたらしたコイズミだが、現在は、そこから派生した製品も販売している。

その一つが、ルーフテントとサンルーフを組み合わせた「ツー・イン・ワン システム」。ユーザーが使用中の車にサンルーフを追加し、そこから車上に設置したルーフテントへの出入りを可能にする仕組みだ。

「ツー・イン・ワン システムの利点は、ユーザーが好みの車を選べることです。また、車内からルーフテントに直接アクセスできるため、車外にハシゴを設置しなくても済むので、SAや道の駅でも使えます(※)。後付けするサンルーフは車検適合しているので、車両の構造変更を行う必要もありません」

※高速道路のSA(サービスエリア)や道の駅の駐車場では、ハシゴの利用は禁止されている。

既存の車にテントを設置する「ツー・イン・ワンシステム」やそのシステムを生かした「デッキクルーザー」も人気

ツー・イン・ワンシステムのルーフテント設置は、ルーフキャリアを介して行う。

さらに、ツー・イン・ワン システムを採用した「かるキャン デッキクルーザー」もある。

これは、ベース車としてダイハツの「ハイゼット デッキバン」を使用。リアデッキをウッドデッキ仕様に変更し、車両後部をくり抜いてスライドドアを設置することで、車内とデッキ間のウオークスルー構造を実現した軽キャンパーだ。

「かるキャン デッキクルーザー」(218万円〜) は、ダイハツのハイゼット・デッキバンがベース。

「かるキャンは2人乗りのため、ユーザー層は中高年夫婦がメインです。ところが、市場には家族みんなで出かけたいというニーズもあり、これには4人乗りのキャンピングカーが必要。ツー・イン・ワン システムも、かるキャン デッキクルーザーも、このニーズにこたえるために開発した製品で、現在はこちらが売れ筋になっています」

軽キャンパーは、日本独自の自動車規格である軽自動車と、日本のモノ作りが得意とする創意工夫が組み合わさって生まれた製品カテゴリー。ユーザーの要望を取り入れて進化を続けており、独特の文化を醸成しているのが興味深いところだ。今後も、個性豊かな製品が登場することを期待したい。

サンルーフで車内とテントを一体化。雨や虫などが入らないようにすき間も埋める。

リアデッキカーテンを装着すれば、デッキに置いた荷物を風雨から防げる。

リアデッキにハシゴを立てて、ルーフテントに出入りすることもできる。

リアデッキにオプションのキッチンセット(10万8000円・税抜)を設置できるなど、拡張装備も充実。

軽キャンパーは、日本独自の自動車規格である軽自動車と、日本のモノ作りが得意とする創意工夫が組み合わさって生まれた製品カテゴリー。ユーザーの要望を取り入れて進化を続けており、独特の文化を醸成しているのが興味深いところだ。今後も、個性豊かな製品が登場することを期待したい。

【Memo】
かるキャンは発売以来、改良や仕様変更を重ねて進化してきた。宮田さんによれば、「現在、ゼロからの開発を前提としたさらなる進化を構想中です」とのこと。今後の展開にも注目だ。

●SPECIFICATION
【かるキャン ロフト】●標準価格/228万円〜●ベース車両/スズキ キャリイ(5AGS 2WD)●車両サイズ/ドライブモード時:全長3395mm×全高1930mm×全幅1475mm、ステイモード時:全長3395mm×全高2860mm×全幅2090mm●室内サイズ/ドライブモード時:長さ1780mm×高さ1280mm×幅1275mm、ステイモード時:長さ1850mm×高さ2100mm×幅1970mm

インタビュー、執筆/加藤 肇(フリーライター)

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