定番「左右一体タイプ」のブルートゥースイヤホン10モデルを試聴比較!

家電・AV

「完全分離タイプ」が話題のブルートゥースヘッドホンだが、左耳、右耳用のユニットを1本のケーブルでつなぎ、ケーブルの途中にリモコンが配置される「左右一体タイプ」も、オーソドックスな構造ながら、人気が高い。機種数が多く、価格帯もさまざまで、選択肢は豊富だ。ここでは、注目の10モデルの音質、装着感、操作性、機能性をチェックした。

【プレーヤー】
Astell&Kern・SP1000(主にaptX再生)
アップル・iPhone6(主にAAC再生)
ソニー・NW-ZX300(主にLDAC再生)
【採点項目】
●声の再現性:男性、女性の声の明瞭度、ニュアンス、ボディ感の再現性
●帯域バランス:ベース、ピアノ、バイオリンと、各楽器のスケール感に着目
●デザイン・装着感:実際に装着したときのデザイン性、バランス、安定感など
●操作性:装着状態で音量の調整、曲再生などの操作のしやすさ
●付加機能:コーデックの対応、NCの有無、アプリ連動機能など。

耳のくぼみに収まる小型ボディ。ストレスのない聴き心地

オーディオテクニカ
ATH-CKS550XBT
実売価格例●8590円

ワイヤレスでも多彩なラインアップを擁するオーディオテクニカの中で、低音の再現性を強化したSOLID BASSシリーズのエントリー機。

9.8ミリ径の専用ドライバーと大口径の音導管の組み合わせにより、ワイドレンジ再生にチャレンジしている。耳のくぼみにすっきりと収まる小型ボディで、装着時の安定感は良好。

AACでの再生は落ち着いた端正な仕上がりで、特に低音をブーストしている感じはない。どちらかといえば甘口の聴かせ方で、情報量ではなく、全体の雰囲気で楽しませるタイプ。大音量の再生には向かないが、ストレスのない聴き心地のよさはなかなか魅力的だ。

●対応コーデック/AAC、SBC ●防水・防塵/─ ●連続再生時間/7.0時間

IPX4対応の防水モデル。サウンドは低音を持ち上げた音作り

ラディウス
HP-N300BT
実売価格例●8610円

ハイレゾ音源再生アプリなども手掛けるラディウスの最新モデルで、磁束密度を高めるHigh-MFD構造の大口径ドライバーを組み込んだPure Standard Wirelessシリーズの上級機。ドライバーは13ミリ径のダイナミック型。IPX4相当の防水処理が施され、ランニングやエクササイズなど、スポーツユースにも対応できる。

装着は耳にまっすぐ挿し込むタイプで、イヤピースの装着位置が調節可能(2段階)。コーデックはaptXとAACに対応。

AACの再生では低音をやや持ち上げて、高域をキリッと聴かせるというドンシャリ傾向の音作り。ビブラートの描写はやや大味。

●対応コーデック/aptX、AAC、SBC ●防水・防塵/IPX4 ●連続再生時間/9.0時間

フィット感がよくコードも絡みにくい。音の鮮度や勢いが良好

Sudio
VASA BLA
実売価格例●1万520円

スウェーデンのライフスタイルブランド、Sudio(スーディオ)から送り出されたブルートゥースイヤホン。

ユニットは10.2 ミリ口径のダイナミック型。アルミと複合素材からなるユニットは、小さくてシンプル。装着時のフィット感は良好で、安定感もある。コードはきしめん状のフラットタイプで絡みにくく、タッチノイズもあまり気にならない。

見るからにデザイン志向の高いモデルだが、音の鮮度、勢い、声の艶っぽさは、意外に悪くない。ダイナミックレンジや分解能を追求するタイプではないが、中低域が充実して、空間も広め。長時間のリスニングでもストレスが少ない。

●対応コーデック/aptX、SBC ●防水・防塵/─ ●連続再生時間/8.0時間

ケーブルの長さが調節可能。サウンドは骨太の低音が特徴的

ゼンハイザー
CX-6.00BT
実売価格例●1万2960円

ドイツの老舗ヘッドホンメーカー、ゼンハイザーのカナル型スタンダードモデル。

ドライバーはダイナミック型を採用し、質量は14グラムと軽量で、ケーブルの長さはユーザーの好みの長さに調節可能。コーデックはaptXに加え、転送時の遅延が少ないaptX LL(Low Latency)にも対応する。

そのサウンドは、どっしりとした重みを感じさせる骨太の低音が特徴的で、陰影に富んだコクのある聴かせ方。高域の「シュ」という音が耳につくが、これもドイツふう。ボーカルは耳元でささやくのではなく、やや遠くから聴こえる印象だ。

●対応コーデック/aptX LL、aptX、SBC ●防水・防塵/─ ●連続再生時間/6.0時間

NC搭載で外音取り込みにも対応。サウンドは中低域寄りの仕上がり

ソニー
WF-SP600N
実売価格例●1万5570円

汗や水しぶき、突然の雨でもそのまま楽しめるIPX4の防水性能を備えたスポーツ対応モデル。NC機能も備えるが、専用アプリを使うとNCモード、外音取り込みボイスモード、ノーマルモードの選択が可能になる。

SiriやGoogleアシスタントといった音声アシスタントにも対応。本体は軽く、装着時の安定感も良好だ。

AAC再生によるサウンドは、中低域寄りの仕上がりで、押し出しも強いが、余韻、空間の広がりは控えめ。ダイナミクスの表現は悪くないが、音のクリアネス、繊細さをもう少し高めたいと感じた。

●対応コーデック/AAC、SBC ●防水・防塵/IPX4 ●連続再生時間/6.0時間

マグネットで左右をまとめやすい。サウンドは軽快で明瞭度が高い

AKG
N200 WIRELESS
実売価格例●1万6070円

オーストリアの老舗ヘッドホンブランド、AKG(アーカーゲー)としては初めてのブルートゥース専用イヤホンで、好評のN20シリーズをベースとしている。

見た目にはやや大柄で、重めに感じられるが、耳のくぼみに収まるフィンが功を奏し、装着時の安定感は上々。左右ハウジングはマグネットで引き合い、首掛け時にじゃまになりにくいのもいい。コーデックはAAC、aptX対応。

AACの再生では、軽快で、明瞭度の高いサウンドが特徴的だ。低域も適度に締まり、分解能が高い。バイオリンの響きが空間にスッと広がり、すがすがしい。

●対応コーデック/aptX、AAC、SBC ●防水・防塵/─ ●連続再生時間/8.0時間

ワイヤーで耳元の装着感が安定。分解能が高い正攻法のサウンド

フェンダー
PureSonic Premium Wireless Earbuds
実売価格例●1万6170円

フェンダーといえば、ギターのトップブランドだが、近年は家庭用のオーディオ機器の開発にも熱心で、PureSonicシリーズは同社初のブルートゥースイヤホンとなる。

9.25ミリのダイナミックドライバーを組み込んだハウジングは、耳の形状を計算して作られたもの。ケーブルの耳元部にはワイヤーが入り、装着時のホールド感を高めている。コーデックはaptX、AAC対応。

AAC再生では、実に堂々とした正攻法のサウンド。全帯域にわたって気持ちよく音が吹き上がり、分解能の高さが際立っている。

●対応コーデック/aptX、AAC、SBC ●防水・防塵/─ ●連続再生時間/6.0時間

定番モデルをブルートゥース化。音像の骨格がはっきりしたサウンドは健在

シュア
SE215 Special Edition WIRELESS
実売価格例●1万7800円

イヤホンで名高いシュアの定番モデル、SE215をベースに、主として低音を強化したSE215 Special Editionにブルートゥース対応ケーブルを加えている。

MMCX接続なので、リケーブルも楽しめる。注目のケーブル部は、左右の耳元にワイヤーフォームフィット機能が加えられ、耳の後ろから回して掛ける“シュア掛け”も可能だ。

コーデックはSBC限定とちょっと寂しいが、音像の骨格をはっきりと感じさせる引き締まったサウンドは健在だった。心なしか余韻の描写は淡白だが、ベースのピッチの刻みは的確で、あいまいさがない。

●対応コーデック/SBC ●防水・防塵/─ ●連続再生時間/8.0時間

バッテリーを左右に分散して搭載。分解能が高く声のニュアンスも繊細

ヤマハ
EPH-W53
実売価格例●1万8140円

6.4ミリ径のダイナミック型ユニットを搭載したヤマハの意欲作。チタンカラーのハウジングは、取り扱いを考慮した形状らしいが、デザインはヤマハらしく、洗練されたもの。

5種類のイヤピースに加え、スタビライザーを3種類同梱し、耳の形に合わせて装着可能。また、バッテリーはあえて左右のユニットに分けて搭載され、重量バランスを整えている。

AACで聴くサウンドは全体にやや細みながらも、筋肉質。不自然なブースト感はなく、総じて分解能が高い。高域はわずかに強めだが、声のニュアンスも繊細、響きの描き分けも意欲的だ。

●対応コーデック/aptX、AAC、SBC ●防水・防塵/─ ●連続再生時間/7.0時間

LDACとaptX HDに両対応。LDACでフォーカスが鋭くなる

エレコム
LBT-HPC1000MP
実売価格例●2万4620円

ハイレゾ相当の高音質コーデックLDAC、aptX HDに両対応したエレコムの意欲作。9.8ミリ径ダイナミック型ドライバー、ポールピース、マグネットを同軸上に配置するという凝った構造も特徴的だ。

AACの再生では、低域が程良く締まり、聴きやすいバランスだが、響きの余韻が淡白で、声のニュアンスも物足りない。ただ、LDACに切り替えて聴くと、にわかにフォーカスが鋭くなり、中低域の分解能も向上する。このパフォーマンスなら、ぜひLDACかaptX HDで使いたい。

SiriやGoogleアシスタントといった音声アシスタントにも対応。

●対応コーデック/LDAC、aptX HD、aptX、AAC、SBC ●防水・防塵/─ ●連続再生時間/6.0時間

【まとめ】左右一体タイプ イヤホンとしての表現力でフェンダー。ニュートラルなAKGが続く

完全分離型タイプに比べ、左右のユニットが有線接続される左右一体タイプは、無線伝送の負担が少ないメリットは大きい。実際、今回のテストでも分解能、S/N感、ダイナミックレンジ、さらには安定感といった部分で、左右一体タイプの優位性が明らかだった。

その中でも音質面で際立っていたのが、フェンダーだった。個性的なデザインは好みの分かれるところだが、イヤホンとしての表現力では、絶対的な情報量といい、躍動感といい、ライバルを寄せつけない。

これに続くのが、ニュートラルな表現が持ち味のAKGと、音楽の骨格を描き出す強い音が身上のシュア。僅差だが、最後はSBC限定という仕様が、シュアにとっては大きなハンデとなった。

フェンダー
PureSonic Premium Wireless Earbuds

フェンダー
PureSonic Premium Wireless Earbuds

AKG
N200 WIRELESS

解説/藤原陽祐 (AV評論家)

※価格は記事制作時のものです。

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