アナログメディアは劣化が避けられないだけでなく、特にビデオテープの場合は、再生機器がなくなってきていることも問題となってくる。早期にデジタル化することが必要になるが、いずれにしてもビデオデッキの準備が必須。手持ちのデッキがない場合、どうしたらいいだろうか?
手元に再生機器がない場合は、高性能の中古品を探そう
最近の製品より、少し前の国産ビデオデッキがいい
プリント写真は再生機器がなくても見ることができるし、アナログレコードやカセットテープは、一時期衰退し、再生機器も激減したが、今や復活を遂げている。それらに対し、ビデオデッキは風前の灯。国内メーカーはすべて撤退し、海外製の安価なものしか新製品がない。
しかもそれらは、ビデオ全盛期に日本メーカーの各社がしのぎを削って開発競争をしていた時代のものと比べ、性能はどうしても劣る。あるダビング業者では、使用するVHSデッキに、最近の製品ではなく、あえて過去の製品を使っていると聞く(過去の製品を買い集め、部品も多数ストックしており、故障したらストックしている部品で直すという)。
そこで、デジタル保存のためのビデオテープの再生には、国産の製品、特にビデオ全盛期の製品(具体的には1990年〜2000年ごろに生産されたS-VHSビデオデッキか8ミリビデオデッキ)がおすすめで、それを入手するには、中古品店かネット通販、ネットオークションなどを利用するしかないのが現状である。
中古品店は、実店舗もネット通販もあるハードオフが有名。ジャンク品(パソコン本体や周辺機器、AV機器などで、動作を保証しない商品のこと)も多いが、掘り出し物もある。また、ネット通販なら、Amazonがやはり手軽。状態の良好なデッキを手に入れたいなら、ネットオークションが最もおすすめで、特に「ヤフオク!」に注目したい。
■玉石混交だが、ハードオフでは思わぬ掘り出し物も
■Amazonでは新品だけでなく、中古品も販売中
■オークションの老舗で流通量も多い「ヤフオク!」
++手持ちの再生機を使おうとしたら、
「壊れていて動かない」という場合は?++
長い間使わなかった機器は故障を起こしやすい
自宅にある古いビデオデッキ。いざデジタル化しようと電源を入れたが、動かない。あるいは、テープが内部でからんだのか、出てこない。場合によっては、電源すら入らないということもありうる。そんなときには、すぐに専門業者に修理を依頼しよう。ビデオデッキは精密機器なので、自分で修理しようと考えないほうがいい。少しでも不調を感じたら、早めに修理を依頼すべきだ。
ただし、注意したいのは、修理できる業者も限られてきていること。また、部品がなくて修理できないという場合もある。修理業者としては、宅配便で受け付けてくれる東京・八王子の「A&Vテクニカル」がおすすめ。こちらも、多彩な製品の部品を大量にストックしているという。
■ビデオの修理ならまずは「A&Vテクニカル」に相談
修理済みビデオデッキの販売価格例(※)
ビデオテープが切れていた! カビが生えている! どうする?
テープメディアの最大の敵はカビと切断
ビデオテープを含めたテープメディアの最大の敵は、カビと経年劣化だ。高温多湿な日本では、押し入れで長期保管するとカビが生えやすい。また、石油製品であるフィルムをベースとしているテープメディアは、時間の経過と共に劣化が進むので、早送りや巻き戻しなど強い力を掛けると切れてしまいやすい。
切れてしまったテープも、専門の業者に依頼すれば修復できる。慌てずにテープの補修を依頼しよう。また、長期に放置したテープは、カビでデッキのヘッドを傷めてしまうこともあるので、保存状態に不安がある場合は、再生する前に業者にチェックを依頼したほうが安心。業者としては、埼玉県にある「テープ修理ドットコム」がおすすめだろう。
■テープの切断やカビに対応してくれる「テープ修理ドットコム」
主なビデオテープの修理料金(※)
解説/内川功一朗(写真整理アドバイザー)
※価格は記事制作時のものです。