【電アシ】本格スポーツタイプ「電動アシスト自転車」パナソニック・トレックほか試乗レポート【後編】

スポーツ・アウトドア

アグレッシブな走破性とスタイリッシュな外観。高いコストパフォーマンスを誇る

❺パナソニック
ジェッター
価格:15万円(税別)

パナソニックが本気で開発するe-bikeは、ユニットから自社で製造し、生産工程のほとんどを国内に置いて、高い品質を保証する。ジェッターは、クロスバイクタイプのスタイリッシュなデザインが特徴。アシストは3段階設定となり、オートモードで65キロのアシストが可能。

同社では、30万円台後半の電動アシストマウンテンバイクを筆頭にスポーツタイプのe-bikeだけで現在5モデルを展開する。その中で、ジェッターは15万円(税抜)という低価格化を実現し、アーバンコミューターのキャッチとともに登場。

街中をメインフィールドにするだけあって、ボリュームのあるダウンチューブと38Cの太いタイヤが走りを安定させ、上位グレード譲りのアグレッシブな走りが特徴だ。

ほとんどのシーンは、オートマチックモード(標準モード)で気持ちいい巡航スピード域まで運んでくれる。また、パワーモードに切り替えれば、坂道で信号ストップをして、傾斜がついた状態からのゼロ発進でも加速力は十分だ。

一方で、街中にも溶け込むスタイリングも魅力。小型バッテリーをシートチューブ背面に配し、ワイヤーも内装させることでフレームの前三角をスッキリと見せたスタイリッシュなビジュアル。週末のアクティビティから日々の通勤・通学まで、幅広く活躍してくれる一台だ。

都内屈指の激坂では、やや人力のウエイトが増したが、平地とは異なり、淡々と登り続けてくれる印象だ。

トルクのかかりはスムーズ。まるでマウンテンバイクを操るような感覚で、街中を疾走する爽快感を味わえる。

独自のエコナビ液晶スイッチ4S+を採用。エコ走行を促すエコナビ機能を搭載。

走破性重視のタイヤ幅38Cの太さが、路面からの振動を吸収する。

小型バッテリーをシートポストの背面に設置。過充電を防ぐ充電方式を採用。

独自の「タフパワーアシスト」ユニットが漕ぎ出しのパワフルさを生む。

簡易マッドガードが泥はねを防ぐので、突然の雨にも備えられる。

アシスト力に応じてチェーンテンションを均一にするテンションプーリーを装備。

【まとめ】
今回取り上げたe-bikeの中では最も価格が安いこともあり、結果的に総合点はややシビアになったが、単体で見ればコストパフォーマンスは高い。採点表には反映されていないが、街中に溶け込むスタイリッシュさは魅力的だ。

【SPEC】●アシスト距離:ロング85km、オート65km、パワー58km ●電動機出力:250W ●バッテリー:25.2V、16.0Ah ●充電:約5.0時間 ●変速:8段(前1/後8) ●タイヤサイズ:38C ●サイズ:440mm、490mm ●重量:21.4kg(440mm)

ここぞの加速力とラグジュアリーな走行感が魅力の一台

❻トレック
ヴァーヴ+
価格:21万3000円(税別)

世界的なスポーツバイクブランドであるトレックが威信をかけて開発。日本規格のボッシュユニットを搭載し、2018年に日本初上陸、海外メーカーの国内e-bike市場への参入を印象づけた。駆動系からライトなどの安全装備までハイスペックを誇る。モデル名のヴァーヴは情熱・気迫を意味する。

ヴァーヴ+は、安心感と乗り心地のよさを感じさせつつ、シーンに合わせた最適なアシスト力が、乗り手の心をワクワクさせる。まるで高級大型自動車に乗っているかのような重厚感のある走りが印象的だ。

アシストなしの状態では、ややタイヤなど足回りの重さを感じるが、いざアシストモードへと切り替えると、その走りは激変する。搭載されるボッシュのユニットは、アシストなしを含めて5段階モードで、エコやツアーモードではラグジュアリーな加速感を得られる。そして、ツアー、ターボモードでは、切り替えた瞬間に背中をグッと押し出してくれるアシスト力を発揮。トレック独自のアルファアルミを採用したフレームとジオメトリーが、直進安定性とステアリング性能を両立し、そこにユニットがうまく融合している。

フロントライトはフレームに内蔵され、リアライトはフェンダー(泥除け)と一体化した専用設計だ。

「長く乗り続けるなら、後悔しない一台を」。そんな言葉がしっくりくるモデルだ。

坂道では、ターボモードが威力を発揮。まるで四輪駆動のように、確実に地面をとらえるアシストの推進力に魅了される。

シッティングの状態でスーと地面をはうように進むアシスト感。スポーツカーのような低重心を実現した鋭い加速も体感できる。

ボッシュ独自のIntuviaディスプレイは、アシストモードをわかりやすく表示。

42Cという非常にボリュームのあるタイヤが、ライダーに快適性をもたらす。

ボッシュパワーパックは300ワット時の容量を誇り、1時間で50%の急速充電が可能。

ドイツ製のボッシュ・アクティブラインプラスを搭載し、時速24キロまでアシスト。

ディスプレイと連動したスイッチは、ライド中でも直感的な操作が可能だ。

ライトはバッテリーから電気を通すが、バッテリー消費後も2時間は点灯する。

【まとめ】
穏やかな加速から力強いアシストまで実感できる、ぜいたくなモデル。日常や週末のライドに必要な装備をすべて備えながら、実重量を抑え、スポーツバイクならではの軽快感も持ち合わせている。全体的にレベルが高いモデルだ。

【SPEC】●アシスト距離:エコ100km、ツアー65km、スポーツ55km、ターボ50km ●電動機出力:250W ●バッテリー:300Wh ●充電:約2.5時間 ●変速:9段(前1/後9) ●タイヤサイズ:42C ●サイズ:S、M、L ●重量:20.57kg(M)

小径の利を生かした鋭い加速感と、機敏な運動性能が光る

❼ベスビー
PSA1
価格:18万5000円(税別)

ベスビーは、スポーツタイプの電動アシスト自転車専業メーカー。豊富なラインアップをそろえ、PSA1は、小径モデルで人気を博したPS1の兄弟モデル。小径ならではの加速性能や小回りのよさに加え、最大アシスト距離90キロを実現した注目モデルだ。

ゼロ発進からの加速力は、今回の中で最も高く感じた。グッと押し出すような力強さはやみつきになりそうだ。前後のサスペンションは、街中での段差をものともせず、ディスクブレーキとともにシティライドからツーリングまで最高の相棒になるだろう。

ノーマルモードからパワーモードに切り替えると、坂道でも鋭い加速感が得られる。

小径なので小回りが利き、街中の路地などのコーナーもストレスなく走ることができる。

大型ディスプレイに速度、距離などを表示。

20インチの小径ホイールが走りの軽さを実現。

フレームに違和感なく一体化したバッテリー。

後輪に直結するリアハブモーターを搭載。

【まとめ】
小径の利を生かして加速力は抜群。前後に装備されたサスペンションやディスクブレーキなど、街中での走行に適したスペックを誇る。デザインも、高く評価したい。

【SPEC】●アシスト距離:90km(MODE1)、74km(MODE2)、60km(MODE3) ●バッテリー:36V 10.5Ah ●充電:約4.5時間 ●変速:7段(前1/後7) ●タイヤサイズ:20×1.95 ●重量:19.6kg

アシスト関連のスペックだけでなく、自転車の基本性能をしっかり見極めよう!

最新のe-bikeに、一部シティ自転車を加えてインプレッションを行ったが、同じ条件で一斉に乗り比べてみると、それぞれの特徴を明確に感じることができた。

今回試乗したモデルの中で、バランスのいい評価を獲得したのは、ミヤタのクルーズとトレックのヴァーヴ+。しかし、この2モデルが万人にとっておすすめのモデルかといえば、もちろんそういうわけではない。より本格的にロングライドを楽しみたいなら、ヤマハのYPJ-ERが心強いし、逆に街中を縦横無尽に駆けるなら、ベスビーのPSA1の小回りのよさは魅力。といった具合に、各モデルの個性が、いかに自分のニーズに合致するかがポイントだ。

また、電動アシスト自転車を選ぶ際には、どうしてもバッテリー容量やアシスト可能距離などに目が行きがち。しかし、特にe-bikeに関しては、フレームの形状やタイヤのサイズ、ブレーキやギアの仕様など、自転車としての基本性能にも注目したい。そのうえでメーターや操作部、ライトや泥よけといった装備にも目を向けよう。最終的には、自分がどんなバイクライフを送りたいのかをよくよく考えたうえで、これぞという一台を選択していただきたい。

ここで取り上げたモデル以外にも、e-bikeの選択肢は増え続けている。海外のスポーツバイクメーカーもこぞってe-bikeを開発し、中には何と車重10キロを切るような軽量モデルも登場している。今後、e-bikeの普及と進化はますます加速していくだろう。

選択肢がどんどん増えているe-bike。タイプ、基本性能、装備まで、あらゆる面に注目して、自分にぴったりの一台を選ぼう。

解説/橋本謙司(スポーツジャーナリスト)
撮影/河野公俊

前編はこちら。

※価格は記事制作時のものです。

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