【食後のコーヒー】血糖値を下げる効果 ノンカフェインでもアイスコーヒーでも糖尿病の予防に役立つ

美容・ヘルスケア

2002年にオランダからコーヒーと糖尿病に言及する研究が世界で初めて報告されました。それは、コーヒーを1日7杯以上飲む人は1日2杯未満の人に比べて、2型糖尿病の発症リスクが半分以下になるという驚くべき内容でした。【解説】古野純典(九州大学名誉教授)

解説者のプロフィール

古野純典(この・すみのり)

九州大学名誉教授。医師。医学博士。1974年、九州大学医学部卒業。1981年、ロンドン大学疫学修士課程修了。防衛医科大学校教授、九州大学医学部教授、独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長などを経て、現職。MedStar株式会社代表取締役。公衆衛生・予防医学を専門に、健康と栄養に関する研究を行っている。
▼研究論文と専門分野(科学研究費助成事業データベース)
▼コーヒーと健康(全日本コーヒー協会)

オランダから届いた驚くべき研究報告

私は、食べ物の栄養やガン予防など、健康に関するさまざまな研究を重ねてきました。

日本人に多い2型糖尿病は、過食や運動不足など、生活習慣の乱れが主な原因です。糖尿病を防ぐには、食べ過ぎを抑え、適度な運動を続けることが大切ですが、そこにもう一つ、ぜひ加えてほしい習慣があります。

それは、コーヒーを飲むことです。コーヒーには、血糖値の上昇を抑えて、糖尿病を予防する効果があるのです。

1990年代のことです。私は、退職前の自衛官の健診データを用いた研究で、興味深い発見をしました。コーヒーを毎日飲んでいる人は、飲まない人に比べて、飲酒によって高くなるγ-GTPの数値が低めであることがわかったのです。また、肝細胞の破壊を示す数値も低下していました。

そして、コーヒーへの関心が高まっていた2002年に、オランダから、コーヒーと糖尿病に言及する研究が、世界で初めて報告されました。それは、コーヒーを1日7杯以上飲む人は、1日2杯未満の人に比べて、2型糖尿病の発症リスクが半分以下になるという、驚くべき内容でした。

そこで私たちは、前述した自衛官の健診データから、コーヒーと糖尿病との関連を調べました。そのデータには、糖尿病診断の標準的検査である、75gブドウ糖負荷試験の結果も含まれていたからです。

すると、やはり、毎日コーヒーを飲むグループは、糖尿病予備軍になるリスクが低いことがわかりました。

カフェイン抜きでも数値が改善した!

しかし、これらは、因果関係を裏づけるものではありません。そこで、2008年、私たちは、コーヒーを長期間飲むことが糖代謝に与える影響について調べました。世界でも例のない、16週間にわたる試験に踏み切ったのです。

協力していただいたのは40〜64歳までの男性で、BMI(体格の肥満度を示す指数)が25〜30の中等度肥満の人たち・計49名です。その後、病気などで6人が抜け、最終的には43人での検証となりました。

カフェインをいっさいとらない2週間の予備期間を経たあと、参加者を三つのグループに分け、
❶普通のコーヒー
❷カフェイン抜きのコーヒー
❸ミネラル水
をそれぞれ、1日5杯飲んでもらいました。

コーヒーは、(1)(2)ともにインスタントで、1回につき小さじ1杯分を使用し、ミルクや砂糖は入れませんでした。飲む時間帯は制約していません。そして、コーヒーを飲むこと以外の日常生活はいっさい変えないよう、お願いしました。

こうして、試験開始前、飲用8週間後、16週間後の計3回にわたり、空腹時と75gのブドウ糖を飲んだあとの血糖値を比較する方法で検証しました。

その結果、(1)と(2)のどちらも、血糖値の急上昇を抑制すると示されたのです(下図参照)。しかも、8週後より16週後のほうが、改善は顕著でした。

飲み方はホットでもアイスでもお好みで!

血糖値が下がる機序は、いまだに解明されていませんが、コーヒーに含まれるクロロゲン酸などのポリフェノールの働きによるものと推察します。コーヒーのポリフェノールは、病気や老化の原因になる活性酸素を除去する働きが強力です。

コーヒーは、さまざまな食品のなかでも、ポリフェノールの含有量がトップクラスです。これが、膵臓の細胞を元気にして糖代謝を促進したり、腸管での糖の吸収を抑えたりすると考えられます。

また、コーヒーが肝臓ガンや肝硬変、パーキンソン病を予防することも、ほぼ間違いないようです。心筋梗塞の生存率を高めることも報告されています。

私たちの試験では飲み方を指定していませんが、成分から見て、ホットでもアイスでも、健康効果に差はありません。

当然、糖尿病の人はブラックで飲むのが望ましいですが、飲みにくい場合は、少量の砂糖を入れてもいいでしょう。ミルクはお好みでかまいません。もしカフェインが気になる人は、カフェイン抜きのコーヒーがよいでしょう。

1日3〜5杯を目安に飲むといいですが、まずは1杯からでもけっこうです。ぜひ、毎日のコーヒーを習慣づけてください。

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