サウンドバーのバーチャルサラウンドとは?仕組みと効果を専門家が解説

家電・AV

薄型テレビと組み合わせて、手軽に高音質で楽しめることが人気の「サウンドバー」タイプのスピーカー。映画やゲームを、より臨場感豊かな音響で楽しみたいという人にも人気だ。そして、最大の特徴と言えるのが、仮想的に前後左右の音を再現できるバーチャルサラウンド機能だ。その仕組みと効果について紹介しよう。

バーチャルサラウンドはどんな仕組みで後方の音を再現してる?

サラウンド再生とは、映画館のように前方だけでなく、側面や後方にもスピーカーを配置することで前後左右の音を自在に再現すること。

最近の映画はそのほとんどがサラウンド音声で制作されているし、ゲームの音もサラウンド採用のものが多い。
最新のドルビーアトモス方式などは天井にもスピーカーを配置し、高さ方向の音の再現も可能にしている。

しかし、これを家庭でも実現しようとすると、部屋の横や後ろ、天井にもスピーカーを配置する必要があり、あまり現実的ではない。そこで生まれたのが、仮想的にサラウンド音響を再現する「バーチャルサラウンド」だ。

これは、人間が2つの耳だけで前後左右、高さ方向の音を認識している仕組みを応用し、デジタル信号処理を駆使して、仮想的に後方や上方の音を再現する技術のことだ。

具体的に言えば、人間は左右の耳に届く音のずれ(距離や音量、位相のずれなど)を認識することで音の方向を把握している。
また、顔や頭部の形状による音の反射の影響も、音の方向を認識することに大きく影響することがわかっている。

そこで、顔や頭部の形状による影響をHRTF(頭部伝達関数)として数値化し、音源の位置による距離や音量、位相差を電気的に制御して、前後左右の音を再現しているのだ。

実際に後方や天井にスピーカーを置いたサラウンドと比べて、効果は違う?

バーチャルサラウンドは、あくまでも仮想的に前後左右の音を再現するものなので、実際に前後左右にスピーカーを置き、リアルに後方から音を出した場合と比べれば、音の聞こえ方には差がある。

しかし、「テレビの前にサウンドバーを置いただけ」とは思えないくらいには、後ろからの音を感じることはできる。

たとえば、ホラー映画で後ろから迫ってくる殺人鬼の足音などを、ぞっとするほどリアルに再現してくれる。
実際に、複数のスピーカーを部屋の前後や天井に配置するハードルの高さに比べれば、テレビの前のスピーカーだけで実現できるので、費用やスペースの問題などを考えると、その効果はかなり高い。

バーチャルサラウンドには、スピーカー型とヘッドフォン型がある

バーチャルサラウンド機能を持ったホームシアター機器には、サウンドバーのようなスピーカー型のほかにも種類がある。

AVアンプは、実際に複数のスピーカーを配置してリアルサラウンドを行うための機器だが、バーチャルサラウンド機能を備えたモデルもある。

そして、このほかにはヘッドフォンでサラウンドを楽しめるバーチャルサラウンドヘッドフォンもある。

ヘッドフォンならば、深夜に大音量で再生しても近隣に迷惑をかけることがほとんどないので、人気も高い。

その仕組みはスピーカー型とヘッドフォン型では多少の違いはあるが、頭部伝達関数などを利用する基本的な考え方は同様。ヘッドフォン型でも後方や上方の音の定位や移動感をしっかりと感じることができる。

サウンドバーのおすすめモデルはコレ!

YAMAHA YAS-108

ヤマハ フロントサラウンドシステム(ブラック)YAMAHA YAS-108

ヤマハ
サウンドバー
YAS-108
▼バーチャル3Dサラウンド技術「DTS Virtual: X」に対応し、高さ方向のバーチャル音場も実現▼HDR・4K/60pパススルーなどに対応したHDMI端子や、快適に使える便利な機能を搭載(Amazon)

サウンドバータイプでは、最新のサラウンド技術である「DTS Virtual:X」に対応した3Dサラウンド機能を持ったヤマハのYAS-108(実売2.3万円)がおすすめだ。

サブウーファーも内蔵した一体型なので、テレビの前に置くだけで設置も容易だ。接続もHDMIケーブル1本だけと簡単。
「DTSVirtual:X」は、前後左右だけでなく、高さ方向の再現も可能で、映画やゲームなどのサラウンド音声をもとに、かなりリアルなサラウンド空間を再現できる。

Bluetoothによるスマホなどの音楽をワイヤレス再生する機能などもあり、手頃な価格で楽しめるサウンドバーとしても人気だ。

バーチャルサラウンドヘッドフォンのおすすめモデルはコレ!

ソニー WH-L600

ソニー SONY 7.1ch デジタルサラウンドヘッドホンシステム 密閉型 2018年モデル WH-L600

ソニー
7.1ch デジタルサラウンドヘッドホンシステム
WH-L600
▼新しく「スポーツモード」を搭載し、その他にも「シネマモード」「ゲームモード」「ボイスモード」と多彩なエフェクトを搭載。▼オーディオリターンチャンネル(ARC)に対応したテレビと本機プロセッサーをHDMIケーブルでつなぐと、テレビのデジタル音声信号が本機に転送されます。▼従来必要であった光デジタルケーブルを接続することなく、HDMIケーブル1本でテレビの音声を楽しめます。(Amazon)

ヘッドフォンはワイヤレスとなっており、ケーブルの長さを気にせずに使えるので快適。

www.amazon.co.jp

バーチャルサラウンドヘッドフォンでは、長年独自のヘッドフォンサラウンド技術「VPT(バーチャルホンテクノロジー)」を開発してきた、ソニーのWH-L600がおすすめ。

VPT技術で7.1chのサラウンド音響を再現できる。
映画用の「シネマ」のほか、ゲーム用の音場モードなどもあり、幅広く使えることも魅力だ。

そして、ヘッドフォンはワイヤレスとなっており、ケーブルの長さを気にせずに使えるので快適。
テレビなどとは別体のトランスミッター部とHDMI接続し、使わないときはトランスミッター部にセットすると充電も行えるので使い勝手が良い。

映画好き、ゲーム好きの人にはバーチャルサラウンドがおすすめ!

このように、バーチャルサラウンド技術は、さまざまな製品に採用されており、本格的なサラウンドシステムの設置が難しいという人に好評だ。

テレビ用スピーカーとしても使うならば、サウンドバーのようなスピーカー型が向いているし、個室などで映画やゲームを楽しむならばヘッドフォンが使いやすいので、好みにあったものを選ぶといいだろう。

サラウンド音声が当たり前となった映画では、音による演出も巧みなものになっているので、それをステレオ音声で鑑賞するのは面白さの半分を失っていると言っていいほど。
映画好き、ゲームの好きの人ならばぜひとも試してみてほしい。

◆鳥居一豊
オーディオ、AVの分野で活躍するAVライター。専門的な知識をわかりやすく紹介することをモットーとしている。自らも大の映画・アニメ好きで自宅に専用の視聴室を備え、120インチのスクリーン、有機ELテレビなどを所有。サラウンド再生環境は6.2.4ch構成。

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