腸に対する甘酒の効果を調べるため、市販の缶入りの甘酒を使って実験を行いました。中間報告として、19人中17人に「便通の改善」「排便回数の増加」「便秘薬の錠数が減らせた」などの効果がみられました。これらの効果は、甘酒を飲み始めて約1ヵ月で認められています。【解説】松生恒夫(松生クリニック院長)

解説者のプロフィール

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松生恒夫(まついけ・つねお)
1955年東京都生まれ。松生クリニック院長。医学博士。1980年、東京慈恵会医科大学卒業。同大学第三病院内科助手、松島病院大腸肛門病センター診療部長を経て、2004年1月より現職。日本内科学会認定医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化器病学会認定専門医。著書多数。最新著書『腸の冷えを取ると病気は勝手に治る』が、好評発売中(マキノ出版刊)。

冬は腸の調子が悪くなる季節

寒さが本格化してくるこれからの季節、手足などの体の冷えに用心している人は多いかもしれません。しかしもう一つ、ぜひ注意していただきたい冷えがあります。「腸の冷え」です。

寒い季節には腸も冷えやすくなります。すると、腸の動きが悪くなり、腸の不調を起こしてしまうのです。

私はこれまで、30年以上にわたって、4万人以上の患者さんに大腸内視鏡検査を行ってきました。その経験から、特に近年は、日本人の腸に大きな負担がかかっていると感じています。

腸に負担をかける要因としては、ストレスや暴飲暴食などもありますが、なかでも重大なのが、腸の冷えです。

当院に設けている便秘外来には、全国から多くの患者さんが訪れますが、毎年、患者さんが増えるのが冬、特に正月明けです。この時期は、気温の低下で腸が冷えるうえ、年末年始に暴飲暴食するため、腸に大きな負担がかかるのです。

現代生活では、さらに腸にとって危険な要素があります。それは、室内外の温度差です。

家やオフィスでは過度な暖房の中におり、外では寒風にさらされるということをくり返すと、腸にますます負担がかかります。特に、室内外の温度差が10℃以上になると、腸の働きが低下しやすいので、私はこれを「10℃の法則」と呼んでいます。

昔に比べると、みそ汁などの温かい飲み物をとる機会も減っています。つまり、いろいろな意味で、現代の日本の冬は、腸を痛めつける悪条件がそろっているのです。ですから、本格的な寒さが訪れる前から、腸の冷え対策をしておきたいものです。
そのためにぜひお勧めしたいのが、「甘酒」です。

排便の回数は増え薬の量は減った

私が甘酒に注目したのは、患者さんから、「甘酒を飲んでいたら、腸の調子がよくなった」と聞いたのがきっかけでした。

私は、腸の健康法として、発酵食品をよく勧めています。発酵食品には、腸内で善玉菌を増やし、腸の働きを促す作用があるからです。

甘酒も古くから日本に伝わる発酵食品です。しかも、甘酒を温めて飲めば、内側から腸を温めることができ、二重の意味で冬の腸の冷え対策になります。

そこで、腸に対する甘酒の効果を調べるため、市販の缶入りの甘酒を使って実験を行いました。19人の被験者に、1日1本(190g)の甘酒を飲んでもらい、便通などの変化を調べたのです。市販の甘酒を用いたのは、成分が安定していて実験に適しているからです。

この実験はまだ継続中ですが、中間報告として、19人中17人に、「便通の改善(らくに排便できる)」「排便回数の増加」「便秘薬(酸化マグネシウム)の錠数が減らせた」などの効果がみられました。これらの効果は、甘酒を飲み始めて約1ヵ月で認められています。

今後は、温めた甘酒を飲んだときにどのように体温が上昇・持続するかを、お湯を飲んだ場合と比べる実験も行う予定です(2019年1月発表予定)。

確かなことは、その結果を見ないと言えませんが、現状でも腸の状態がかなり改善していることから、甘酒に腸の温め効果があることが推測できます。

過去の研究報告によると、試験管内での実験ではありますが、甘酒がビフィズス菌を増やすことも実証されています。ですから、腸を温めるとともに、善玉菌を増やして腸を元気にするのに、甘酒が役立つと考えられます。

腸の冷えは、便秘以外にも多くの弊害をもたらします。人によっては冷えによって下痢をしたり、腹部の張りや腹痛を招いたりする場合もあります。また、腸は免疫(病気に抵抗する働き)にも深く関係するので、腸の冷えを放置すると、免疫力が低下して、全身に悪影響を及ぼすこともあるのです。

みそなどの発酵食品の摂取が減っている日本人にとって、甘酒は手軽においしく飲めて、腸を元気にする切り札になりうるでしょう。

甘酒には、麹で作るタイプと酒かすで作るタイプがありますが、腸の冷え取りと健康づくりに役立てるには、前者が向いています。後者はアルコールが含まれるので、子どもやお酒に弱い人、日中などの飲用がむずかしいからです。麹タイプなら、そうした心配なしに味わうことができます。

味の変化をつけるとともに、健康効果を高めたいときは、好みの量の純ココアパウダーを加えるとよいでしょう。甘酒の甘味と、ココアのほろ苦さは相性がよく、また違った味わいが楽しめます。しかも、実はココアも発酵食品であり、腸を温め、元気にするのに役立ちます。

1日に飲む甘酒の分量は、特に決まっているわけではありませんが、150〜200㎖程度を目安にすればよいでしょう。

基本的には、いつ飲んでもかまいません。ただし、甘酒には糖分(ブドウ糖)が含まれています。糖尿病の人が飲みすぎたり、空腹時に飲んだりすると、血糖値を上げる危険があるので要注意です。

糖尿病の人は、甘酒を飲むぶん、他の糖質を減らしたうえで、比較的血糖値を上げにくい食後に飲むとよいでしょう。

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