4K8K衛星放送用で、単体の外付けチューナーは、テレビメーカー各社に加え、パソコン周辺機器メーカーなどからも発売されていて、製品はけっこう豊富。ただ組み合わせるテレビとのコンビネーションが総合的な機能や使い勝手を左右する。
- チューナーのUSB端子にHDDをUSBでつなげば録画できる
- 従来放送用チューナーを2基搭載。他社製テレビとの組み合わせにも強い
- HLG信号をHDR10に変換しての出力が可能。アクオスユーザーに向く
- 組み合わせるテレビとのコンビネーションが総合的な機能や使い勝手を左右する
- チューナーはすべてシングル。録画機能は12月末のアップデートで利用できる
- 4Kチューナーをダブルで搭載し、4Kの裏番組録画が可能な高機能モデル
- 唯一のBS8K放送を受信できるマシン。USB HDDを追加すると8K録画も可能
- AndroidTV機能を搭載。アプリ追加が可能で、Googleアシスタントにも対応
- HDR10変換出力が可能なほか、本機のリモコンで各社のテレビを操作できる
- Googleアシスタントに対応。「Netflix」などのネット動画も見られる
チューナーのUSB端子にHDDをUSBでつなげば録画できる
新4K8K衛星放送用で、単体の外付けチューナーは、テレビメーカー各社に加え、パソコン周辺機器メーカーなどからも発売されていて、製品はけっこう豊富だ。
いずれのチューナーも、壁のアンテナ端子と背面の入力端子をアンテナケーブルで接続し、チューナーとテレビのHDMI端子をHDMIケーブルで接続して出画するという使い方だ。また、今回紹介するすべてのチューナー製品は、USB HDDでの録画に対応している。つまり、チューナーにあるUSB端子に外付けHDDをUSBケーブルでつなげば、4Kあるいは8Kの番組をHDDに録画することができるのだ。
その一方で、それぞれの製品は、メーカーにより、機能や仕様にけっこう違いがあるので、選択には注意が必要だ。
まずチェックしたいのは、外付けチューナーの肝といえる、搭載チューナーの種類と数。特に、新4K放送に注目すると、チューナーがシングル(1基)か、あるいはダブル(2基)かというのは大きな違いだ。
なぜなら、ダブルチューナーモデルであれば、視聴している番組とは別に、同時に放送されている裏番組を録画することができるからだ。これは、テレビ好きの人にとっては重要なポイントである。
また、見落としがちなのが、従来の地上/BS/CS110度の各放送を受信する機能があるかどうか。例えば、シャープ製の外付けチューナーは、従来の地上/BS/CS110度の受信機能は非搭載となっている。
従来放送用チューナーを2基搭載。他社製テレビとの組み合わせにも強い
東芝 TT-4K100
実売価格例:4万910円
4K/2K
BS/110度CS(4K放送用):1基
地デジ(2K放送用):2基
BS/110度CS(2K放送用):2基

●サイズ/幅165mm×高さ57mm×奥行き195mm●重量/非公表

BS/CS 4K録画対応チューナー
TT-4K100
4Kチューナーに加え、従来の地上/BS/CSチューナーをダブルで搭載。4K解像度の番組表を含め、単体チューナーとして充実した仕様で、外付けHDDへの録画もやりやすく、レグザ以外のテレビとの組み合わせにも強い。また、対応レグザと組み合わせると、自動的に、ノイズをより低減した高画質を得られる機能もユニーク。
HLG信号をHDR10に変換しての出力が可能。アクオスユーザーに向く
シャープ 4S-C00AS1
実売価格例:3万4430円
4K
BS/110度CS(4K放送用):1基
地デジ(2K放送用):なし
BS/110度CS(2K放送用):なし

●サイズ/幅220mm×高さ34mm×奥行き146mm●重量/600g

4Kチューナー
4S-C00AS1
4Kチューナー1基のみの搭載というシンプルさで、比較的手ごろな価格を実現。放送で用いられるHDRの方式「HLG」を「HDR10」に変換する機能を備え、少し古めで「HDR10」にのみ対応する4Kテレビと組み合わせても、HDRならではの高コントラストな映像美が楽しめる。自社製テレビであるアクオスユーザー向き。
組み合わせるテレビとのコンビネーションが総合的な機能や使い勝手を左右する
ただし、こうした製品は、自社4Kテレビ製品との組み合わせを前提に、テレビ用のリモコンで、テレビ内蔵の地上/BS/110度CSチューナーと、外付けの新4Kチューナーの区分けを意識せずに選択できるよう設計されている。そのような使い方を前提にして、従来放送用のチューナーが重複して無駄にならないように作られたともいえる。このように、組み合わせるテレビとのコンビネーションが総合的な機能や使い勝手を左右するわけだ。
もう一つ注意したいのが、新4K8K衛星放送の目玉の一つといえる、ダイナミックなコントラストを実現するHDR(ハイ・ダイナミックレンジ)の扱いだ。
新放送では、HDRの方式として「HLG」(ハイブリッド・ログ・ガンマ)を採用している。これは、NHKとBBC(英国放送協会)が共同開発したテレビ放送向け高画質技術の方式である。一方、少し前の4Kテレビでは、市販のUHD BD(4K画質のブルーレイディスク)ソフトが採用してる方式の「HDR10」には対応していても、HLGには対応していない製品が多い。
そこで、メーカーは限られるが、HLGをHDR10に変換して出力してくれるという機能がある。もし、手持ちのテレビがHDR10にしか対応していないという場合は、HLGをHDR10に変換して出力できるチューナーが有力な候補となるだろう。
機能面では、音声操作やネット配信動画サービスへの対応で差がある。Googleアシスタントに対応した製品は、リモコンのマイクを通じて音声で番組検索ができたり、視聴アプリを追加することで幅広いネット動画サービスに対応したりすることが可能になっている。
このように、一口に外付けチューナーといっても、スペックや機能にけっこう違いがある。外付けチューナーの現行主要全製品のスペックや機能をわかりやすくまとめたので、製品写真と併せて検討し、自分の用途や使い方に応じて最適な一台を選んでほしい。
チューナーはすべてシングル。録画機能は12月末のアップデートで利用できる
パナソニック TU-BUHD100
実売価格例:3万5510円
4K/2K
BS/110度CS(4K放送用):1基
地デジ(2K放送用):1基
BS/110度CS(2K放送用):1基

●サイズ/幅230mm×高さ44mm×奥行き137mm●重量/450g

4Kチューナー
TU-BUHD100
新4K放送、従来の地上/BS/CSチューナーを各1基搭載。パナソニックのビエラリンクに対応し、対応テレビと組み合わせるとテレビのリモコンで操作できる。外付けHDDへの録画は、12月末にファームウエアアップデートで可能になる予定。専用リモコンが付属し、Googleアシスタント機能で番組検索が可能。
4Kチューナーをダブルで搭載し、4Kの裏番組録画が可能な高機能モデル
ソニー DST-SHV1
実売価格例:5万9270円
4K/2K
BS/110度CS(4K放送用):2基
地デジ(2K放送用):2基
BS/110度CS(2K放送用):2基

●サイズ/幅283mm×高さ50mm×奥行き225mm●重量/1.7kg

4Kチューナー
DST-SHV1
新4K放送、従来の地上/BS/CSチューナーをすべてダブルで搭載した高機能モデル。新4K放送は視聴に加え、裏番組録画も可能(新4K放送のダブル録画は不可)。自社製テレビのブラビアとHDMI接続すれば、テレビのリモコン一つで連係操作が可能。ジャンルで番組を絞り込める機能は録画に便利。
唯一のBS8K放送を受信できるマシン。USB HDDを追加すると8K録画も可能
シャープ 8S-C00AW1
実売価格例:26万9870円
8K/4K
BS(8K放送用):1基
BS/110度CS(4K放送用):2基
地デジ(2K放送用):なし
BS/110度CS(2K放送用):なし

●サイズ/幅430mm×高さ58mm×奥行き243mm●重量/3.1kg

8Kチューナー
8S-C00AW1
現時点で唯一の8K放送対応単体チューナー。4Kチューナーも2基搭載する。別売の専用HDDを追加すると、8K放送をそのままの画質で録画可能。出力変換機能により4Kテレビでも視聴できる。リモコンは2個付属。
AndroidTV機能を搭載。アプリ追加が可能で、Googleアシスタントにも対応
フナイ FT-4KS10
実売価格例:3万2800円
4K/2K
BS/110度CS(4K放送用):1基
地デジ(2K放送用):1基
BS/110度CS(2K放送用):1基

●サイズ/幅230mm×高さ44mm×奥行き13.7mm●重量/430g

テレビチューナー
FT-4KS10
新4K放送、従来の地上/BS/CSチューナーを各1基搭載。AndroidTV機能を搭載し、「GooglePlay」からダウンロードしたアプリが利用できるほか、Googleアシスタントにも対応する。
HDR10変換出力が可能なほか、本機のリモコンで各社のテレビを操作できる
アイ・オー・データ HVT-4KBC
実売価格例:3万5420円
4K
BS/110度CS(4K放送用):1基
地デジ(2K放送用):なし
BS/110度CS(2K放送用):なし

●サイズ/幅220mm×高さ35mm×奥行き150mm●重量/600g

4Kチューナー
HVT-4KBC/E
HDR映像は「HDR10」に変換して出力する機能を備える。本機に付属のリモコンで、アイ・オー・データ製品だけでなく、幅広いメーカーのテレビを操作可能。リモコンを持ち替えずに大半の機能が利用できる
Googleアシスタントに対応。「Netflix」などのネット動画も見られる
ピクセラ PIX-SMB400
実売価格例:3万1980円
4K/2K
BS/110度CS(4K放送用):1基
地デジ(2K放送用):1基
BS/110度CS(2K放送用):1基

●サイズ/幅230mm×高さ44mm×奥行き137mm●重量450g

4K Smart Tuner
PIX-SMB400
ピクセラはチューナー開発で長年の実績があり、大手ブランドへのOEM供給事例も多数。付属リモコンはコンパクトでGoogleアシスタントに対応し、音声での番組検索も行える。大型の「Netflix」ボタンも搭載。
●4K8Kチューナーのスペック比較

※1=専用HDDが必要。 ※2=12月下旬にアップデートで対応。

解説/鴻池賢三(AV評論家)イラスト/中山昭(絵仕事 界屋)
※価格は記事作成時のものです。