【サルコペニア予防の新習慣】朝1杯のきな粉ドリンクと5分のウォーキング

美容・ヘルスケア

およそ40歳を超えた頃から、普通の生活をしているだけでは筋肉は自然に減り始めます。加齢や疾患によって筋肉が衰弱し、筋力が低下した状態を指す、サルコペニアという症状が注目されています。サルコペニアを予防するためには、どうしたらいいのでしょうか。【解説】山田実(筑波大学大学院人間総合科学研究科生涯発達専攻准教授)

解説者のプロフィール

山田実(やまだ・みのる)
筑波大学大学院人間総合科学研究科生涯発達専攻准教授。2010年、神戸大学大学院医学系研究科博士後期課程修了。保健学博士。理学療法士。京都大学助教を経て、14年より現職。日本体力医学会評議委員、日本老年医学会代議員ほかを務める。主な研究テーマは老年医学、フレイル、サルコペニア、転倒・介護予防など。編著に『イラストでわかる高齢者の生活機能向上支援』、『エピソードで学ぶ転倒予防78』(ともに文光堂)などがある。

サルコペニアとは?

筋肉量の減少が病気を悪化させると判明

両手の親指と人さし指で輪を作り、ふくらはぎのいちばん太い部分に回してみてください。指が余裕を持って届くなら、あなたの筋肉には黄信号が灯っているかもしれません。日本では、4人に1人が高齢者で、その高齢者の5人に1人が要介護認定者という時代を迎えています。

そうした中で、注目されているのが、サルコペニアという症状です。ギリシャ語で「筋肉」を表す「サルコ(salx)」、「喪失」を表す「ペニア(penia)」を合わせた造語で、加齢や疾患によって筋肉が衰弱し、筋力が低下した状態を指します。

筋肉は、毛糸の束のようなもので、中の1本の毛糸をほぐすとさらに細い糸が出てくるように、筋肉も、「筋原線維」というごく細い線維が束になった「筋線維」を、さらに束にした構造を持っています。サルコペニアは、毛糸束を構成する毛糸の本数が減り、かつ毛糸事体も細くなって、毛糸束全体がボリュームダウンした状態です。

サルコペニアが進行すると、「立ち上がりにくい」「歩きづらい」「階段の上り下りが困難」など、運動機能が著しく低下します。さらに、筋肉量の減少は運動の面ばかりでなく、糖尿病、肝疾患、腎疾患などさまざまな病気と関連し、死亡率にも影響することがわかってきているのです。

サルコペニアを予防するには?

続けやすいのは「ウォーキング」

では、サルコペニアを予防するためには、どうしたらいいのでしょうか。
第1は、運動で筋肉の収縮運動を起こし、筋肉を大きくさせることです。

続けやすい運動としては、やはり「ウォーキング」がいちばんです。
歩く動作は、体を支える筋肉の多くを刺激することができます。まずは、1日に5分でいいので、今までよりも長く歩くように心がけましょう。

たんぱく質を積極的に摂取する

そして、もう一つ重要なのが、筋肉を構成するたんぱく質を、毎日の食事で積極的に摂取するということです。筋肉量を維持するためには、1日当たり、少なくとも体重1kg当たり1gのたんぱく質が必要です。

肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など、なんでもいいので、努めてたんぱく質をとりましょう。赤身肉や魚は100gで約20g、卵1個で約6gのたんぱく質を含みます。

しかし、高齢になると、食欲や咀嚼力が落ちるため、食事量、特に肉や魚の摂取量が減りがちで、たんぱく質が不足している人が多いのです。

朝食にきな粉ドリンクを飲んでたんぱく質を補給

そこで、お勧めなのが「きな粉ドリンク」です。
きな粉大さじ1を、牛乳180mlに混ぜて飲むだけで、約8gのたんぱく質を簡単に摂取できます。

きな粉ドリンクは、特に朝食のときに飲むのがお勧めです。というのも、若い人と高齢者では、消化吸収のスピードが異なるからです。

若い人はジムなどで運動した直後に、たんぱく質をとるのが最も効率よく筋肉作りに役立つといわれています。しかし、代謝が落ちている高齢者では、1日を通して体内のたんぱく質量を一定に保つことを心掛けるほうがよいのです。

そのため、食事と食事の間が長く空く朝食にきな粉ドリンクを取り入れ、しっかりとたんぱく質を補給することをお勧めします。

そして、たんぱく質とともにとっていただきたいのが、骨と筋肉を強化してくれるビタミンDです。ビタミンDが多く含まれている食品としては、魚、キノコ、卵黄などが挙げられます。適度に日光を浴びることで、体内でもビタミンDを合成することができます。

朝食に飲んでから散歩して日に当たるとよい

いちばんの自覚症状は「歩くスピード」

サルコペニアで減りやすい筋肉は、体幹の背筋や腹筋、また尻、太ももなどの体を支える働きをしている筋肉です。

いちばんの自覚症状としては、「歩くスピードが遅くなる」ということです。信号が青のうちに横断歩道を渡りきれなくなってきたら、要注意です。

また、太ももの筋肉が衰えれば、何かにつまずいたときにとっさの一歩が出せなくなり、転倒しやすくなります。

高齢者の1年間の転倒発生率は約30%といわれていますが、サルコペニアの人は、実に2~3倍も転倒発生率が高くなることがわかっています。

サルコペニアでは、骨がもろくなる骨粗鬆症を併発していることが多いため、転倒が骨折に直結しやすく、そのまま寝たきりの生活につながるリスクが高いのです。

サルコペニアは早めに対策を!

およそ40歳を超えた頃から、普通の生活をしているだけでは筋肉は自然に減り始めます。そして、減少度合いが年齢とともに加速していきます。

この筋肉減少の傾きを、いかにゆるやかに抑えられるかが、健康長寿のカギとなります。
筋肉が衰弱し始めても、70代くらいまでは普通に生活ができるので、自覚することは少ないかもしれません。しかし、75歳くらいから生活に支障が出てくる人が多いのです。

サルコペニア対策は、できるだけ早いうちから行うことが大切です。ぜひきな粉ドリンクを活用してください。

この記事は『安心』2018年12月号に掲載されています。

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