【玉村豊男さん】肝臓病歴30年以上「それでも私は肝機能値にこだわらない」

美容・ヘルスケア

当初の2年ほどは体調がすぐれず、検査結果に一喜一憂する日々でした。しかし、酒や好物を控え、静かに過ごしていてもどうも数値に影響がない。相関関係がないのなら、好きな物をやめる意味がありません。体調と相談しつつ、自分なりの目安に沿って生活の質を維持すべく、方向転換することにしました。【体験談】玉村豊男(エッセイスト・画家・ワイナリーオーナー)

体験者のプロフィール

玉村豊男(たまむら・とよお)
エッセイスト。画家。ワイナリーオーナー。1945年東京生まれ。東京大学フランス文学科卒。68年パリ大学言語学研究所留学を経て72年より文筆業。83年より長野県に移住。86年、輸血後肝炎(C型肝炎)にかかっていることが判明するも、91年に東御市にて農園を開き、2004年に「ヴィラデスト ガーデンファームアンドワイナリー」を開業。その後も07年に元箱根に玉村豊男ライフアートミュージアムを開館、14年には日本ワイン農業研究所を設立するなど精力的に活動。15年、投薬治療により肝炎が完治したが、翌16年に肝ガンが発見され、現在も検査・治療中。著書に『パリ 旅の雑学ノート』(中公文庫)『病気自慢』『田園の快楽』(いずれも世界文化社)など著書多数。

数値に影響がないなら好物をやめる意味がない

私の、肝臓病とのつきあいはもう30年以上にわたります。

きっかけは、41歳のときでした。突然の大量吐血により、病院に救急搬送されたのです。

あらゆる検査を受けましたが吐血の原因は不明。とはいえ、自分では、酒量の多さと過労、ストレスが重なったせいだと見当がついていました。

いずれにせよ、緊急輸血を受けたおかげで一命を取り留めましたが、この輸血された血液中に、なんとC型肝炎ウイルスが入っていたのです。

当時、「輸血をすると、10人に1人の確率で輸血後肝炎になる」といわれていましたが、原因となるウイルスは、まだ突き止められていませんでした。

肝炎ウイルスの除去に有効な薬剤はありましたが、私のタイプには効きにくく、副作用も強いとのこと。この薬による治療は諦めざるをえませんでした。

こうして、確たる治療法もわからないまま、慢性肝炎とのつきあいが始まったのです。

当初の2年ほどは体調がすぐれず、検査結果に一喜一憂する日々でした。しかし、酒や好物を控え、静かに過ごしていてもどうも数値に影響がない。

相関関係がないのなら、好きな物をやめる意味がありません。

そう気づいてからは、体調と相談しつつ、自分なりの目安に沿って生活の質を維持すべく、方向転換することにしました。

今を楽しめる元気な心を持てることこそ”健康”

私の場合、AST(GOT)が200IU/L近く、ALT(GPT)が100IU/L近くと、基準値を大幅に超えていても、まだ普通に動けます。

私は自分のワイナリーを持つほどのワイン好きで、今も週に4日ほど、グラスに2~3杯は飲んでいます。そのため、γ‐GTPは、常に150IU/Lくらいですが、自分では「200以下なら許容範囲」と、考えるようにしました。

また、医師からは横になって体をいたわるよう指導されましたが、そんなに休んでいたら、かえって疲れます。そこで絵を描き始めたところ、これがおもしろい。

寝食を忘れるほどのめり込むと体は疲れますが、肝機能値は逆に、改善するのです。

数えきれないほどのサプリにも、手を出しました。サプリは「自分に合っている、効いている」と実感できるのなら、飲む価値があると思っています。

「体を休めていたら、かえって疲れる!」

こうして肝硬変までには至らず、なんとか過ごしてきましたが、2015年の末のことです。肝炎との突然の別れがやってきました。

主治医である野村喜重郎先生のもとで、保険適用になったという新薬を試したところ、わずか2週間で肝炎ウイルスが検出されなくなったのです。

肝機能は劇的に改善し、ASTもALTも、20 IU/L前後まで一気に下がりました。

長年つきあってきた肝炎が、新薬であっけなく治ったことには驚きましたが、完治したちょうど1年後、さらなる衝撃に見舞われました。なんと、肝臓にガンが見つかったのです。

幸いすぐに大学病院を紹介してもらい、病変を焼き切る手術を受けることができました。しかし、その後も肝臓ガンは多発。これまでに4回手術を受け、11個のガンを焼きました。今後も増えるかもしれません。

肝臓病を患ってから、健康について深く考えるようになりました。

たとえ肝機能値が基準値内でも、ストレスなどでつらい日々を過ごしていたら、真に健康とはいえないのではないか。

基準値を超えていても、今を楽しめる、希望がある、元気な心を持てることが、すなわち健康なのではないでしょうか。

私はこれからも、自分なりの健康を保ちつつ、人生を楽しんでいきたいと思います。

自分なりの楽しみを見つけると体が楽になる(野村消化器内科院長 野村喜重郎)

玉村さんを診させていただいて、いつも思うのは、「体の声」を聴くことの大切さです。

検査数値ももちろん大事ですが、慢性肝炎の場合、「どうすると自分は心地よく過ごせるのか」を知っているのといないのとで、心持ちが違います。

自分なりの楽しみを見つけることが体を楽にする肝といえます。

この記事は『壮快』2019年1月号に掲載されています。

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