【予防医学】コーヒーを飲むほど肝臓がんリスクが減少すると判明!飲み方はホット?アイス?

美容・ヘルスケア

国立がん研究センターの研究をはじめとして、世界各地で、コーヒー飲用者は肝臓ガンのリスクが低いことも報告されています。コーヒーが肝臓ガンに予防的であることは、国際的にほぼ間違いないであろうといわれています。【解説】古野純典(九州大学名誉教授・医学博士)

解説者のプロフィール

古野純典(この・すみのり)
九州大学名誉教授。医師。医学博士。1974年、九州大学医学部卒業。81年、ロンドン大学疫学修士課程修了。防衛医科大学校教授、九州大学医学部教授、独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長などを経て、現職。MedStar株式会社代表取締役。公衆衛生・予防医学を専門に、健康と栄養に関する研究を行っている。

毎日4杯以上飲む人は肝硬変発症率が5分の1

私の専門は「予防医学」です。ガンなどの生活習慣病を予防し、健康に長生きするにはどうしたらよいか――。そういったテーマで、長年、研究を続けてきました。

まず、私が防衛医科大学校に在職時、1990年代から、自衛官の男性を対象に、肝機能の数値などを調査する研究を行いました。

そして自衛官の健診データを解析するうちに、「コーヒーを飲んでいる人は肝機能の数値が良好」ということに気づいたのです。

手軽に飲めるコーヒーで健康が手に入るのならすばらしいと思い、詳しい調査を始めることにしました。

1992年、米国の研究者であるアーサー・クラッキー氏らによって、『コーヒーを飲む量が多いほど、アルコール摂取による肝硬変の危険性が下がる』というコホート研究(対象者に介入せず生活習慣病などの調査・観察を長期間行う研究)が発表されました。

当時、コーヒーに注目していた私は、その報告に強い刺激を受けたのです。

なお、クラッキー氏らは、その後も12万5000人を対象に22年間追跡する研究を実践。2006年に「毎日4杯以上コーヒーを飲む人は、全く飲まない人に対して、アルコール性肝硬変の発症率が5分の1になる」という報告も行っています。

私たちも2500人の自衛官のデータをまとめて解析しました。その結果、ビール2本分程度のアルコールを摂取した人のγ‒GTPの値は、コーヒーをほとんど飲まない人よりも毎日飲む人のほうが、平均で10単位以上低いことがわかりました。

γ‒GTPは、飲酒によって高くなる肝機能の血液検査項目です。古くからアルコール過剰摂取の指標とされています。

つまり、「飲酒によって肝機能が悪化するのを、コーヒーが抑える」わけです。私たちがその研究結果を論文にまとめたのは、1994年のことです。

緑茶や紅茶などの嗜好品も調べましたが、肝機能との関連は見られませんでした。

ホットでもアイスでも健康効果に差はない

次に、九州大学に移ってから、福岡市東区の男女住民を対象に、コーヒー飲用と三つの代表的な肝機能値(AST、ALT、γ‒GTP)の関係を調べました。

AST(GOT)、ALT(GPT)は、肝細胞に含まれる酵素で、それらが破壊されることで血液中にもれ出し、数値が上がります。

その結果ですが、コーヒーの摂取量が多くなるほど、いずれの数値も低くなる傾向が確認できました(下のグラフ参照)。

《コーヒーの摂取量と肝機能値》
(九州大学福岡コホート研究・基礎調査 2004-2007年, Scand J Chin Lab Inv2010 ; 70171-9)

コーヒーの摂取量が多いと、いずれの肝機能値も低くなる傾向が確認された。

さらに、飲酒量が多い人ほど、コーヒーを飲むことで、AST、ALT、γ‒GTPの数値がより低くなる傾向にありました。

飲酒量が多い人ほどコーヒーの肝機能保護効果は高くなる、つまり「酒飲みにコーヒーはうってつけ」というわけです。この研究結果は、2010年に論文にまとめました。

「コーヒーが肝機能検査値によさそうである」という報告は、1980年代後半以降、ノルウェーやイタリア、フィンランド、米国などからも多数発表されています。コーヒーが肝機能にいい効果を及ぼすのは間違いないでしょう。

国立がん研究センターの研究をはじめとして、世界各地で、コーヒー飲用者は肝臓ガンのリスクが低いことも報告されています。

コーヒーが肝臓ガンに予防的であることは、国際的にほぼ間違いないであろうといわれています。

こうした肝機能を改善する効果は、コーヒーに豊富に含まれるポリフェノールの一種クロロゲン酸だと考えられています。

クロロゲン酸には強い抗酸化作用があります。これが肝機能にいい影響を与えているのでしょう。実際、動物にクロロゲン酸を投与した研究報告も多数あり、効果が確認されています。

飲み方は、ホットでもアイスでも、健康効果に差はありません。ブラックで飲むのが望ましいですが、飲みにくい場合は、少量の砂糖を加えてもよいでしょう。ミルクはお好みでかまいません。

目安として、1日3〜5杯を飲むといいですが、1杯からでもけっこうです。

ただし、夜寝る前に飲むとカフェインの覚醒効果が働いて眠れなくなります。そうした際には、カフェイン抜きのコーヒーを選ぶといいでしょう。

もちろん、肝臓のためには、飲酒の量を減らし、休肝日をつくることも大事です。

この記事は『壮快』2019年1月号に掲載されています。

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