【疲労・ストレス緩和】脂肪肝予防にも取り入れたい“耳”マッサージのやり方と場所

美容・ヘルスケア

耳への刺激がなぜ体のさまざまな痛みや症状に効果をもたらすのかは明確にはわかっていません。しかし、神経学的に見ると、耳を刺激することで神経が反応して、離れた部位になんらかの作用をもたらす可能性は大いに考えられます。【解説】吉田宗平(関西医療大学学長)

解説者のプロフィール

吉田宗平(よしだ・そうへい)
関西医療大学学長。大学および大学院教授。医学博士。認定内科医、日本神経学会専門医・指導医、NPO日本ハーブ振興会PHA。神経内科学が専門。東洋医学における鍼灸の診断法と治療法の科学的解明を中心に、補完・代替医療におけるハーブ医学やアーユルベーダ医学を研究。加えて、ノジェらによる耳介医学の臨床応用と、メカニズムの解明を目指している。

耳は全身の健康と深く相関している!

「耳の中の胎児」の図

上の、耳の図をご覧ください。耳の中に、逆さになった胎児が投影されています。

この図をもとに「痛みなどがある患部の位置を、胎児の体に照らし合わせ、耳介(耳)の対応点を刺激することで、症状が改善する」という説を打ち出した医師がいます。フランス人の医学博士、ポール・ノジェ(1908~1996)です。

私は神経内科医として、このノジェの耳介医学に興味を持つようになり、20年以上前から、研究を続けています。

そもそもは、大学院時代に東洋医学に関心を持ち、中国の耳針療法、いわゆる耳ツボへの刺激を、神経痛などの治療に取り入れるようになったのがきっかけです。

後に、ノジェの耳介医学を知るようになり、東洋医学のツボとわずかな差異こそあれ、9割程度は対応ポイントが一致していることに驚きました。

以降、実際に治療に活用し、その正確さと有効性を確認しています。

「耳の役目は、単に音を聴き取ること」。常識的には、そう認識されています。しかし実は、全身の健康と深く相関しているのです。

今回は肝臓に効く対応ポイントを、ご紹介しましょう。(下項参照)

ただ、東洋医学でいう「」は、血液の貯蔵や血液循環、栄養の代謝と解毒、精神の安定、自律神経の調節などをつかさどる概念です。西洋医学でいう臓器としての肝臓とは、やや意味合いが異なります。

それでも、中国の耳介医学の書に「肝」と示されている部位と、ノジェの耳の図で「Liver(レバー=肝臓)」と示されている部位が、ほぼ同じであることは、非常に興味深いと思われませんか。

疲労感の軽減やストレスの緩和にも有効

耳を使った治療といえば耳ツボが有名ですが、実は西洋でも古くから、治療に耳を利用する試みがなされてきました。

「医学の父」といわれる古代ギリシアのヒポクラテスも、耳を刺激して治療を施していたという記録が残っています。

耳を使った治療法は、主に民間療法として、あるときは広まり、あるときは廃れ、近現代まで受け継がれてきました。

そうしたなかで、耳による治療を、西洋医学的な観点から体系化しようという医師が現れました。それが、ノジェです。

1951年、ノジェは、当時普及していた耳を焼く治療法でひどい座骨神経痛が劇的に治ったという女性の症例を知り、大いに興味を持ちました。

これを機に、耳介医学の研究を開始。そして1956年、冒頭に述べた説とともに、上の図を発表したのです。

2年後、このノジェの耳介医学は中国に逆輸入されました。中国では古来、耳を診ると症状がわかると考えられていましたが、ノジェの登場により、耳ツボが治療に用いられるようになり、東西二つの耳針療法の流れが生まれたというわけです。

耳への刺激が、なぜ体のさまざまな痛みや症状に効果をもたらすのかは、明確にはわかっていません。

しかし、神経学的に見ると納得できることも多く、耳を刺激することで神経が反応して、離れた部位になんらかの作用をもたらす可能性は、大いに考えられます。

肝臓の対応ポイントは、下の図に示したとおりですが、自分では見えづらいので、初めは誰かに確認してもらうといいでしょう。

慣れてきたら、触るだけで位置がわかるようになります。指先でもんだり、つまようじのお尻の部分で押したりして刺激してください。

ここを刺激することにより、肝機能値の向上といった直接的な効果よりも、全身の血流をよくして代謝を促したり、疲労感を軽減したり、ストレスを緩和して食べ過ぎを防いだりといった周辺的な効果が期待できるでしょう。食欲の抑制は、脂肪肝の予防にもつながります。

肝臓病のかたは、ぜひ毎日の習慣にして、いいコンディション作りに役立ててください。

耳もみのやり方

※1日に何度行ってもよいが、耳を傷めないよう注意する。
※耳に傷や腫れなどの異常があるときは、刺激を控える。

左図の斜線で示したポイントを指先でもむか、つまようじのお尻の部分で押すなどして、1分ほど刺激する。
もう片方の耳も、同様に行う。

この記事は『壮快』2019年1月号に掲載されています。

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