空気清浄機の家庭への普及率は4割を超え、販売されているものの大半が、加湿空気清浄機だ。1台2役で、コスパがいい一方、メンテナンスの手間がかかるため、最近は空気清浄専用タイプが注目されている。ここでは、パナソニック、シャープ、カドー、ブルーエアの人気メーカー4社の注目機種をピックアップ。選び方、各モデルの特徴などをまとめた。
cadoの空気清浄機。
「斜流ファン」とセルフクリーニング機能搭載の「高性能フィルター」で驚異の浄化スピードを実現。スマホアプリと連携し、外出先から空気の状態確認やリモート操作が可能に。さらに目に見えない空気の“コンディション” を3色のLEDで表現する、インテリアとしても最適な1台です。
空気清浄機のタイプ
加湿機能付きが主流だが、単機能モデルも人気復活
現在、販売されている空気清浄機の大半が、加湿機能付きとなっている。これは、一台二役で場所を取らず、それぞれを単体でそろえるより出費も抑えられるが、一方で、意外にメンテナンスの手間がかかるという側面もある。加湿部分の手入れを怠るとカビが発生するため、こまめな掃除が必須だが、利用者の中には、それがめんどうで加湿機能を使わなくなるケースも少なくない。
このことから、「加湿機能はなくていいのでは?」と考える人が増え、最近は、空清専用タイプへの揺り戻しも起きているようだ。中には、加湿機能付きを発売せず、空清専用モデルに注力するメーカーもある。今回は、人気メーカー4社の注目機種をピックアップしてみた。
人気メーカー4社の注目機種
循環気流と大きな背面パネルでホコリを吸引
シャープ
FU-J50
実売価格例:2万9360円
空気清浄機 プラズマクラスター 7000
FU-J50
●操作パネル
●フィルターの種類と交換の目安
●適用床面積/~23畳(38平方メートル)●清浄時間/8畳/12分●最大風量/5.1㎥/分●消費電力/最大49W(強)●運転音/最大52dB(強)●センサー/ニオイ●サイズ/幅383mm×高さ540mm×奥行き209mm●重量/4.9kg
スリムデザインで360度方向から空気を吸い込む
カドー
LEAF 320i
実売価格例:5万9400円
LEAF
AP-C320I
●操作パネル
●フィルターの種類と交換の目安
●適用床面積/~26畳(42平方メートル)●最大風量/360㎥/時●消費電力/最大33W(急速)●運転音/最大60dB(急速)●センサー/ホコリ、ニオイ、照度、温度、湿度●サイズ/直径242mm×高さ652mm●重量/6.4kg
高い除去率とハイスピード清浄を実現
ブルーエア
Blueair Classic 480i
実売価格例:8万250円
Classic 480i
200146
●操作パネル
●フィルターの種類と交換の目安
●適用床面積/~33畳(55平方メートル)●推奨面積(CADR)/~24畳(40平方メートル)●清浄空気供給量/最大595㎥/時●消費電力/60W●運転音/最大52dB●センサー/PM2.5、VOC、温度、湿度●サイズ/幅500mm×高さ590mm×奥行き275mm●重量/14kg
「ナノイー」を搭載し、衣類脱臭にも対応
パナソニック
F-PXR55
実売価格例:3万1090円
空気清浄機
F-PXR55
●操作パネル
●フィルターの種類と交換の目安
●適用床面積/~25畳(41平方メートル)●清浄時間/8畳/11分●最大風量/5.5㎥/分●消費電力/最大49W(ターボ)●運転音/最大52dB(ターボ)●センサー/ホコリ、ニオイ、照度●サイズ/幅300mm×高さ580mm×奥行き195mm●重量/5.8kg
フィルターの特徴
手軽な「10年交換不要」とこだわりの「定期交換」
汚れた室内の空気を吸込口から取り込み、フィルターで汚れを取り除いたきれいな空気を吹出口から送出するというのが、空気清浄機のおおまかな仕組み。直径0.1マイクロメートル以上の粒子を99.9%以上除去できるのが一般的で、花粉やPM2.5、ダニのフンやウイルスなどを集塵でき、花粉症やアレルギー対策、風邪の予防、タバコのニオイ除去などに効果的だ。
フィルター性能が高いほど、より細かな微粒子を高確率でキャッチできるようになり、集塵力がアップする。つまり、製品の能力はフィルターに大きく左右されるため、それぞれの機種にこだわりが見られる。
パナソニックは、大きなホコリや毛などを捕るプレフィルター、直径0.3マイクロメートルまでの微細粒子を99.97%キャッチできるHEPA集塵フィルター、ニオイを除去する活性炭フィルターによる3段方式を採用。HEPAフィルターの繊維には、花粉やダニのフンなどのアレル物質を抑制する加工を施し、捕獲力を高めているのが特徴だ。
シャープも、パナソニックと同じ3段方式。集塵にHEPAフィルターを採用し、静電気を帯電させることで、繊維に汚れがしっかり吸着し、目詰まりがしにくいよう工夫されている。
いずれも、フィルターは、約10年間の交換不要をうたっていて、交換の手間やコストを省く長寿命タイプとなっている。
カドーは、プレ+集塵+活性炭の三つのフィルターを一つにした、一体型の筒状フィルターを採用。活性炭部分には、独自のセルフクリーニング機能を搭載し、LED光でニオイや菌を分解・除去して、フィルターの吸着力を自己再生するようになっている。
ブルーエアは、吸引時にマイナス帯電させた汚染物質を、プラス帯電した集塵フィルターで捕らえる「HEPAサイレントテクノロジー」が売りだ。直径0.1マイクロメートルの物質が捕れるが、フィルターが粗さの異なる3層構造になっているため、目詰まりが起こりにくく、大風量をキープすることが可能。静音性と省エネ性の向上にもつなげた。
こちらの2機種は、半年〜1年に一度、フィルターの交換が推奨されており、常に新品同等の性能を維持するスタイルになっている。
ちなみに、カドーとブルーエアは、世界基準といわれる、米国家電製品協会が定めた「CADR」(※)をクリアしており、世界で最高水準の高性能をうたっている。とはいえ、半年あるいは1年でフィルターの交換が必要となるので、そのたびに約8000円程度のコストが発生することは覚えておこう。アレルギーの度合いや家の周囲の環境など、状況に合わせて選びたい。
※「CADR」とは、Clean Air Delivery Rateの略で、「クリーンエア供給率」のこと。この値が高いほど、室内の空気をきれいにするスピードが速い。
空気清浄機選びのポイント
対応畳数・適用床面積
対応畳数とは、「たばこ5本分の煙を30分かけてきれいにできる広さ」の目安。広い畳数に対応した製品のほうが、スピーディに空気を浄化できる。そのため、使用する部屋の畳数・床面積よりも1.5~2倍の製品を選ぶのがおすすめ。
空気の吸い込み方式、気流
背面から吸い込むシャープ、前面下と側面から吸い込むパナソニック、360度方向から吸い込むカドー、側面から吸い込むブルーエアなど、仕様は、機種ごとにさまざま。設置場所にも関係してくるチェックポイントだ。
フィルターのメンテナンス
10年交換不要の長寿命フィルターは、月に1〜2回、プレフィルターに掃除機をかけるなどの手入れが必要。半年や1年ごとに交換するタイプは、メンテナンスはほとんど必要ない。前者は国内製品に、後者は海外製品に多い。
イオン機能(プラズマクラスター、ナノイーなど)
空気清浄機の定番といえる人気機能。カビ菌の除去やウイルスの抑制のほか、消臭や静電気の除電、保湿などに効果的だ。また、ソファーなどの家具の下やカーテン裏に入り込んで、浄化をサポートする役割もある。
Wi-Fi対応(スマホ操作)
本体にWi-Fi機能を内蔵し、スマホと連係できるトレンド機能。専用のスマホアプリを使って、部屋の空気の状態を数値やグラフで確認できたり、外出先から電源のオン/オフができたりなど、スマホで自在に操作できる。
付加機能
スマホで部屋の浄化具合が確認できるモデルもある
フィルターの性能ばかりでなく、付加機能も選択ポイントになる。
まず、最近、トレンドとなっている機能がスマホとの連係だ。今回の4機種の中では、カドーとブルーエアが対応しており、部屋の空気の浄化具合を数値やグラフで確認できるほか、外出先からの電源オン/オフやモード切り替えなどが可能。外気の状態と比較もできるため、室内が浄化されている安心感も得られる。
シャープとパナソニックは、定番のイオン機能(シャープはプラズマクラスター、パナソニックはナノイー)を搭載。ソファーの下やカーテンの裏など、空気の流れが届かない場所にイオンが入り込んでウイルスやアレル物質を抑制したり、壁や天井の静電気を除去したりといった働きをしてくれる。消臭や潤いアップなど、イオンの働きによる快適性の向上にも注目だ。
最後に、空気清浄機の選び方と使い方のポイントを整理しておこう。
まず、「対応畳数・適用床面積」は、使用する部屋の広さよりも大きいものを選ぶのが基本だ。日本電機工業会が定める基準が「たばこ5本分の煙を30分で浄化」なので、ぴったりの畳数の場合は、部屋の空気を浄化するまでに30分もかかってしまうことになる。より速くきれいにしたいなら、1.5〜2倍の広さのものを選ぶといい。
ちなみに、空気清浄機は省エネ製品なので、「中」や「静音」といったモードであれば、24時間フル稼働しても、電気代は月に100〜200円程度。基本的には、つけっぱなしで使うのがおすすめだ。
もう一つ、選ぶ際に注意したいのは、置き場所の問題。本体の形状やサイズはもちろん、吸込口や吹出口の位置も考慮する必要がある。また、運転中は部屋の空気を攪拌するために気流を起こすので、その流れを妨げないようにすることも大切だ。
シャープは背面から吸って上方へ、パナソニックは両側面と前面下側から吸って上方へ、ブルーエアは左側面から吸って右側面へ、カドーは360度方向から吸って上方へ吹き出すといった具合。例えば、シャープの場合は、背面からワイドに吸い込むため、左右に風を通すスペースを開ける必要があるなど、設置方法は機種ごとに異なる。購入してから置き場所に困ることがないよう、事前に確認しておきたい。
まとめ
花粉症やハウスダストなど、アレルギー対策での引き合いが多い空気清浄機だが、今では、さまざまな場面で役に立つ。ふだんから空気清浄機を運転させておけば、エアコン使用時のホコリっぽさが解消できるし、棚や床に積もるホコリも少なくなるため、掃除が楽になるメリットもある。なお、高性能をうたう製品は、本体が大型になりがちなので、店頭などで必ず実際のサイズを確認してほしい。
「加湿空気清浄機」の注目はコレ!
加湿機能付きの空気清浄機を選ぶ場合は、空気清浄能力はもちろん、加湿部分の衛生面にも注意したい。水回りはどうしても菌が繁殖するので、除菌や抗菌などの加工がされているか、メンテナンスがしやすい構造かどうかなどを、しっかりとチェックしたいところだ。衛生面への配慮があり、安心して使える2モデルを紹介しよう。
「ストリーマ」でフィルター&水の菌を抑制
ダイキン
MCK70V
実売価格例:6万660円
加湿ストリーマ空気清浄機
MCK70V
●加湿方式/気化エレメント回転式
●加湿量/最大650mL/時
●加湿適用床面積/プレハブ洋室:~18畳(29m²)、木造和室:~11畳(18m²)
●サイズ/幅395mm×高さ600mm×奥行き287mm●重量/12.5kg
銀イオンカートリッジで水中の菌を抑える
シャープ
KI-JP100
実売価格例:12万760円
加湿 空気清浄機
KI-JP100
●加湿方式/気化式
●加湿量/最大930mL/時
●加湿適用床面積/プレハブ洋室:~26畳
(43m²)、木造和室:~15.5畳(26m²)
●サイズ/幅427mm×高さ738mm×奥行き371mm●重量/17kg
※価格は記事作成時のものです。
●監修/中村剛
●取材・執筆/諏訪圭伊子(フリーライター)