運動不足や加齢などによりふくらはぎの筋肉が衰えると、ふくらはぎの心臓に血液を戻すポンプ作用も弱くなって全身の血液循環の悪化を招いてしまいます。それを改善するためにお勧めしているのが「つま先立ち」です。【解説】原田秀康(国際足健法協会会長)

解説者のプロフィール

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原田秀康(はらだ・ひでやす)
巍桜流拳法二代目宗家。国際足健法協会会長。30代半ばから体調をくずし、このとき足裏健康法に出合う。独自に研究を進めるうちに、ふくらはぎや太もも、足指などの重要性を見いだし、LTF療法を確立。さらなる研究に邁進している。著書『長生きはふくらはぎで決まる!』(福昌堂)が好評発売中。https://www.facebook.com/hideyasu.harada.5

体の不調の原因は血液循環の悪さにあり

「腰やひざが痛い」「体が疲れやすく、だるい」「肩が痛くて上がらない」……。体に、このような痛みや不調を抱えている人は多いのではないでしょうか。

その原因の大本には、全身の血液循環の悪さがあると、私は考えています。痛みや不調のある部分に十分な栄養や酸素が行き渡らず、老廃物の排出も滞ることで、症状の回復が遅くなってしまうからです。

それを改善するためには、下半身、特に「ふくらはぎ」の筋肉を鍛えることが重要です。なぜなら、ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれるほど、血液の循環に大きな役割を果たしているからです。

運動不足や加齢などにより、ふくらはぎの筋肉が衰えると、ふくらはぎの心臓に血液を戻すポンプ作用も弱くなって、全身の血液循環の悪化を招いてしまいます。

それを改善するために、私はこれまで、さまざまな方法を考案してきました。その中でも、最近、いちばんお勧めしているのが、「原田式カーフレイズ」と名付けた「つま先立ち」の運動(以下、つま先立ち)です。

「カーフレイズ(calf raise)」のcalfは「ふくらはぎ」、raiseは「持ち上げる」という意味です。つまり、カーフレイズとは「つま先立ちでふくらはぎを持ち上げるエクササイズ」のことを指します。

これ自体は、オーソドックスな筋トレの一つで、私も以前からやっていますが、今一つ効果を感じられずにいました。

そこで、どうすればいいか、あれこれ試しました。その結果、つま先の向きを変えて行うと、効果があることを発見したのです。

すぐに体が柔軟になる「原田式カーフレイズ」のやり方

一般的なつま先立ちは、つま先を前に向けた状態で行いますが、原田式のつま先立ちでは、つま先の向きを「外側」「前側」「内側」にそれぞれ向けた状態で行うのがポイントです。

実際にやってみるとわかりますが、つま先の向きを変えて行うと、向きによって、使われるふくらはぎの筋肉が変わります。

このように、それぞれ異なる筋肉を使うことで、ふくらはぎの筋肉をまんべんなく鍛えることができるので、より血流促進・筋力強化につながるのです。

また、つま先立ちをすると、ふくらはぎだけでなく、足の指や足の裏、太もも、お尻、腹筋、脊柱筋などの筋肉も使われます。これも、全身の血流をよくするのに役立ちます。

では、具体的なやり方をご紹介しましょう。やり方はとても簡単です。

画像1: 疲れやすい原因は血行の悪さ?“新型”つま先立ちの効果とやり方

【基本姿勢】
イスやテーブルなどにつかまって立ち、足を肩幅程度に開く。

画像2: 疲れやすい原因は血行の悪さ?“新型”つま先立ちの効果とやり方

❶ つま先を外側に向けて行う
両足のつま先をできるだけ外側に開いた状態でつま先立ちをし、ゆっくりかかとを床ギリギリまで下ろす。上げる・下げるを1回として、30回行う。

画像1: すぐに体が柔軟になる「原田式カーフレイズ」のやり方
画像3: 疲れやすい原因は血行の悪さ?“新型”つま先立ちの効果とやり方

❷つま先を前側に向けて行う
両足のつま先をまっすぐ前に向けた状態でつま先立ちをし、ゆっくりかかとを床ギリギリまで下ろす。上げる・下げるを1回として、30回行う。

画像2: すぐに体が柔軟になる「原田式カーフレイズ」のやり方
画像4: 疲れやすい原因は血行の悪さ?“新型”つま先立ちの効果とやり方

❸つま先を内側に向けて行う
両足のつま先をできるだけ内側に向けた状態でつま先立ちをし、ゆっくりかかとを床ギリギリまで下ろす。上げる・下げるを1回として、30回行う。

画像3: すぐに体が柔軟になる「原田式カーフレイズ」のやり方

❶では足の親指側に力が入るように意識し、❸では足の小指側に力が入るように意識して行います。こうすることで、足の内側や外側の筋肉もまんべんなく鍛えられます。

いずれも、かかとを上げるときは、なるべく高く上げ、下ろすときはドスンと床に下ろさず、床から少し浮かせた位置でとどめるとより効果的です。

また、はだしで行うと、足指が開いて、しっかり床をつかみやすくなります。

つま先立ちは、1日1~2度、各30回行うといいでしょう。きつい場合は無理をせず、少しずつ回数や強度を上げていってください。

1日のうち、いつ行ってもかまいませんが、起床時に肩や腰が痛い人、胃腸の働きがよくないと感じる人は、朝行うと血流がよくなり、1日快適に過ごせます。

また、つま先立ちをする前と後に、前屈をしてみてください。つま先立ちをした後は、前屈がしやすくなっているはずです。これこそ、全身の血流がよくなっている証拠です。

股関節痛や肩こりなどさまざまな症状に効く

このつま先立ちは、すでに多くのかたが実践され、肩こり、四十肩、腰痛、ひざ痛、股関節痛、座骨神経痛など、さまざまな症状の改善に効果を発揮しています。

その一例をご紹介しましょう。私は、東急スポーツオアシス大阪狭山店の会員なのですが、そのジムには、肩こり、腰痛、ひざ痛、高血圧などの不調を抱えた高齢者のかたがたが多く通っています。

トレーニング中に、そういったかたがたと親しくなり、つま先立ちを教えると、みるみる症状が改善していきます。

そこで、「もっと多くの人が元気になってくれれば」との思いから、ジムのトレーニングメニューにつま先立ちを取り入れてもらえるよう提案したのですが、採用されませんでした。

あきらめられなかった私は、スポーツジムの本社の社長に、手紙をしたためました。すると今年(2018年)の6月初旬、東京からサブマネージャーのY氏(男性)が、体験にいらしてくれたのです。

彼は筋肉質のりっぱな体格をしていましたが、事故などで両肩を痛めて、胸郭出口症候群と診断されており、「治らない」とあきらめているとのことでした。

そこで、負荷を86.75㎏に設定したジムの器械を使って、つま先立ちの運動をやってもらったのです。

外側20回・前側20回・内側20回を行ってもらい、それぞれが終わるたびに前屈をしてもらったところ、体がどんどん柔らかくなっていきました。

3種類のつま先立ちが終わった時点で、肩の具合をみてもらったところ、肩がぐんと軽くなったとのことで、「まさか、こんな簡単な運動でよくなるなんて!」と、とても驚いていました。

画像: ジムでは器械を使って負荷をかけた状態で行う

ジムでは器械を使って負荷をかけた状態で行う

つま先立ちのような一般的な筋トレを、つま先の向きを変えて行うだけで、こんなに効果が出るはずがないと思っていたのでしょう。これを機に、ジムでのつま先立ちを主体としたセミナーの開催が実現しました。

このとき参加された21名のかたがたは、ひざ痛、腰痛、肩の痛み、股関節痛、足の痛み、認知症など、治らないとあきらめていた痛みや不調が解消していき、らくになったと感激してくださいました。

その中の一人に、中原良秋さん(男性・72歳)がいます。中原さんは肺気腫を患っており、何度か入退院をくり返しています。

ゴルフが唯一の趣味なのですが、医師からは、ゴルフも筋トレも止められていました。それでもゴルフがやめられず、ゴルフ場には行くものの、「ひどく疲れてしまう」と嘆いていました。

中原さんは体がとても硬く、前屈がほとんどできない状態でしたが、つま先立ちをするようになって、だんだん指先が床に近付いていき、今では床をグーパンチできるほど柔軟になりました。

また、ひざが悪くてできなかった正座ができるようになり、呼吸が深くなって、「ゴルフに行っても、以前ほど疲れなくなった」と喜んでいます。

たかが「つま先立ち」と思われるかもしれませんが、全身の血流がよくなり、いろんな症状が改善する、実はすごい運動です。しかも誰にでも簡単にでき、すぐに効果が現れるので、とても重宝するはずです。ぜひやってみてください。

画像: この記事は『安心』2019年1月号に掲載されています。

この記事は『安心』2019年1月号に掲載されています。

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