【トマト味噌汁】おいしい理由はトマトの成分「グルタミン酸」! リコピン吸収率がアップする食材が新たに判明!

美容・ヘルスケア

トマトのグルタミン酸が体内で生成するGABAは、末梢血管の収縮を防ぎ血圧の上昇を抑える働きがあります。リコピンには活性酸素を消去する強力な抗酸化作用があり、生で食べるよりも加熱したほうが、吸収率が上がることも多くの研究で報告されています。【解説】稲熊隆博(京都光華女子大学健康科学部教授)

解説者のプロフィール

稲熊隆博(いなくま・たかひろ)
京都光華女子大学健康科学部健康栄養学科教授。農学博士、技術士。同志社大学大学院工学研究科博士課程(前期)修了後、カゴメ株式会社に入社。カゴメ(株)総合研究所主席研究員を定年退職後、帝塚山大学現代生活学部教授を経て現職。トマトをはじめ、野菜研究のスペシャリストとして研究を重ねている。

生命維持に不可欠な必須アミノ酸を一挙に摂取!

私は、トマトをはじめ、さまざまな野菜の成分やその健康機能性を研究してきました。今回の、トマトをみそ汁の具にした「トマトみそ汁」は、味と栄養の観点から見ても、実に好相性の組み合わせです。

20年ほど前でしょうか。私は、あるテレビ局のスタッフに、「新しいみそ汁のとり方はないか?」と企画の相談をされたので、トマトみそ汁を提案しました。以来、私は、テレビ番組や講演会などで話す機会がある度に、トマトみそ汁を勧めています。

私が勧める理由は、トマトとみそそれぞれの健康効果が高く、トマトとみそ汁がもたらす、旨みの相乗効果が非常に魅力的だからです。

以前、大学のオープンキャンパスで、ある実験を行いました。まず、参加者の皆さんに、出汁を取っていない、みそをお湯で溶いただけのみそ汁を配ります。当然、ただ塩辛いだけで、おいしくはありません。

次に、そのみそ汁に、生トマトを丸ごと加えて、再び煮てからとってもらいました。すると、多くの人が「旨みが出た」と、味の変化を感じました。つまり、トマトが出汁の役割を果たしたのです。

この旨みをもたらしたのは、トマトに豊富に含まれている、グルタミン酸という成分です。

グルタミン酸は、たんぱく質を構成するアミノ酸の一種で、コンブに含まれていることでも有名です。生トマトにも多く含まれ、トマトの缶詰には、さらに多く含まれています。その量は、生コンブとほぼ同じです。

このグルタミン酸は、体内にも働きます。腸内のエネルギー源として使われて、小腸や大腸の消化・吸収を促進します。消化力が低下している高齢者に、非常に有効な成分といえます。

また、トマトのグルタミン酸は、体内でGABAという物質を生成します。GABAは、末梢血管の収縮を防ぎ、血圧の上昇を抑える働きがあります。

そして、トマトがすばらしい点は、生命活動に欠かせない数多くのアミノ酸が、まんべんなく含まれていることです。これは、高たんぱくといわれている、卵の卵白などにひけを取りません。

アミノ酸は、どれか一つだけが突出してあればいい、というわけではありません。バランスよく含まれていることで、それぞれが助け合って、健康効果を発揮します。

トマトの場合は、加熱すればかさが減り、摂取できる量も増えるので、より多くのアミノ酸をとりやすくなります。

そして、みそも、必須アミノ酸がすべて含まれている優秀食品です。ですから、両方のアミノ酸を得られるトマトみそ汁は、健康な体づくりを強力に支える一杯といえるでしょう。

肉とタマネギも入れれば最強の抗酸化汁が完成!

私は、トマトの赤い色素であるリコピンについても、長年研究をしています。トマトジュースをそのまま飲んだ人よりも、オリーブオイルを加えて飲んだ人のほうが、リコピンの吸収率が約4.5倍も高まるという研究も、私が関係したものです。

リコピンには、活性酸素を消去する、強力な抗酸化作用があります。活性酸素とは、細胞を傷つけ、老化や生活習慣病の原因となる物質です。

ですから、リコピンをしっかりとっていれば、肌や血管に生じた活性酸素が消え、シミやシワ、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの予防が期待できます。

そして、生でトマトを食べるよりも、加熱したほうがリコピンの吸収率が上がることも、多くの研究で報告されています。

つまり、トマトを温かいみそ汁でとることは、リコピン摂取のために有効なのです。さらに、トマトに豊富なビタミンB群やCなどの水溶性ビタミンを余すことなく摂取できるのも、みそ汁の利点です。

リコピンは、トマトの皮の部分に多く含まれ、前述したグルタミン酸は、種の周りのゼリー状部分に豊富です。ですから、やはり丸ごと摂取することをお勧めします。

最近、オリーブオイルのほかに、トマトのリコピンの吸収率を高める食材が発見されました。それは、「肉」と「タマネギ」です。

豚や牛などの動物性の脂は、オリーブオイル同様、オレイン酸を多く含んでいます。このオレイン酸が、リコピンの吸収率アップに役立ちます。

一方、タマネギは、トマトを油で加熱する際に加えると、さらにリコピンの吸収率が上がると、最新の研究で判明しました。これは、ニンジンやキャベツなど、ほかの野菜と比較しても、有意に差が出ています。

これらを踏まえると、タマネギ入りの豚汁にトマトを加えれば、栄養満点の一杯が完成します。タマネギの甘みとトマトの旨みが合致して、おいしさもさらにアップします。

皆さんもぜひ、毎日のみそ汁にトマトを加えて、おいしく健康になりましょう。

トマト入り豚汁もオススメ!

この記事は『壮快』2019年3月号に掲載されています。

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