「低体温だと病気になる」。これは体が冷えていると化学反応が進まず、栄養素をうまく取り込めなくなって抵抗力が低下するためです。ショウガみそ汁を飲むと、温かさとショウガオールの効果で体の中心が温まり、温まった血液が循環し全身の温度が上がります。【解説】今津嘉宏(芝大門いまづクリニック院長)

解説者のプロフィール

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今津嘉宏(いまづ・よしひろ)
芝大門いまづクリニック院長。慶應義塾大学病院をはじめとした総合病院で、外科医と漢方医の研鑽を積む。2011年の震災を機に、患者のそばにいられる町医者を目指して、芝大門いまづクリニックを開院。西洋医学と東洋医学を活用し、「頭のてっぺんから足の先まで」を合い言葉に、総合的な診療に当たっている。

ショウガはすりおろして加熱するとより効果的

みそ汁におろしショウガを入れる「ショウガみそ汁」が、テレビや雑誌で話題になっているようです。

ショウガの歴史は古く、日本には奈良時代に中国から伝わりました。伝来当初は貴重な物でしたが、日本の各地で栽培されるようになります。私のクリニックがある芝大門の辺りも、昔はショウガ畑でした。

江戸時代になると、ショウガは一般庶民にも広く使われるようになりました。当時は、どこの家庭にも、ショウガとナツメが調味料として常備されていたといいます。

ちなみにナツメは、乾燥した物を砂糖がわりに使っていたそうです。一方、ショウガは一年中、手に入る物なので、生のまま、刻んだりすりおろしたりして使用していたようです。

ショウガは、漢方薬に多用される生薬です。生の物を生姜、蒸して乾燥させた物を乾姜といいます。胃腸の調子を整えて食欲不振を改善したり、冷えた体を温めたりする漢方薬に使われてきました。

また、庶民の間では、民間療法にも用いられました。皆さんも子供のころ、カゼの引き始めに、ショウガのしぼり汁を加えたクズ湯などを飲んだ経験がありませんか?

現代の薬学においても、ショウガの効能が解明されつつあります。

筆頭に挙げられるのが、辛み成分であるジンゲロールの血流改善効果でしょう。ジンゲロールは末梢の血管を拡張し、血液の流れをよくします。体の隅々まで血液が巡り、体がポカポカ温まります。

ジンゲロールは、加熱することでショウガオールという成分に変わり、血流を改善したり、体を温めたりする効果が、より強くなります。ですからショウガは、生よりも、加熱してとるほうがお勧めです。

またジンゲロールは、ショウガをすりおろすことで抽出量が増えます。刻みショウガより、おろしショウガにしたほうがいいでしょう。

こうしたショウガの特長を鑑みると、冒頭で触れたショウガみそ汁にも、ショウガはすりおろした物を使い、少し加熱してから飲むと、より効果的といえます。

ショウガみそ汁を飲むと、みそ汁の温かさとショウガオールの効果で、口から食道、胃、腸といった消化器の内壁の血管が順々に拡張し、血流量が増えていきます。

食道や胃の血流がよくなって温まることで、胃もたれや胸やけ、消化不良などの軽減を実感できるでしょう。

さらに下方の腸にも、好影響が及びます。腸の粘膜の血流がよくなり、栄養や水分の吸収が適切に行われるようになり、蠕動運動(便を先に送る動き)も正常化して、下痢や便秘が解消します。

代謝や免疫力が上がり太りにくくなる!

次に、みその薬効についてお話ししましょう。

ご存じのように、みそは大豆を麹で発酵させて作ります。古来、中国では、黒豆を微生物で発酵させた物が、漢方薬の材料として使われてきました。「大豆を発酵させた物が体によい」ことは、昔から体験的にわかっていたのです。

発酵食品の最大の特長は、腸内環境を整えることです。

腸内には腸内細菌のほか、真菌などの微生物も存在していて、互いに作用しながら腸内環境を作っています。私たち人間が元来消化できない食物繊維なども、これらの菌のおかげで消化できるのです。

発酵食品を作る過程で生じる菌は、腸内の善玉菌のエサとなり、善玉菌の活性を高めます。悪玉菌が減って善玉菌が優位になれば、便通がよくなって肌の状態が改善したり、代謝が上がったり、消化吸収能力が高くなったりします。

発酵食品には、動物性の原料で作るチーズやヨーグルトのほか、植物性のみそ、酢、しょうゆ、甘酒、納豆、ぬか漬け、キムチなどがあります。いずれも身近な食材です。

しかし、どんなに優れた作用を持つ食品でも、冷えている体内では、その効果を十分に発揮できません。

栄養素は、体内で酵素と出合い、化学反応を起こして初めて、役立つようになります。その化学反応が起こるには、体内の温度を37度前後に保つ必要があるのです。

よく「低体温だと病気になる」といいますが、これは体が冷えていると化学反応が進まず、栄養素をうまく取り込めなくなって、抵抗力が低下するためです。

体温を上げるには、温かい食べ物や飲み物をとるのがいちばん。消化器は、人体の中心を貫く1本の「管」です。その管の内壁には、毛細血管が密集しています。

温かいショウガみそ汁が消化器を通ることで、体の中心が温まり、温まった血液が循環することで全身の温度が上がります。

1日のうちで最も体温が下がっている朝に、ショウガみそ汁をとりましょう。それだけで、全身がポカポカと温まり、代謝も免疫力も上がり、太りにくく病気になりにくい体になっていきます。

また、夜にとるのもお勧めです。温かく消化のよいみそ汁をとることで、心身がリラックスし、良質の睡眠を得られるでしょう。

画像: この記事は『壮快』2019年3月号に掲載されています。

この記事は『壮快』2019年3月号に掲載されています。

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