脊柱管狭窄症の手術を“ほぐして”回避。医師おすすめの対策「テニスボール指圧」のやり方

美容・ヘルスケア

私を診察した医師は手術を提案しました。しかし狭窄症の手術というのは仮に成功しても症状が残るケースがあると知っていました。手術をためらい、痛み止めを飲んでしのいでいた私の症状が劇的に改善するきっかけとなったのが「テニスボール指圧」でした。【解説】渡辺尚彦(医師・愛知医科大学客員教授)

解説者のプロフィール

渡辺尚彦(わたなべ・よしひこ)
東京女子医科大学医学部教授(東医療センター内科)。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。1984年、同大学院博士課程修了。1995年、ミネソタ大学時間生物学研究所客員助教授として渡米。専門は高血圧を中心とした循環器内科。1987年8月から携帯型血圧計を装着、以来31年にわたり365日24時間、自分の血圧を測る血圧ドクター。わかりやすい指導と笑いの絶えない診察室が評判で、遠方からの患者さんも多い。『血液循環の専門医が見つけた 押すだけで体じゅうの血がめぐる長生きスイッチ』(サンマーク出版)ほか著書多数。

痛みやしびれの解消は血圧を下げるのにも有効

十年来悩まされてきた、私の脊柱管狭窄症を劇的に改善させたのは、二つのテニスボールでした。

循環器が専門の内科医である私が、脊柱管狭窄症との診断を受けたのは、今から10年ほど前のことです。もともと20代から、慢性的な腰痛を抱えており、年に一度はギックリ腰を発症。また、椎間板ヘルニアも患っていました。

そして、5年ほど前からは痛みとしびれの症状が出始め、それがどんどん悪化してきたのです。セキをすれば腰に響き、電車内では立っていられません。

また、脊柱管狭窄症の典型的な症状として、「間欠跛行」という症状があります。私の場合も、長く歩くことができませんでした。

なにしろ、ほんの10mもまともに歩けないのです。重い荷物も持てませんから、キャリーバッグを引いて通勤していました。診療にも支障が出て、「このままでは、医師としてやっていけないのではないか」と、悩んでいました。

整形外科でMRI(磁気共鳴画像法)を撮ったところ、私の脊柱管は、首で2ヵ所、腰の近くで3ヵ所の狭窄があると判明しました。

最初に私を診察した医師は、狭窄部分を広げる手術を提案しました。しかし、狭窄症の手術というのは、仮に成功しても症状が残るケースがあると知っていました。

手術をためらった私は、しかたなく痛み止めを飲んで、その場をしのいでいたのです。

そんな私の症状が劇的に改善するきっかけとなったのが、ある患者さんが勧めてくれた「テニスボール指圧」でした。

半信半疑で試したところ、翌日から調子がよいのです。そして、1週間続けると、前の週より長く歩けるようになり、1ヵ月も経つと、状態が改善しているのは明らかでした。

テニスボール指圧のやり方は次のようなものです。

テニスボールを二つ用意し、くっつけた状態でガムテープや包帯を使って、ぐるぐる巻きにします。ピーナッツのような形にするわけです。(ずれたり動いたりしないようにしっかりと固定する。)

これを腰に当ててあおむけになります。当てる位置は、腰骨の上辺りです。ちょうど2個のテニスボールが、背骨に沿って両わきを走る脊柱起立筋を指圧するようにしてください。(上の写真参照)

そして、テニスボールの位置を徐々に上にずらしながら、肩甲骨の下辺りまで指圧しましょう。テニスボールに体重をかけるように意識するとうまくいきます。

テニスボールを当てている時間は、1ヵ所につき、長くても3分ほどです。最初は痛く感じますが、徐々に「痛気持ちいい」感覚になっていきます。
テニスボール指圧を行うのは、就寝前の1日1回。余裕があれば、朝晩2回行いました。

続けているうちに、1年ほどで、しびれや痛みの症状が驚くほど改善しました。

長く歩くこともできるようになり、朝の通勤時、急いでいるときは駅まで走れるようにもなりました。通勤時のキャリーバッグも不要になり、痛み止めも飲まなくなりました。

当然ですが、手術も受けずに済んだのです。

私自身がそうでしたが、脊柱管狭窄症の人は、腰の筋肉がガチガチにこっています。狭窄部分を手術で広げるよりも、むしろ、このこわばった筋肉をほぐすほうが、はるかに効果的なのです。

その後、私は患者さんから脊柱管狭窄症の相談を受けると、テニスボール指圧をどんどん勧めるようになりました。

私自身の専門は高血圧症などの循環器で、腰の痛みが原因で血圧が上がるケースを多く見ています。ですから、高血圧と脊柱管狭窄症で悩んでいるかたには、特にテニスボール指圧がお勧めです。痛みやしびれが軽快すれば、それは高血圧症の解消にも役立つからです。

あの有名俳優も右足の激痛を克服!

では、テニスボール指圧でよくなった体験例をご紹介しましょう。

俳優の布施博さんは、かなり重症の脊柱管狭窄症でした。右足に激痛が走って伸ばせなくなっており、まともに歩けない状態で、手術を勧められていました。

あるテレビ番組でごいっしょしたとき、テニスボール指圧を勧めてみたのです。すると、右足の激痛が治まって、かなりスムーズに歩けるようになるまでに改善。手術も回避できたと、大変喜んでおられました。

また、60代のある男性は、3回も脊柱管狭窄症の手術を受けました。それにもかかわらず、足がしびれてきたというので、テニスボール指圧をお勧めしました。その結果、しびれが取れて思うように歩けると感激していました。

一概にはいえませんが、脊柱管狭窄症は手術をすればよくなるとは限りません。同じような狭窄があっても、痛みが出る人と出ない人がいるのです。

つまり、狭窄のある部位だけが、症状の原因ではないということです。それよりも、むしろ、腰椎(腰の部分の背骨)周辺の筋肉をほぐすほうが、重要なのではないでしょうか。

その証拠に、ガチガチにかたくなった腰をテニスボール指圧でもみほぐすことで、足腰の痛みやしびれが改善した人がたくさんいるのです。

この記事は『壮快』2019年3月号に掲載されています。

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