脳は大量にエネルギーを消費する、非常に繊細な器官です。脳を働かせていれば老廃物、つまりゴミが発生します。ゴミがたまってくると、脳の働きが悪くなるだけでなく認知症の原因にもなります。こうした脳のゴミは、実は睡眠中に大掃除されているのです。【解説】宮崎総一郎(中部大学特任教授・日本睡眠教育機構理事長)

最新研究で判明!長く深く眠りたいなら運動や筋トレで筋肉量を増やすといい!

不眠症とは

「寝ても疲れが取れない」「スッキリと起きられない」など、睡眠に関する悩みは人それぞれ違うでしょう。睡眠に不満があったとしても、健康上はあまり問題がないこともあれば、逆に不満はなくてもすぐに対処が必要なこともあります。

まず、不眠症とはどのような状態を指すのか、確認しましょう。
不眠症と診断されるのは、次の3つの症状が1カ月以上続いた場合です。

入眠障害 なかなか寝付けない
中途覚醒 何度も目が覚める
早朝覚醒 朝早く目が覚める

実は、「熟睡感がない」という感覚は、不眠症の診断基準には入らないのです。

朝起きたときに疲れがない
昼間に眠気がなく、普通に活動ができる

この2つを満たしていれば、睡眠時間は足りていて、睡眠の質には問題がないと判断されます。

『高齢者は長く寝るほど高血圧のリスクが上がる』

また、睡眠時間は長ければいいというわけでもありません。睡眠時間と、高血圧になるリスクについての調査を紹介しましょう。

7~8時間睡眠で高血圧になるリスクを1とした場合、32~59歳では睡眠が5時間以下だとリスクが1.6倍になり、睡眠時間が長くなるほどリスクが低くなりました。

ところが60~82歳では、睡眠が5時間未満の場合は0.85倍、逆に9時間以上になるとリスクが1.31倍になり、睡眠時間が長いほどリスクが上がったのです。つまり、若い人と高齢者ではまったく逆の結果が出たということです。

『体調維持には最低6時間の睡眠が必要』

睡眠は年齢の影響を受けます。年を取るほど、中途覚醒の時間が長くなり、睡眠は浅くなることがわかっています。

ポイントは、「基礎代謝量」です。

基礎代謝量とは、生命維持のために消費する必要最小限のエネルギーで、筋肉量に比例します。若い頃は筋肉量が多いうえ、活発に体を動かすので、長く、ぐっすりと眠れたのです。

しかし、年齢を重ねるとともに筋肉量も減り、活動量も減っていくため、睡眠時間も減ることになります。言い換えれば、長く、深い睡眠は不要になってくるわけです。

それにもかかわらず、長く寝ようとして寝床でじっとしていれば、「眠れない」と悩むうえ不活発になり、高血圧のリスクが高くなるのは当然のことだと考えられます。

その場合、よく眠るために、適度な運動や筋力トレーニングを取り入れることをお勧めします。筋肉量が増えれば基礎代謝量も増え、ぐっすりと眠れるようになるはずです。

アメリカの睡眠財団の発表によれば、26~64歳の場合、推奨睡眠時間が7~9時間、許容睡眠時間は6~10時間となっています。

《年代別の推奨睡眠時間》

画像: (アメリカ睡眠財団のデータより)

(アメリカ睡眠財団のデータより)

許容睡眠時間には4時間もの幅があります。理由の一つは、長く眠らないと調子が出ない「ロングスリーパー」と、短時間睡眠でも平気な「ショートスリーパー」がいるからです。

実は、睡眠は個人差が大きいものなのです。ですから「8時間睡眠がいい」という、科学的な根拠はありません

ショートスリーパーは、人口の5~10%といわれていますが、多くの人は最低6時間は眠らなければ、体調は維持できません。

『「朝活」より「夕活」のほうが効率的』

加えて、朝型と夜型という違いもあります。私たちの体温は1日の中で変動していますが、朝型と夜型では次のように異なります。

朝型……午後9時頃から体温が下がり始め、翌日午前3時頃に最低となる。その後上昇に転じ、午前6時頃にはかなり高くなる。
夜型……午後11時頃から体温が下がり始め、翌日午前7時頃に最低となる。上昇に転じるのはそれ以降。

体温が上がると体は活動モードになり、下がるとお休みモードに入ります。夜型は午前7時に体温が最低になるため、朝になってもスッキリと起きられないのです。

ですから、朝早くに勉強や趣味などの活動を行う「朝活」や「朝練」をしても、効率が悪いうえ、睡眠不足になります。

朝型・夜型にかかわらず、人間の体温は夕方から高くなり始めるので、「夕活」や「夕練」のほうが効率的なのです。朝型か夜型かを知るためには、下にチェックリストがあります。

読者の皆さんも睡眠時間の最低ラインを6時間と考えたうえで、ご自分に最適の生活パターンを探ってください。

《朝型・夜型セルフチェック》
①から⑥の質問に答えて、点数を合計します。9点以下なら、朝型。10~15点なら、どちらとも言えません。16点以上なら夜型です。

❶1日の予定が特に何もないとき、あなたは何時に起床しますか?
・午前7時より前……(1点)
・午前7時から9時の間……(2点)
・午前9時以降……(3点)

❷仕事のある日は、らくに起床することができますか?
・らくに起床できる……(1点)
・少しつらい/日によってつらいときもある……(2点)
・とてもつらい……(3点)

❸朝、起床後30分間の目覚めはどのように感じますか?
・目覚めている/さわやかだ……(1点)
・気分は日によって異なる……(2点)
・眠い/疲れている……(3点)

❹好きな時間に就寝できるなら、何時に就寝しますか?
・午後10時30分より前……(1点)
・午後10時30分から午前0時の間……(2点)
・午前0時以降……(3点)

❺夜遅くに働くことは、日中に働くのと同様に容易だと感じますか?
・容易ではない……(1点)
・ときどき容易だと思う……(2点)
・いつも容易だと思う……(3点)

❻あなたが眠りたいときはいつでも簡単に眠ることができますか?
・ほとんどできない……(1点)
・ときどきできる……(2点)
・たいていできる……(3点)

画像: (Getting a Good Night's Sleep,1998より引用)

(Getting a Good Night's Sleep,1998より引用)

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