【ミラーレス一眼比較】マイクロフォーサーズ機「DC-G9」とフルサイズ機「EOS R」を比べてみた

文具・ホビー・カメラ

撮像センサーの違うミラーレス一眼2モデルを比較した。フルサイズの「キヤノン EOS R」とマイクロフォーサーズの「パナソニック DC-G9」をピックアップ。交換レンズの価格と重さ、ボケの大きさ、ダイナミックレンジ、高感度性能の4つのポイントで比べてみた。

ミラーレス一眼のマイクロフォーサーズ機・フルサイズ機を比較

センサーが小さい割にボディサイズは大差ない?

フルサイズ

ミラーレス一眼
キャノン EOS R

24万8500円(ボディ)

有効画素数/3030万画素●AF/デュアルピクセルCMOS AF方式●測距点/最大5655ポジション●ISO感度/ISO100~2万5600●連続撮影速度/最高8.0コマ/秒●サイズ・重量/幅135.8mm×高さ98.3mm×奥行き84.4mm・660g

※価格はすべて実売価格例で、記事作成時のものです。

マイクロフォーサーズ

ミラーレス一眼
パナソニック DC-G9

20万4400円(ボディ)

●有効画素数/2033万画素●AF/TTL方式(コントラストAF)●測距点/225点/●ISO感度/ISO100~2万5600●連続撮影速度/最高20コマ/秒●サイズ・重量/幅136.9mm×高さ97.3mm×奥行き91.6mm・658g

撮像センサーのサイズが違うペアで比べてみよう。
フルサイズ機は昨年10月発売のキヤノン・EOS R。マイクロフォーサーズは昨年1月発売のパナソニック・DC-G9だ。
フルサイズの画面サイズは36ミリ×24ミリ。マイクロフォーサーズは17.3ミリ×13ミリで、面積はフルサイズの約1/4となる。

このことから、パナソニックのDC-G9やDC-GH5を「大きすぎる」という声もあるが、撮像センサーはカメラを構成する部品の一つにすぎないことを見落としている。画像処理回路やEVF、モニター、バッテリーなどまでが1/4サイズになるわけではないのだ。

ここでは4つのポイントについてチェックしてみた。

1. 交換レンズは?
2. ボケの大きさは?
3. ダイナミックレンジは?
4. 高感度性能は?

1. 交換レンズは?

広角、標準、望遠の3本の大口径ズーム(パナソニックはF2.8固定の広角ズームがない)を3本ずつの価格と重さを合計したのが左の数字。高性能タイプでそろえても、撮像センサーサイズの小さなマイクロフォーサーズは、軽快かつ経済的なシステムが組めることがわかる。

キヤノンの大三元レンズ

合計金額:77万1930円
合計重量:3075g

EF 16-35mm F2.8 LIII USM(25万7030円/790g)

EF 24-70mmF2.8 L II USM(22万3300円/805g)

EF 70-200mmF2.8 L IS III USM(29万1600円/1480g)

※価格はすべて実売価格例で、記事作成時のものです。

パナソニックの大三元レンズ

合計金額:32万1810円
合計重量:977g

LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm/F2.8-4.0 ASPH.(12万2020円/315g)

LUMIX G X VARIO12-35mm/F2.8 II ASPH./POWER O.I.S.(9万2360円/305g)

LUMIX G X VARIO 35-100mm/F2.8 II/POWER O.I.S.(10万7430円/357g)

※マイクロフォーサーズレンズの焦点距離は、35ミリフルサイズ判に換算すると2倍の数値になる。

2. ボケの大きさは?

画角を統一して同じ絞り値で撮影した画像を見比べると、EOS Rのほうが背景が大きくボケているのがわかる。ボケを生かした絵づくりをしたいなら、フルサイズ機のほうが有利なわけだ。反対に、背景まできちんとピントを合わせたいときは、マイクロフォーサーズが有利だ。

フルサイズEOS R

RF24~105ミリの望遠端で、絞りF4で撮影したカット。ピントが合った位置以外が大きくボケてくれるので、画面を整理しやすいなどのメリットがある。

マイクロフォーサーズDC-G9

DGバリオ・エルマリート12~60ミリで、ほぼ同じ画角にして画面の左右幅をそろえて撮っている。背後のボタンの穴やグラスのモザイク柄も見えている。

3. ダイナミックレンジは?

カラーチャートの左側から光を当て、明暗の差を大きくした状態で、右下の黒が黒つぶれする暗さから、左下の白が白飛びする明るさまでの露出の差をチェック。DC-G9が5段あったのに対して、EOS Rは4段。黒つぶれは同等だが、白飛びが早いという結果となった。

マイクロフォーサーズ DC-G9

白飛びが発生するのは適正露出より1・1/3段明るいカット。白飛びしにくいのはりっぱ。黒つぶれは適正露出より3・2/3段暗いカットで、これはEOS Rと同等。

フルサイズEOS R

適正露出のカットよりも1/3段明るくしただけで白飛びが発生するのはちょっと気になる。黒つぶれが起きるのは適正露出より3・2/3段暗いカット。

4. 高感度性能は?

高感度の画質は、画素当たりの受光面積が大きいほど高くしやすい。そうなるとフルサイズのEOS Rの画質がいいはずで、実際、ピクセル等倍で比較した印象では、2段分くらいの差があるように感じた。感度を上げて撮影する機会が多いなら、やはりフルサイズ機が有利といえる。

マイクロフォーサーズ DC-G9

最高感度はISO2万5600。ISO1600から暗い部分の再現が悪くなり始める。安心して使えるのはここまで。ISO3200からは解像感の低下も気になってくる。

フルサイズ EOS R

常用最高感度はISO4万。拡張時は最高ISO10万2400まで。ISO3200ぐらいから暗い部分の再現は悪くなり始めるが、ISO6400までは常用可能な印象だ。

撮像センサーは、ボディより交換レンズのサイズや予算に影響大!

ボケの大きさや高感度性能はフルサイズが有利

一方、交換レンズは撮像センサーのサイズに大きく左右される。画角(画面に写る範囲)が同じであれば、フルサイズ用のレンズのほうが大きく重くなる。
例えば、いわゆる大三元レンズ(ハイスペックタイプの大口径ズームのこと)で比べると、3本を合わせた価格は2倍以上になるし、重さは3倍以上にもなる。つまり、軽快さや機動性を重視しつつ、経済性も考えた場合は圧倒的にマイクロフォーサーズが有利となるわけだ。

一方、写りではフルサイズが上回る部分が出てくる。いちばんの違いはボケの大きさ。同じ画角、同じ絞り値でなら、フルサイズ機のほうが大きなボケになる

また、画素サイズが鍵となる高感度の画質もフルサイズのほうが上。ISO1600から暗部の描写に差が出始め、ISO3200になると、DC-G9は細部のつぶれが気になるのに対して、EOS Rはきちんと再現できている。

ダイナミックレンジは、普通はフルサイズ機のほうが有利なはずだが、DC-G9が予想以上の健闘を見せた。ただし、画像処理で極端な調整を行うような場合には、EOS Rのほうが粘り強さを発揮して、良好な仕上がりになってくれる。

解説/北村智史(カメラライター)

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