【手のマッサージの効果】手もみがもたらす5つの作用と不調が改善する手のもみ方

美容・ヘルスケア

迷走神経は脳の延髄から首を通りおなかにまで達している長い神経です。ほとんどの臓器はこの迷走神経の支配を受けています。首すじをゆるめると迷走神経の働きが活発になりますが、親指のつけ根をもむと首すじをもむのと同じ効果があります。【解説】班目健夫(青山・まだらめクリニック院長・自律神経免疫治療研究所所長)

解説者のプロフィール

班目健夫(まだらめ・たけお)
青山・まだらめクリニック院長。自律神経免疫治療研究所所長。医師医学博士。免疫力を高めて、あらゆる症状の改善をはかるため、自律神経免疫治療を中心に診療している。『「首のスジを押す」と超健康になる』(マキノ出版)など著書多数。

手をもむのは東西の医学を問わず有効と立証

古来より、手にはたくさんのツボがあり、また、全身の臓器に対応する「反射区」があるとされています。それらを活用した「手をもむ」健康法は、現代でも盛んに行われています。

手をもむことを、東洋医学的な見地から見ると、手には指先から経絡(エネルギーの通り道)が通っており、経絡上には無数のツボがあります。

手をもむと、それらのツボが刺激されて、気の流れがよくなるとされています。

また、西洋医学的にも、手をもむことの有効性を説明できます。手をもむと、副交感神経(心身をリラックスさせる神経)が活発になり、自律神経(内臓や血管の働きを調整する神経)が整います。

さらに、手をもむと末端から全身にかけて血流がよくなり、体が温まります。そのことで免疫力が上がるのです。

こうした作用により、肩こり、頭痛、耳鳴り、めまい、便秘、下痢など、さまざまな不快症状が改善したり、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を予防できると考えられます。

私も、長い治療経験の中から独自の手をもむ方法を考案し、治療に導入しています。それは、「親指のつけ根をもむ」というものです。

私はこれまで、患者さんの症状を改善させるのに、「首すじをゆるめる」治療を行ってきました。

首すじには迷走神経が通っています。迷走神経は、脳の延髄(脳の最下部で脊髄の上部に続く部分)から出て首を通り、おなかにまで達している長い神経です。

気管、食道、肺、心臓、肝臓、胃腸など、ほとんどの臓器は、この迷走神経の支配を受けています。

首すじをゆるめると、その迷走神経の働きが活発になり、内臓機能や心拍、血圧などが改善し、さまざまな症状が好転するのです。

ところが2年ほど前、患者さんの親指のつけ根をもんだ後に首を左右に向いてもらったところ、首すじを刺激したのと同等に、首が左右に動かしやすくなることがわかったのです。

首すじのポイントを自分で刺激するのは非常に難しいのですが、親指のつけ根をもむことは誰でも簡単にできます。それ以来、私は患者さんに手をもむことを指導してきました。

全身のコリがほぐれ迷走神経が活発になる

では、なぜ親指のつけ根をもむと、首すじをもむのと同じ効果になるかご説明しましょう。それは、手、腕、胸、肩、首など、上半身の筋肉がすべてつながっているからです。

親指のつけ根の筋肉は手首に、手首の筋肉は、前腕部から上腕部の筋肉、そして上腕部は肩から首の筋肉へとつながっていきます。ですから、親指のつけ根をもむと、手から首までの筋肉が全体的にゆるむのです。

それだけではありません。肩関節には九つの筋肉がついており、その中の大胸筋という大きな筋肉がほぐれると、それと対の動きをする背中の僧帽筋という筋肉もほぐれて、上半身の筋肉全体がゆるみます。

こうして、上半身の筋肉がゆるめば血流がよくなり、上半身のコリも取れます。コリが取れると神経の回路もスムーズになり、迷走神経の働きが活発になります。

迷走神経が活発になれば、前述した「首すじをゆるめる」のと同じく、内臓機能が改善。さらに、迷走神経の大部分を占める副交感神経が優位になるので、脈拍や血圧も安定してきます。

これまで述べてきた理論で私は親指のつけ根をもんでいますが、「手をもむ」ということは総じて、

(1)ツボ刺激による気の流れの改善
(2)筋肉がゆるむ
(3)血流がよくなる
(4)迷走神経が刺激され、内臓機能が改善する
(5)副交感神経が優位になり、心拍や血圧が安定する

これらの作用で、体に現れる諸症状が改善するのです。

これまでの私の経験では、手をもむことで動悸、息切れ、頭痛、めまい、耳鳴り、不眠、ぜんそく、便秘、下痢、肩・首のこり、腰痛、腹痛、生理痛など、さまざまな症状が改善しています。

特に、病院で検査をしても異常がなく、原因がわからないような不調によく効きます。手をもむことで、さまざまな健康効果を実感できます。ぜひ実践してください。

班目流「親指のつけ根もみ」のやり方

親指と人さし指の間から手をおおうようにして、親指の付け根部分に親指を当てる。広範囲を力を入れてもみほぐす

手首付近の筋肉からもんでいき、つけ根のふくらみに向かってほぐしていく。硬い感触や痛みがある場所を見つけたら、やさしく圧を加えながら円を描くようにもむ

この記事は『安心』2019年4月号に掲載されています。

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