一目でわかる【eGFR早見表】慢性腎臓病の進行度をチェック!

美容・ヘルスケア

慢性腎臓病の患者さんの大半はじりじりと悪化し、よほど悪化するまで、自覚症状が生じません。気づいたときには、もう透析寸前ということも起こりうる疾患です。ですから、慢性腎臓病の予防・改善のためには腎機能を示す数値などを定期的にチェックしておくことが大事です。【解説】山縣邦弘(筑波大学附属病院腎臓内科学教授)

解説者のプロフィール

山縣邦弘(やまがた・くにひろ)
1984年、筑波大学医学専門学群卒業後、日立総合病院などを経て、筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科学教授。専門は内科学、腎臓内科学。腎疾患のさまざまな診療ガイドラインの作成も手がける腎臓内科の第一人者。

腎機能値の変化を毎年チェックしよう!

慢性腎臓病の予防・改善のためには、生活習慣を積極的によいものに変えていく努力が必須です。

糖尿病で高血糖が続くと、腎臓の糸球体が痛めつけられ、透析になる原因疾患の第1位である、糖尿病性腎症を引き起こします。

また、高血圧も、腎臓の毛細血管を硬化させ、腎硬化症(透析の原因疾患第3位)を誘発します。そして、糖尿病性腎症も、腎硬化症も増え続けているのです。

それらの疾患を防ぐためにも、糖尿病や高血圧をきちんと治療する努力は欠かせません。

慢性腎臓病の患者さんの大半はじりじりと悪化し、よほど悪化するまで、自覚症状が生じません。気づいたときには、もう透析寸前ということも起こりうる疾患です。ですから、腎機能を示す数値などを定期的にチェックしておくことが大事です

腎機能を知る指標としては、推算糸球体ろ過量(eGFR)が知られています。これは、「腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排出する能力があるか」を示すもので、この値が低いほど腎臓の働きが悪いということになります。

eGFRは、血清クレアチニン値、年齢、性別から計算できます(下の早見表を参照)。

例えば、eGFRが60以上だと正常になります。しかし、腎機能が正常でも尿たんぱく(糖尿病の人は尿アルブミン値)が微量(±)だと、軽度の慢性腎臓病となるのです(下の進行度の表を参照)。

※日本腎臓学会の「eGFR男女・年齢別早見表」を参考に作成。
数値は18歳以上に適用で、クレアチニン値は酵素法で作成したものを用いる。

「尿たんぱく(糖尿病の人は尿アルブミン)」の多さ(表の横軸)と、「eGFR※」の低下度(縦軸)を組み合わせ、腎臓の働きを「正常」「軽度」「中等度」「高度」の4段階に分類。

現在、基準値を超えていたとしても、自分がどれくらい悪くなりつつあるのか、わからないかたもおられるでしょう。

そこで、私が、目安となる考え方をお示しします。eGFRの値を毎年チェックして記録しておき、その経年変化を見ていくのです。

例えば、40歳のときのeGFRが100だったとしましょう。腎機能は、加齢によっても衰えていきますから、腎臓病でなくとも、機能が少しずつ落ちることは、不思議ではありません。

もし、毎年1ずつeGFRが落ちていったら、80歳のときには、60となり、基準値ギリギリになってしまいます。しかし、この年齢でこの数値であれば、問題なしと判断していいと私は思います。

一方、40歳のときにeGFRが100あっても、毎年5ずつ落ちていったらどうでしょうか。これでは、たちまち基準値以下になってしまいます。

あくまでもたとえ話ですが、このように経年変化を追っていくと、ご自分の腎機能の低下ペースが自然なものか、あるいは、不自然で病的なものかを知る目安となるでしょう。ぜひ、皆さんも参考にしてください。

慢性腎臓病と便秘には強い相関関係がある!

慢性腎臓病と便秘には強い相関関係がある!

近年、腎臓病と便秘の関連について注目が集まっています。そのきっかけとなったのが、私の勤務する筑波大学大学院に在籍していた住田圭一氏の研究です。これは、彼がアメリカ留学中に行ったもので、アメリカの退役軍人を対象とする集団追跡研究です。

この調査は、腎機能が正常だった350万人(2004~2006年時点)を対象に、便秘の有無と、その後の慢性腎臓病の発症の関係について調べたのです。

対象者の平均年齢は60歳。93.2%が男性でした。7年間追跡したところ、350万人のうち、36万541人が慢性腎臓病を発症。このうち、便秘を合併していたのが、4万6022人でした。

この研究によって、腎臓病と便秘の密接な関連性が明らかになってきたのです。以前から、腎臓病と便秘の関係についての研究は行われてきました。腎臓病の人は便秘になりやすく、便秘が腎不全の予後を悪化させる点が指摘されていました。

今回の研究では、興味深い新しい結果が示されています。それは、
(1)便秘の人は、便秘でない人よりも早く腎機能が低下する、
(2)便秘が重症であるほど、長期的に末期腎不全になるリスクが高まる
というものです。

こうした結果を踏まえると、「便秘そのものが末期腎不全の発症にかかわっているのではないか」とお考えになるかもしれません。

しかし、この研究結果は、疫学研究の成果であり、実証されてはいません。ただ、慢性腎臓病と便秘の間には、強い相関関係があることは確かでしょう。

ところで、なぜ、便秘になると腎臓病によくないのでしょうか。考えられる原因は、いくつか指摘されています。

便秘になる→腸内環境が悪化する→悪玉菌が増えて尿毒素などの有害物質がより多く産生される。これがまず一因として考えられます。

もう一つは、便秘→便が腸内に滞留する時間が長くなる→食事で摂取したカリウムや尿毒素などが、腸管からより多く吸収される→腎臓に負担となる、というものです。

いずれも推定ですが、慢性腎臓病の疑いがあるかた、検査数値で腎機能の低下が認められるかたは、腸内環境を整え便秘をしないように心がけましょう。

この記事は『壮快』2019年5月号に掲載されています。

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