【パレオダイエットとは】食べていい食材・控える食材 原始人食のやり方を医師が解説

美容・ヘルスケア

原始人食とは文字どおり、約260万年前から農耕が始まる約1万年前まで人類が食べてきた食事のこと。260万年も人類が食べてきた、まさに遺伝子に適応する食事です。逆に、農耕時代に入ってから食べるようになった、狩猟・採集民族が食べていなかった食品は、避けたほうがいいということになります。【解説】崎谷博征(総合医・医学博士)

解説者のプロフィール

崎谷博征(さきたに・ひろゆき)

1968年、奈良県生まれ。奈良県立医科大学・大学院卒業。脳神経外科専門医。エネルギー量子医学会会長。ガンの研究で医学博士を取得。国立大阪南病院、医真会八尾病院を経て、私立病院の副院長を務める。現在は、総合医として、ガン、難病、慢性病を対象にした治療を確立し、根本治療指導に従事している。生物学・人類学・考古学・物理学など学問の垣根を取り払い、横断的に研究し「原始人食」(崎谷式パレオダイエット)およびパレオライフスタイルを確立。「リーキーガット」という概念を日本で初めて定着させた第一人者でもある。『メタ炎症の秘密 慢性病は現代食から』(鉱脈社)など、著書多数。社団法人パレオ協会代表理事。
▼崎谷研究所

260万年も人類が食べてきた食事とは?

「糖質を制限しましょう」「肉を食べず、玄米や野菜を食べましょう」「断食をしましょう」「食事の総カロリーを抑えましょう」……現代には「健康になるための食事」の情報が氾濫しています。

ある食事法では、健康によいとされた食品が、別の食事法では健康に悪いものとして扱われている、といったこともよくあります。

「いったい何を食べるとほんとうに体にいいのか」。このような疑問を持つ人が多いのではないでしょうか。その答えを探すには、人類の起源から遡って考えなければなりません。

人類は、気候変動にしたがって変容する環境に適応し、ここまで生存してきました。気候や環境の変化に応じて、人類の食事の内容も変化してきました。

この食事内容の変化に、私たちの遺伝子は適応してきたのです。この結果として、人類を含むすべての生物はそれぞれ、どのような栄養を摂取すればよいかが遺伝的に決定されています。

例えば、草食動物は、遺伝的に肉類や穀物を食べるように適応していません。間違った食べ物を食べ続ければ、動物はやがて病気になり、死に、最悪の場合はその種が絶滅してしまいます。

今、私たち日本人が直面しているのも、これと同じ問題です。私たちは本来の人類に適合していない食事を食べているせいで、昔は存在しなかったいろいろな病気や不定愁訴に悩まされているのです。

これらの病気に対し、西洋医学の治療を受けてもなかなか改善しません。心身に適合する食事に変えなければ、不調は治らないのです。

では、本来の人類に適応する食事とは何でしょうか。私が勧めているのが「原始人食」です。

原始人食とは、文字どおり、約260万年前から農耕が始まる約1万年前まで、人類が食べてきた食事のこと。260万年も人類が食べてきた、まさに遺伝子に適応する食事です。

原始人は糖尿病やうつもなく元気だった!

現代食が腸に穴を空ける!

原始人食は、当時の狩猟・採集民族の時代に食べられていた食品が推奨されます。具体的には、以下のとおりです。

肉類
貝類・甲殻類
調理された野菜類とイモ類
キノコ類
果物類(酸っぱい果物は除く)

タマゴ
乳製品
日本の発酵食品
自然の甘味料と塩

逆に、農耕時代に入ってから食べるようになった米や麦などの穀物、最近になって登場した加工食品やお菓子など、狩猟・採集民族が食べていなかった食品は、避けたほうがいいということになります(詳しい食品リストは下項)。

このような現代食は、「リーキーガット症候群」を引き起こす原因になります。リーキーガットとは「腸漏れ」とも訳されますが、腸粘膜が薄くなったり、穴が開いたりした状態になることです。

リーキーガット症候群になると、細菌やウイルスが体内に入りやすくなり、慢性炎症を引き起こします。

高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病、脳や心臓の血管障害、ガン(特に乳ガン、大腸ガン、前立腺ガン)、うつや統合失調症などの精神疾患、アルツハイマーやパーキンソン病などの神経変性疾患など、驚くほど多くの病気が、慢性炎症から生じています。

人間の心身に適合した原始人食にすることで、こうした病気や不調を予防・改善することができます。

《原始人食で腸が若返ると改善する症状》
●肥満 ●便秘
●高血圧 ●糖尿病
●心臓病 ●血管の病気
●骨粗鬆症 ●リウマチ
●アトピー性皮膚炎 ●乾癬
●多発性硬化症 ●うつ
●近視 ●ガン
●更年期障害 ●ぜんそく
●肺気腫 ●認知症

万病の原因は現代食によって開いた“腸の穴”だった!

私自身もかつては不健康のかたまりでした。

脳神経外科医としてバリバリに働いていた当時は、口の中にいつも口内炎ができており、やせ型でしたが高脂血症、内臓脂肪の影響でおなかだけ出ていました。さらに不眠症で、気分変調(抑うつ気分が長期間続く病気)と、体調不良のデパートのような状態でした。

しかし、原始人食に添った食事に変えると、わずか2週間で体重が5kgも減ったのです。

私はやせ型でしたので、やせてもあまりうれしくなかったのですが、その後も疲労感が抜け、気づいたら口内炎も消えていて、外見的にもずいぶん若返りました。

これらの不調は、慢性炎症から引き起こされていたのです。

重病を治そうとすると、非常に厳格に原始人食を行う必要がありますが、ちょっとした不調や肥満を改善しようと思えば、緩やかなルールで行うだけでも、心身には大きな変化があると思います。

次の項から、原始人食のやり方を詳しくご紹介します。

原始人食は究極のアンチエイジング食

今日から「原始人食」を始めたい人は、何を食べたらよいのでしょうか。簡単に基本ルールを言うと、

黒砂糖、ハチミツ、果物などの単糖類・二糖類をエネルギー源として中心にすえる
エネルギー代謝を低下させるプーファ(植物油脂、フィッシュオイルなど)を食事から排除する
(1)と(2)を8割守る

たったこれだけです。この基本さえ守れば、まず体重は適正体重に戻ります。食事の改善を考える多くの人は肥満気味でしょうから、体重は落ちていくはずです。

また、高血圧、糖尿病、ガンのほか、アトピー性皮膚炎やリウマチ、乾癬などの自己免疫疾患などの慢性病がみるみる改善します。

そして、原始人食は究極のアンチエイジング食でもあります。心身が若返る効果が期待できるでしょう。

基本は先のルールを守ればよいのですが、下記に原始人食においてより詳しく、「推奨する食品」「控える食品」「食べてはいけない食品」の3つに分けた食品リストをご紹介します。これを参考に、日々の献立を考えてください。

基本ルールのとおり、「推奨する食品」を8割にすれば、残りの2割は自分が楽しめる食事をしてもだいじょうぶです。私自身も、残りの2割として、週末は自宅で作ったパンやケーキを楽しんでいます。

食材をいためたり揚げたりはしない

人類の遺伝子に合う!
《腸にやさしい 原始人食 お勧め食品リスト》

推奨する食品

肉類
牛、羊、シカなどの反芻動物 ※鶏、豚も可だが、脂身を落とすこと

貝類、甲殻類
アサリ、ハマグリ、サザエなどの貝類、カニ、エビなどの甲殻類すべて

野菜とイモ類
ニンジン(生も含む)、サツマイモ、よく調理された緑野菜(スープのみを飲むのが最適)

キノコ類
マッシュルーム、シイタケ、マイタケ、タケノコ、エノキ、エリンギ、シメジ、マイタケ、マツタケ

果物類
アボガド、イチゴ、イチジク、オレンジ、カキ、グアバ、スイカ、ナシ、パパイヤ、ブルーベリー、ミカン、ブドウ、マンゴーなどの甘い果物 ※酸っぱい果物は除く

タマゴ
鶏卵、ウズラのタマゴ

乳製品
バター、チーズ、ヨーグルト(発酵が進んでいないもの)

日本の発酵食品
しょうゆ、納豆、みそ ※塩分がしっかりあるものを選ぶ

自然の甘味料および塩(精製されていないもの)
黒砂糖、ハチミツ、自然塩、岩塩

1万年前からある食品が人類の心身に合った食品

控える食品

穀類
米、大麦、小麦、ライ麦、オート麦、アワ、キビ、そば

豆類、ナッツ類
小豆、大豆、インゲン、ソラマメなどの豆類、豆腐、あんこなどの豆類の加工食品、ピーナッツ、アーモンド、ギンナン、クリ、ゴマなどのナッツ類

海藻類

生野菜

アルコール類

原始人が食べていなかった加工食品が”腸の穴”を開ける

極力避ける食品

加工肉
ハム、ベーコン、ソーセージ、ウインナー、サラミ

菓子類
ガム、クッキー、ケーキ、ドーナツ、マフィン

市販のドリンク類
ソフトドリンク、缶コーヒー、フルーツジュースなどの人工甘味料やブドウ糖果糖溶液が入っている全般

プーファ、マーガリン類
プーファ(植物油脂、フィッシュオイル等)、マーガリン、ピーナッツバター、ショートニングを使用した食品全般

加工食品
塩漬けの食品、魚の燻製、干物、サラダドレッシング、ケチャップ

白米は「控える食品」に入りますが、副菜として1日にお茶わん1杯は食べてもよいでしょう。

調理方法ですが、「いためる」「揚げる」という方法は、調理油(植物油脂)を使用するため、リーキーガット症候群の原因となるアルデヒド(過酸化脂質)を発生させます。「煮込む」「ゆでる」「蒸す」「オーブンで焼く」「炭火であぶる」のいずれかで調理してください。

味つけは、以下のとおりです。

塩はなるべく岩塩などの未精製のものを使用する。塩麹やコショウを使用してもよい
しょうゆやみそは「推奨する食品」だが、加工度の高いものは避ける
みりんは「みりん風調味料」ではなく、「本みりん」を使用する
黒砂糖を使用する
マヨネーズやドレッシング、オリーブオイル、アマニ油は避ける
ハーブ、ネギ、ニンニク、ショウガなどを大いに活用する

「これは食べていいのか?」と迷ったときは、1万年前の人類が、それを食べていたかを考えてみましょう。1万年前の人類が食べていたものが、「推奨する食品」なのです。

この記事は『ゆほびか』2019年5月号に掲載されています。

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