発達障害や慢性疲労の原因は、腸の炎症であることが少なくありません。手羽元スープなら、消化に負担をかけず、腸の粘膜を修復してくれます。たんぱく質をとると胃もたれしやすいかたや、手術後で体力を消耗しているかたにもお勧めです。【解説】宮澤賢史(宮澤医院副院長)

解説者のプロフィール

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宮澤賢史(みやざわ・けんし)
宮澤医院副院長。1995年、日本医科大学卒業。日本医科大学付属病院を経て、2004年より栄養療法を開始。腸内環境の改善や、重金属・化学物質の除去、隠れた炎症の治療などを行い、慢性疾患を持つ人を完治に導いている。扱う領域は幅広く、がんから糖尿病、リウマチ、精神疾患まで、患者数は2万人を超える。セミナー、学術集会、勉強会を開催し、根本原因の見つけ方、アプローチ法について啓蒙活動を続けているNPO法人高濃度ビタミンC点滴療法学会理事、分子栄養学実践講座主宰、医科歯科連携診療普及協会会長。

腸の消化能力を高めれば不調の9割が改善

疲労感が強くて、自分の足で歩くことも、待合室のイスに座っていることもできない30代の女性。対人コミュニケーションが苦手なことからうつ状態になり、仕事に行けなくなってしまった40代の男性。待合室で奇声を上げている、発達障害の幼稚園児。

こうした患者さんたちが、私のクリニックを訪れてきます。症状はさまざまですが、すべてのかたに共通しているのは、「腸の消化能力の低下」です。

食べ過ぎや、腸に炎症を起こす食べ物の摂取で、腸の粘膜が傷つけられて消化能力が落ちると、有害物質がとり込まれてしまいます。その結果として、脳や皮膚など全身に悪影響が及びます。

慢性疲労や発達障害は、生まれつきの体質や性質ではありません。食生活を中心とした環境の影響のほうがよほど大きいのです。

ですから、日々の食事を変えることで見違えるほど症状が改善します。車に乗せられて運ばれていたかたが、自分一人で電車に乗って通院できるようになった例もたくさん目にしてきました。

病気や不調の9割は、腸の消化能力を高めることで改善できると実感しています。

未消化たんぱく質や薬で腸はダメージ

腸は第二の脳」などとマスコミでも取り上げられ、腸の重要性を認識しているかたは少なくありません。

しかし、雑多な情報が飛び交う中で、患者さん自身も「間違った方向に進んでいる気がする」とおっしゃることがあります。なかには、腸に効くというサプリを大量に飲み過ぎて、腸の粘膜が炎症を起こしているケースもありました。

もともと腸の粘膜には目に見えない小さな穴があり、体にとり込むべき必要な栄養素なのか、排除すべき有害な物質なのか、という仕分け作業が行われています。

腸の粘膜が炎症を起こして粗くなる「リーキーガット症候群」では、この仕分け作業がうまく行われなくなります。

そして、水銀などの重金属、農薬、添加物、未消化の食べ物、腸内微生物が産生する毒素などの有害物質が、体内にとり込まれてしまうのです。加えて、糖質の吸収が速まり、血糖値が急激に上がったり下がったりするようになります。

有害な物質により、脳や皮膚に悪影響が及ぶだけではありません。血糖値が激しく上下することで、強烈な眠気や疲労感、イライラ、不安感などといった精神症状も現れてきます。

発達障害については、多動(落ち着きのなさ)、不注意、イライラ、コミュニケーションの困難さ、こだわりの強さなどが見られますが、こうした症状は有害物質の摂取や、血糖値の乱高下が心身に与える影響と共通しています。

残念なことに、現代の食生活は私たちの消化能力に合っていないため、腸に炎症が起こっても不思議ではありません。

例えば、小麦に含まれる「グルテン」、乳製品に含まれる「カゼイン」は消化されにくいたんぱく質なのですが、パンやお菓子に大量に含まれています。

また、穀物の栽培に農薬が使われ、食品の長期保存のために添加物が混ぜられています。さらに、カゼなどで処方される抗生剤は、腸内細菌のバランスに悪影響を及ぼします。

こうしたことが腸の炎症を引き起こし、現代病といわれるアトピー性皮膚炎やうつ、慢性疲労、発達障害などが増えてきているのだと推測できます。

骨を使ったスープは腸粘膜の修復に役立つ

腸の消化能力を高めるために2~3年前から患者さんに勧めているのが、「ボーンブロス」という、鶏や豚、牛、魚の骨などから取ったスープです。

ボーンブロスは、たんぱく質が消化しやすいアミノ酸(グルタミンやグリシン)の状態になっているため、消化に負担がかかりません。アミノ酸は腸の粘膜を修復し、炎症を抑えるのに役立ちます。

さらに、現代人に不足しがちなカルシウムやマグネシウムなどのミネラルや、コラーゲンも豊富です。まさに天然のサプリメントと言っていいでしょう。  

今回は、ご家庭でも作りやすい鶏の手羽元を使ったスープのレシピを紹介しますが、既製品を利用することもできます。

飲み方は基本的には患者さんにお任せしていますが、水筒に入れて持ち歩き、常に少しずつ飲むほか、夜間の低血糖を防ぐために寝る直前にも飲んでもらっています。みそ汁やカレーなど、他の料理に加えてもいいでしょう。

早い人では、ボーンブロスを飲み始めて2週間で便通が整い、2~3カ月後には疲労感が取れたり態度が穏やかになったりする効果が見られます。安全で手軽にできる方法なので、ぜひ読者の皆さんも試してみてください。

材料を入れて煮込んだら完成!「手羽元スープ」の作り方

【材料】
手羽元…500g、ニンジン…1本、タマネギ…1個、セロリ…1本、ローリエ…1枚

画像1: 【ボーンブロススープの効果と作り方】子供の多動・不注意が「食事」を変えたら落ち着いた

【作り方】
鍋か圧力鍋に、手羽元、大きめに切ったニンジンとタマネギ、ざく切りにしたセロリ、ローリエを入れる。材料がかぶるくらいの水を入れて、ふたをせず強火で煮る。煮立ったら、あくをしっかり取り火を弱める。

水を足しながら3時間中火でふたをして煮る。圧力鍋の場合は圧力をセットして中火から弱火で30分煮る。火を止めて冷ます。

※煮込み時間に比例してアミノ酸やミネラルなどの栄養素がしっかり溶け出す

画像2: 【ボーンブロススープの効果と作り方】子供の多動・不注意が「食事」を変えたら落ち着いた

ザルにキッチンペーパーを敷き、こす。

画像3: 【ボーンブロススープの効果と作り方】子供の多動・不注意が「食事」を変えたら落ち着いた

【完成!】
保存容器に入れて、冷蔵庫で保存。表面の脂肪分は、温め直すときにスプーンなどで取り除く。冷蔵庫で1週間、冷凍庫で1カ月保存できる。

画像4: 【ボーンブロススープの効果と作り方】子供の多動・不注意が「食事」を変えたら落ち着いた

・お好みで自然塩を入れて飲む。具を食べてもよい。
・食事のときに飲むほか、水分補給として日中や、寝る前に飲むのもお勧め。
・みそを溶けばみそ汁に、カレーなどの煮込み料理に足すなど、アレンジも自在。
・手羽先やスペアリブなどの骨付き肉や鶏ガラでもよい。
・モミジ(鶏足)を使うと、コラーゲンたっぷりのスープに。

※自分で作るのが難しければ、インターネットで購入できる市販品もある。液体のものやのものなどがあり、価格は1300円程度から

便通の悪化は腸の炎症のサイン

発達障害や慢性疲労などを治療するうえで、小麦製品や乳製品を摂取しないように、私は指導しています。それは、これらの食品には、消化がされにくいグルテンとカゼインが含まれているからです。

しかし、一生涯にわたってこうした食品を除去しなければならないかというと、そうではありません。腸の炎症が治まって本来のバリア機能が回復し、消化能力も正常になってくれば、グルテンやカゼインを多少摂取しても心身に悪影響が現れなくなるからです。

私が治療を行った5歳の男の子、A君については、発達障害が改善して小学校では普通学級に進級し、通院のペースは半年に1回の経過観察になっています。

A君はADHDと診断されて、幼稚園でも持て余されていたようです。ADHDは「注意欠陥多動性障害」と呼ばれ、不注意(集中力がない、気が散りやすい)、多動性(じっとしていられない、落ち着きがない)、衝動性 (順番を待てない、考える前に実行してしまう)の3つの症状が見られます。

実際、お父さんに連れられて初めて私のクリニックに来たA君は、待合室で大声を出して走り回っていました。A君の腸内環境の検査を行ったところ、腸に炎症があるという結果が出ました。お母さんの話では「おなかが膨れている」ということで、便通はかなり悪化していたと考えられます。

A君のご両親には、グルテンやカゼインを食事から除去するとともに、手羽元スープなど、鶏や豚、牛、魚の骨などから取ったスープである「ボーンブロス」を飲ませるように伝えました(作り方は上記)。

コンブやカツオ節など、天然だしを取っているご家庭だったので、抵抗なく取り入れられたようです。さらに幼稚園には、グルテンとカゼインを除去したお弁当とおやつを持たせていました。

早い段階で取り組むと結果も早く出る

初診から3カ月後、A君に会った私は、「ちょっとおとなしくなっているな」と変化に気づきました。

幼稚園でも友だちに乱暴をすることがなくなってきて、集中力が上がってきたと言われたようです。ADHDの症状が消えていった結果、A君は無事に小学校の普通学級に進んだのでした。

このように、5歳という早い段階で食生活の改善に取り組んだので、A君には目覚ましい変化が見られました。

また、不登校などになってしまった10代の子どもについても、成長過程にあって体力もあるので、効果が早く見られます。

一方、大人になると、腸にダメージを与える食生活を長く続けてしまっていることもあって、短期間で劇的に治るというケースは、あまり期待できません。時間的には、子どもの3~4倍ほどかかります。

しかし、食事を変えることで心身の症状は確実に軽くなり、最終的には社会生活をスムーズに送れるようになります。

画像: 友だちへの暴力がなくなり普通学級へ進めた

友だちへの暴力がなくなり普通学級へ進めた

外食や既製品を利用することもOK

40歳のシステムエンジニアの男性Bさんは、仕事のトラブルから、引きこもり生活になっていました。男性にありがちなのですが、三食のほとんどがファストフード。食事の質が非常に悪かったのです。

このような食習慣のかたが自炊をするのは無理なので、外食では素材にこだわった個人経営の定食屋や居酒屋などを利用するように勧めています。チェーン店では、本部から加工食材が送られていて、大量の保存料や殺菌剤が使われているケースが多いからです。

また、手羽元スープについては既製品を紹介しています。

外食が中心の男性だけでなく、慢性疲労に苦しんでいる患者さんも「食事のメニューを考えるだけでつらい」と訴えられることがあります。こうしたかたがたには、生活に負担がない範囲で取り組んでもらっています。

なお、Bさんはその後、無事に会社に復帰することができました。

食事療法」には「厳密に行わなければならない」「すべて手作りにしなければならない」などのイメージがつきまといがちですが、重要なのは長く続けること

食事は日々のことですから、一人ひとりに合った方法で続けてほしいと考えています。

画像: 作るのが難しければ市販品を使うのも手

作るのが難しければ市販品を使うのも手

画像: この記事は『ゆほびか』2019年5月号に掲載されています。

この記事は『ゆほびか』2019年5月号に掲載されています。

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