2020年に義務教育で必修化するプログラミング。それを受けてプログラミングを教えるスクールや、プログラミングが学べるおもちゃが大人気だ。そもそも、なぜプログラミングが必修化されるのだろうか。小学生という低年齢のうちから学ばせる目的は何だろうか。その背景をきちんと理解したうえで、小学生をもつ親目線で、おすすめできる教材をピックアップした。参考にしていただけると幸いだ。
プログラミング教室が大人気な理由は?
2020年には、小学校の義務教育で必修化するプログラミング。今やプログラミング教室は、希望しても入れないほどの人気の教室もあるほど。子どもに通わせたい習い事の一つとしてあげられることが多くなってきた。
背景には、親自身が「プログラミングなんてやったことない、わからない、でも、子供たちは必修化で勉強しなければならない」と、まるでプログラミングを得体の知れない怪物のように思っている、ということがあるのではないだろうか。親の不安や焦りが、教室人気を後押ししているのも一つの理由として考えられる。
しかし、よく考えてほしい。小学校で習うプログラミングだ。実際にコードを書いたり、プログラマーになるための専門的な内容の授業が突然始まるわけではないのではないだろう。
わが家にも小学生が2人いるので、他人ごとではない。そこで、プログラミング必修化の目的が何か、少し調べてみた。

なぜプログラミングが必修化されるのか?
プログラミングは本当に必要?
2017年3月に官民が一体でプログラミング教育の普及・促進する「未来の学びコンソーシアム」が発足している。そこでは、2020年度から始まるプログラミング教育が必修化についてこのように書かれている。
重要なことは、「なぜプログラミング教育を必修化したのか」という点にあります。
我が国の競争力を左右するのは何か。
それは「IT力」です。
ヨーロッパでは、多くの国や地域が学校教育のカリキュラムの一環としてプログラミングを導入しています。一方で日本はどうかというと、2020年までにIT人材が37万人も不足するという試算もありますが、それは今想像できるニーズだけでそれだけ必要ということであり、潜在的なニーズを含めるとより多くのIT人材が必要だと考えられます。
今後、国際社会において「IT力」をめぐる競争が激化することが予測される中、日本も子供の頃から「IT力」を育成し、しっかりと裾野を広げておかなければ、この競争に勝ち抜くことはできません。
そのような思いから、小学校におけるプログラミング教育の必修化は実現されたのです。
その一方で、文科省が公開している、有識者会議では「保護者や塾などの加熱ぶり」が議論されたようだ。
小学校段階におけるプログラミング教育については、学校と民間が連携した意欲的な取組が広がりつつある一方で、コーディング(プログラミング言語を用いた記述方法)を覚えることがプログラミング教育の目的であるとの誤解が広がりつつあるのではないかとの指摘もある。
“小さいうちにコーディングを覚えさせないと子供が将来苦労するのではないか”といった保護者の心理からの過熱ぶりや、反対に“コーディングは時代によって変わるから、プログラミング教育に時間をかけることは全くの無駄ではないか”といった反応も、こうした誤解に基づくものではないかと考えられる。
小学校で必要なのはプログラミングの「考え方」を身に着けること
つまり、小学校におけるプログラミング必修化の目的は、「プログラミングの考え方を身に着けること」なのだろう。
決して、小学生のうちにコーディングができなければならない!ということではないので、安心していただきたい。
そこで、おすすめしたいのが、親子で遊びながら学べる「プログラミング教材」だ。子供と一緒に遊ぶことで、親の不安は払しょくされるだろう。プログラミング教室への入会に迷ってる方の判断材料にもなるはずだ。
自然と「プログラミング思考」が身につくプログラミング教材
親がいくら「プログラミングを学ばせたい」と思っても、今は興味を示さない子もいるかもしれない。
苦手意識を持つこともあるので、子供に無理強いするのは絶対避けたいところだ。工作や、ゲーム、ブロックなど、子供が「今」興味があることを大事にすることも必要だと思う。
ここでは子供の「好きなこと」別におすすめのプログラミング教材をピックアップした。
●工作好きにおすすめ!
プログラミングおもちゃ「toio」
ソニーから発売されたプログラミングトイ「toio」が2019年3月に発売された。
すでにソフトは3つ登場している。今回は、私もわが子と一緒に「トイオ・コレクション」で遊んでみたので、レビューしよう。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント
toio

toio本体
www.amazon.co.jptoio™ コンセプトムービー | toio™ Concept Movie|アナウンストレーラー
youtu.be
toio 専用タイトル「トイオ・コレクション」

toio 専用タイトル「工作生物 ゲズンロイド」

toio 専用タイトル「GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボのひみつ~」
まず、対象年齢は6歳以上とのこと。わが子は8歳の3年生と11歳の6年生だが、ファーストインプレッションはどちらも興味津々。6年生だから簡単すぎるということは決してなかった。
まずは、「トイオ・コレクション」の“クラフトファイター”で遊んでみた。紙相撲のIoT化といえばイメージしやすいだろうか。
本体からの指令で動く小さいキューブに、消しゴムや鉛筆など、身の回りの日用品をくっつけて、オリジナルロボットを作って、相手のロボットと戦わせることができる。レゴ好きなら別売りのレゴを使って作れるのもうれしいポイントだ。
「プログラミング」を=勉強と意識することなく、低学年のうちから身に着けられる教材としておすすめだ。プレイ人数はどれも1~2名で、兄弟で一緒に遊ばせられるのも高ポイント。
●ゲーム好きにおすすめ!
ゲーム感覚で学べる「マインクラフト」
プログラミングの考え方に少し慣れた時におすすめなのが、世界中で大人気のあるサンドボックス型ゲーム「マインクラフト(マイクラ)」。このマイクラでプログラミングができることをご存じだろうか。「Minecraft Education Edition」という、教育版マインクラフトもあり、学校の教育として使う目的のものもあるほど。
アメリカ初のプログラミング学習を支援する団体「Code.org(コードオルグ)」は1時間で学べるプログラミング学習のチュートリアルを提供している。「Minecraft Hour of Code」もその一つ。自宅にパソコンとネット環境があれば、無料で利用できるため、試しにやってみたいという方にぴったりだ。
小学2年生以上が対象で、コードは、「Scratch(スクラッチ)」のようにブロックを組み合わせるタイプ、初心者でも使いやすいのもポイントだ。
普段マインクラフトのゲームをやっている現在小学3年生の息子がやってみたところ、詰まるところ(読めない漢字がある)などがあったが、一人で考えながら進めていくことができた。
「ゲームってこんなプログラムがたくさん集まってできているんだね!」と、本人なりの理解があったようだ。
●レゴ好きにおすすめ!
ロボット教室でも使われる「マインドストーム」
小さな時からレゴが好き!という子にピッタリなのが「マインドストーム EV3 31313」。ロボットを組み立てれば、無料アプリでプログラミングして動かすことができる。
他のレゴの組み立てセットと互換性があり、自由度が高いのもポイントだ。
ロボット教室に子どもを通わせたいが、時間に都合がつかない、料金が心配という方におすすめなのが教育版マインドストームだ。
教育版は、マサチューセッツ工科大学とレゴが共同開発したもので、プログラミングとしての学習要素が入ったセットになっている。値段は6万近くと高額だが、教室に1年間通わせることと比較すると、トータルではコスパがいい。
まとめ
まず、誤解してはいけないのが、プログラミング教育必修化の目的だ。小学生プログラマーを育てることが、目的ではなく、IoT化していく未来を生きる子供たちに「プログラミング的な思考」を学ばせるのが目的なのだ。
ここでは、「遊び」の延長で学べるプログラミング教材を紹介した。やってみたら、子どもだけでなく、プログラミング未経験の大人でも楽しめるものが多いことに気づくだろう。ぜひ、紹介したものを参考に親子で楽しんでほしい。