ひざ痛を改善する“手指”のテーピングのやり方 間接的に刺激して痛みを緩和する!

美容・ヘルスケア

「高麗手指鍼」では人間の全身が手に投影されていると考えます。そこには、気の通り道である経絡も通っています。鍼やお灸のかわりに、誰でも簡単に経絡を刺激できる方法として考えたのが、薬指テープです。【解説】宮本勝啓(はりきゅう泰山堂院長・鍼灸師)

解説者のプロフィール

宮本勝啓(みやもと・かつひろ)
はりきゅう泰山堂院長。鍼灸師・整体師。38歳から高麗手指鍼の治療に携わり、それをベースにしたセルフケア法として指握り健康法を指導。その後、指握り健康法の持続性を追求した「薬指テープ」などのテープ療法を考案。

病気の出発点となる経絡を整えて不調を改善

今回紹介する「薬指テープ」は、私が治療に用いる「高麗手指鍼」をベースにし、皆さんが自分でできる健康法として考案したものです。高麗手指鍼とは、韓国の柳泰佑氏が考案した治療法で、人間の全身が、手に投影されていると考えます。

そして、そこには、気(一種の生命エネルギー)の通り道である経絡も通っています。鍼灸師である私は、鍼やお灸でその経絡を刺激して、気の流れをスムーズにすることで、不調の改善を図っています。

手と人体の対応図(高麗手指鍼)右手

この鍼やお灸のかわりに、誰でも簡単に経絡を刺激できる方法として考えたのが、薬指テープです。

薬指テープと呼んでいますが、実際には薬指に2本と、小指にも1本の、合計3本(両手で6本)のテープを貼ります。こうして経絡を刺激することにより、さまざまな生活習慣病や痛みなど、多くの不調を改善させることができるのです。

では、3本のテープで刺激する経絡と、各経絡の働きについて、解説しましょう。

高麗手指鍼には、「相合伝病」という考え方があります。これは、「小腸経・心経」、「脾経・胃経」、「肺経・大腸経」という3系統のいずれかが、病気の出発点になっているという考え方です。

つまり、この3系統いずれかの機能低下が発端となり、それが体に伝わって、最終的にさまざまな症状となって現れたものが、病気というわけです。

ということは、出発点であるこの3系統を整えることによって、多くの不調が改善すると考えられます。

小腸経・心経は、血管・循環器系と関係しています。例えば、高血圧、痛み、耳や目の症状など、血液が停滞することによって起こる症状は、小腸経・心経の機能低下が出発点になっています。

脾経・胃経は、エネルギーを作り出す働きを担っています。ここが機能低下を起こすと、食欲不振、皮膚の弾力低下、また免疫力が低下して感染症やガン、自己免疫疾患(免疫物質が正常な細胞を攻撃することによって起こる病気)などを招きます。

脾経は腎経とも密接に関係しているので、糖尿病や、耳閉感・低音の耳鳴りにも影響します。

肺経・大腸経は、不要な物を捨てて、リセットする働きを担っています。例えば、大腸の働きが落ちて便秘になると、老廃物が体の中を巡り、消化器系全般に悪影響が及びます。皮膚も荒れてくるでしょう。

皮膚は肺との関連も強く、乾燥肌、脂性肌、敏感肌、皮膚表面のかゆみ・痛みといった症状は、肺の機能低下によって引き起こされます。

薬指テープは、相合伝病の考え方に基づき、病気の出発点となるこれら3系統の経絡を刺激することを目的としました。ただし、脾経・胃経に関しては、脾経の調整だけでほとんど間に合うので、胃経のかわりに胆経を加えました。

胆経は、私たちの体の側面を支配しています。ここが機能低下を起こすと、片頭痛、甲高い耳鳴り、首・肩のコリ、わき腹の痛み、股関節痛、ひざの外側の痛みなどが起こってきます。

このように、病気の出発点となる小腸経、心経、脾経、胆経、肺経、大腸経の六つの経絡を刺激できるよう考えたのが、薬指テープというわけです。

小腸経は手の甲側・薬指の中央に、心経は手のひら側・薬指の小指側に、脾経は手のひら側・小指中央に、胆経は手の甲側・小指の薬指側に、肺経は手のひら側・薬指の中指側に、大腸経は手の甲側・薬指の小指側に、それぞれあります。

この六つの経絡は、体のベースとなる、いわば「基本のキ」。自分の症状の出発点を特定できなくても、これらの経絡を覆うように、両手に6本のテープを貼れば、体全体を整えることができ、あらゆる症状に効果が期待できるのです。

薬指テープで刺激する手指の経絡(右手)

「薬指テープ」のやり方

高血圧や糖尿病、耳鳴り、めまい、ひざ痛、腰痛から、難病といわれる病気にまで効果が期待できる、薬指テープのやり方を説明します。※左手で説明しますが、右手も同様に貼ります。

【テープを貼る位置】

まず、テープを貼って刺激する、手の六つの経絡の位置を確認しましょう(上記参照)。
薬指の手の甲側
手の甲側・薬指の中央には小腸経、その隣、小指側には大腸経があります。
薬指の手のひら側
手のひら側・薬指の中指側に肺経、小指側に心経があります。
小指
手の甲側の薬指側には胆経があります。手のひら側の中央には脾経があります。

これら(1)、(2)、(3)に1本ずつテープを貼ります。それぞれ二つの経絡を1本のテープで覆うわけです。両手に貼るので、合計6本のテープが必要です。

【用意するテープ】

25mm幅の、伸縮性のあるテープ(キネシオテープなど)を用意してください。薬局やスポーツ用品店、インターネットなどで購入できます。

上図を参考にして、指先から第2関節までの長さ((1)薬指の手の甲側、(2)薬指の手のひら側、(3)小指)を測り、テープをそれぞれの長さに2本ずつ切っておきます。

※10回分くらいをまとめて切っておくと便利。

【テープの貼り方】

薬指の手の甲側

薬指の爪の下半分のところから、テープを少し引っ張りながら、第2関節を超えた辺りまで、まっすぐ下に向かって貼ります。このとき、小腸経のある薬指の真ん中と、大腸経のある小指側の側面に、テープが乗るようにしてください。

薬指の手のひら側

薬指の爪の上半分のところにテープの先端を貼り、そこから指先を覆うようにして、指の腹にテープを貼ります。やはり、第2関節を超えた辺りまでくるよう、テープを少し引っ張りながら貼りましょう。肺経のある中指側の側面と、心経のある小指側の側面にテープが乗るようにします。

小指

テープの先端で小指の爪を覆うように貼り、テープの片方の端を、胆経のある薬指側の側面(手の甲側)に乗るように貼ります。次に、もう片方の端を、脾経のある手のひら側・小指の中央に乗るように貼ります。同じく、テープを少し引っ張りながら、第2関節の下までくるように貼ってください。

反対側の手も同様に、3本のテープが六つの経絡に乗るように貼ります。

指が大きい人の場合

(2)の薬指の手のひら側や(3)の小指は二つの経絡が離れているので、指の大きい人は、1本のテープでは2ヵ所の経絡をカバーできないかもしれません。その場合は、テープを縦半分に切って、各経絡の上に乗るように分けて貼ってください。

テープを貼る時間
テープは、日中も寝ているときも、ずっと貼り続けてけっこうです。生活スタイルに合わせて、夜寝ている間だけテープを貼っても、逆に日中だけ貼ってもかまいません。

ずっと貼っていたい人は、テープがはがれるまで貼りっぱなしでも大丈夫です。水にぬれるとはがれやすいので、そのつど貼り替えるのがめんどうなら、水仕事をするときは手袋をするとよいでしょう。

テープを貼る際の注意
テープを貼る際は、汗や水分をよくふき取ってから貼ったほうが、はがれにくくなります。肌の弱い人は、かぶれに注意して、できれば毎日取り替えることをお勧めします。テープをはがすときは、一度ぬらしてから、端からゆっくりはがすと、皮膚を痛めにくいでしょう。

効果の感じ方は、人によって異なります。なかにはテープを貼って数十分で、症状が楽になる人もいます。何日か経って、ふと気づくと、不快な症状が消えていたという人も少なくありません。

まずは、1ヵ月間続けてみてください。きっとなんらかの効果が実感できるはずです。

ひざ裏を間接的に刺激しひざの痛みを緩和

私が治療のベースにしている「高麗手指鍼」は、人間の全身が手に投影されていると考えます。それでいくと、手の甲側・小指の第2関節が、ちょうどひざの裏に当たります。

そこで、ひざが痛い人には、今回紹介した「薬指テープ」のほかに、手の甲側・小指の第2関節のところで、テープが交差するように貼るのもお勧めです。この貼り方は、小指の腎経と胆経という経絡の刺激にもなります。

こうすることで、ひざ裏を間接的に刺激するとともに、腎経と胆経の緊張差を改善することができます。その結果、ひざの痛みが和らぎ、歩きやすくなるのです。

【ひざ痛に効く小指のテープの貼り方】

※右手で説明。左のひざが痛む場合は、左手も同様に行う。

写真のように、手の甲側の小指の指先から第3関節(握りこぶしをつくったときに浮き出る骨)の少し先までの長さを測る。テープをその長さに切る。さらに、縦半分にはさみを入れて、2本のテープを用意する。

小指の手の甲側の第3関節の外側にテープの端を貼り、軽く引っ張りながら、薬指との間の指のつけ根から手のひら側を通って、手の甲側の第2関節の真上に貼る。

さらに、手のひら側の第1関節を通って、小指の外側から爪にテープの端を貼る(1本め貼り終え)。

小指の手の甲側の第3関節の内側にテープの端を貼り、軽く引っ張りながら、小指のつけ根の外側面から手のひら側を通って、手の甲側の第2関節の真上で、1本めのテープと交差するように貼る。

さらに、手のひら側の第1関節を通って、小指の爪にテープの端を貼る(2本め貼り終え)。

薬指は、前項の(1)、(2)と同様に貼る。

私の治療院では、鍼治療を行うとともに、治療効果を持続させるためのセルフケアとして、患者さんに薬指テープを勧めています。上記の薬指テープのやり方を参考に、皆さんもぜひお試しください。

薬指テープの貼り方を指導する宮本先生

この記事は『壮快』2019年6月号に掲載されています。

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