【相談の効果】を精神科医が解説「不安な気持ちを取り除く最も簡単な方法」

美容・ヘルスケア

最近の脳の研究では、不安は扁桃体という脳の領域が興奮したときに起こり、その興奮を収める方法は、言語情報だということがわかりました。つまり、不安になったときは言葉にして口に出すだけで、扁桃体の興奮が抑えられて、不安が収まるのです。【解説】樺沢紫苑(精神科医・作家)

解説者のプロフィール

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医・作家。1965年、札幌市生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。インターネット媒体を駆使し、累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識や情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。主な著書に『人生うまくいく人の感情リセット術』(三笠書房)、『学びを結果に変える アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)など、多数のベストセラーがある。

「解決できない」という思い込みが消える!

不安な気持ちを取り除く最も簡単な方法は「相談する」ことです

実は、深刻な悩みを抱えている人ほど相談しておらず、一人で悩み続けているのです。自殺者のうち6割が誰にも相談せずに自殺に至っていることがわかっています。

死ぬか、生きるかという深刻な問題でさえも、誰かに相談しない人が過半数を超えるのはなぜでしょうか。

それは、「どうせ相談しても解決しない」と考えてしまっているからです。

そして、相談できないことで問題は深刻化し、苦しさが増してしまうのです。

しかし、それは本当に原因が取り除けない問題なのでしょうか。「苦しみ」に支配されて視野が狭くなっているため、解決方法が思い浮かばない状態になっている可能性はないでしょうか。

実際、相談することは、あなたが考えている以上に不安を取り除く力があります

以前、「借金が返せなくて、もうどうにもならない。死ぬしかない」と思いつめ、極度の不安状態に陥っている患者さんがやってきました。

その患者さんの話を30分ほど聞いた後で、「自己破産という方法はどうでしょうか?」とうかがったところ、彼は「自己破産なんてできるのですか?」と言いました。自己破産なんて自分に当てはまらない、そんな可能性を考えてみたことすらなかったとのことでした。

私は抗不安薬を処方し、市役所がやっている借金の無料相談を案内しました。すると、彼は訪れた市役所で自己破産の適用が可能となり、1週間後の来院では満面の笑顔でした。

精神科医と市役所に相談したことで、問題も不安も消え去ったのです。

不安がいっぱいで苦しい状態では視野が狭くなり、「解決できない」「変えられない」と思いがちです。

しかし、専門家に相談するとあっさりと解決することも多いものなのです。

また、不安に陥ったときに孤立していると、さらに苦しさを悪化させる原因になります。友人でも家族でも専門家でも、街の占い師でもいいので、不安があれば一人で悩まず、誰かに相談してください。

言葉にするだけでも苦しみが取れる

一方で、生きていると、絶対に解決できない苦しさに直面することもあるでしょう。会社が倒産した、末期ガンと宣告された、身近な人が亡くなった……というような場合です。

しかし、そんなときでも、相談するだけで気分はスッキリし、感情がリセットされます。

相談には2つの目的があり、まず一つは「問題の解決」、もう一つは「自分の悩みを理解してほしい」という共感を求めるものです。

心の中にため込んでいることを言葉にして吐き出すだけで、問題は解決されなくても、気分は確実に楽になるのです。

私の経験では、診察が初めての患者さんは、カウセリングの前と後で明らかに表情が変わります。

最初は思いつめたような表情で診察室に入ってきた患者さんが、話を聞くだけで、診察室から出ていくときには安堵した様子になっており、ときには笑顔を見せるかたもいるほどです。これがカウセリングの効果です。

私からは大した話をしません。意識することは、話しやすい雰囲気づくりのほか、タイミングよく相槌を打つか、合いの手を入れるくらいです。

患者さんは話したいことを話し、スッキリするのです。

これは、あなたが友人や知人に相談したときも同じです。

阪神淡路大震災では、相手がプロのカウンセラーではなく、ボランティアであっても、話を聞いてもらったグループのPTSD(外傷後ストレス障害)の発症率の低下が認められました。

最新の脳科学でも効果を実証

最近の脳の研究では、不安は扁桃体という脳の領域が興奮したときに起こり、その興奮を収める方法は、言語情報だということがわかりました。

つまり、不安になったときは言葉にして口に出すだけで、扁桃体の興奮が抑えられて、不安が収まるのです。

あなたも心配なことがあれば、言葉に出してみましょう。「今、ぐあいが悪い」「こんなことが起こったらどうしよう」と家族や友達に言うだけで、かなり楽になります。

不安を相談すること、言葉に出してみることで、苦しい気持ちが減り、不安な気持ちも遠ざかっていくでしょう。

話を聞いてもらう・言葉にするだけで気分はスッキリする!

この記事は『ゆほびか』2019年6月号に掲載されています。

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