【60~65V型4Kテレビ比較】超大画面モデルのおすすめ機種はコレ!

家電・AV

60V・65V型4Kテレビは、その画面を目の当たりにすると大きさが実感できる。価格的にも55V型とは一定の開きがあり、特に有機ELテレビでは、その傾向が顕著。ここまで画面サイズが大きくなると、コントラストのよしあしが画質を大きく左右する。この記事では、60V~65V型の注目モデル7機種を比較、採点した。

あこがれの超大画面のベストは?

4K8K衛星放送がスタートして7ヵ月余り。4K/8K制作が大半を占めるNHKでは、連日、独自の番組編成で魅力的なコンテンツを精力的にオンエア中。民放でも、スポーツ中継の4K制作を開始するなど、番組内容が充実してきている。

4Kテレビの人気も高い。ソニーとパナソニックの主力機が4Kチューナーを内蔵したことで、にわかに世間の関心が高まり、順調に売り上げを伸ばしている。
今回は、4Kチューナー内蔵機の中から市場で注目度の高い製品を計19機種ピックアップし、43V~50V型、55V型、60V~65V型と画面サイズで3クラスに分け、画質、音質、操作性などを検証し、採点・評価している。

今回の採点項目について

地デジ画質
4K放送画質
音質
ネット対応
操作性

各々の製品の採点は、左の5項目で行った。
「地デジ画質」は、HD(ハイビジョン)映像を4Kにアップコンバートした画質、「4K放送画質」は4K衛星放送の画質、「音質」は内蔵スピーカーの音質、「ネット対応」は4Kネット動画などの対応度、「操作性」はリモコン操作のしやすさを評価の対象としている。

この記事では超大画面で4K放送を楽しめる60V~65V型の7機種を、5項目各5点満点で評価。

⇒中画面モデル「43~50V型4Kテレビの評価」はコチラ

⇒売れ筋クラス「55V型4Kテレビの評価」はコチラ

この夏、4Kチューナー内蔵テレビの購入を計画している方は、この結果を踏まえて、自分にとってのベスト機を見つけていただきたい。

  • シャープ 8T-C60AX1
  • LG 65SM9000PJ
  • LG OLED65B9PJA
  • ソニー KJ-65X9500G
  • ソニー KJ-65A9G
  • 東芝 65Z730X
  • パナソニック TH-65GZ2000

シャープ 8T-C60AX1

・実売価格例:50万5440円
・発売年月:2018年11月

●HDMI入力×5●年間消費電力量/320kWh●サイズ/幅135.4cm×高さ87.4cm×奥行き44cm(スタンド含む)●重量/40.5kg(スタンド含む)

60V型/液晶(VA)

搭載チューナー
BS/110度CS8K×2
BS/110度CS4K×2
地デジ×3
BS/110度CS×3

4Kネット動画
YouTube
Netflix
Amazon

【採点】

地デジ画質 4
4K放送画質 4.5
音質 3.5
ネット対応 4
操作性 3
各5点満点

8Kテレビの臨場感は4Kをしのぐ。地デジ画質も思いのほか良好

8Kチューナー内蔵機としては最小となる60V型の8Kテレビ。液晶はVAの倍速駆動。LEDバックライトはパネル直下で、部分駆動も搭載する。

正面コントラスト重視のVA液晶で、しかも映像の明るさ、色の鮮やかさを優先した設計のため、視野角による画質への影響が大きい。このテレビの場合、正面からの視聴が必須と考えるべきだろう。

リビングのテレビとしては、視聴スタイルの制約はきついが、正面から見る8K放送は、さすが迫力がある。大相撲中継の8K中継では、アナウンス、解説なしで、土俵上の力士の戦いが映し出されるが、その映像についつい引き込まれ、実際に国技館で相撲観戦しているかのような錯覚に陥ってしまうほど。「鑑賞」というよりも「体験」に近く、4K画質ではこの感覚は得られない。地デジ画質は思いのほか良好。ただ字幕のような特定の絵柄で、赤色の残像が目障りになりやすい。

LG 65SM9000PJB

・実売価格例:23万7470円
・発売年月:2019年4月

●HDMI入力×4●年間消費電力量/147kWh●サイズ/幅145.5cm×高さ90.6cm×奥行き32.4cm(スタンド含む)●重量/28.1kg(スタンド含む)

65V型/液晶(IPS)

搭載チューナー
BS/110度CS4K×1
地デジ×2
BS/110度CS×2

4Kネット動画
YouTube
アクトビラ
Netflix
Amazon

【採点】

地デジ画質 3
4K放送画質 4
音質 3.5
ネット対応 4
操作性 4
各5点満点

自社開発のパネルを搭載し、抜けのいい再現性。音も明瞭度が高い

Nano Cell Display液晶と命名された自社開発のIPS液晶(倍速駆動)を搭載。カラーフィルターの上に、1ナノメートルという極小の粒子を精密に敷きつめ、色純度を高めて、従来のIPS液晶以上に、斜めからの視聴時の画質への影響も抑えられるという。LEDはパネル直下で、部分駆動によるコントラスト改善も行う。

実際、明るく、すっきりとした、抜けがいい再現性が特徴的で、斜めから見ても色調の変化が少ない。女性の肌はほのかにピンクがかり、健康的。私の感覚からすると、もう少し化粧を薄くしたいところだが、違和感を覚えるほどの厚化粧ではない。

ドルビーアトモスに対応したスピーカーシステムの仕上がりも良好。近接視聴では音はどうしても画面の下から聴こえるが、声の明瞭度が高い。画面上のカーソルを動かして各種機能を操作するマジックリモコンは、慣れれば便利だ。

LG OLED65B9PJA

●HDMI入力×4●年間消費電力量/261kWh●サイズ/幅144.9cm×高さ86.9cm×奥行き24.6cm(スタンド含む)●重量/26.2kg(スタンド含む)

65V型/有機EL

搭載チューナー
BS/110度CS4K×1
地デジ×2
BS/110度CS×2

4Kネット動画
YouTube
アクトビラ
Netflix
Amazon

【採点】

地デジ画質 3
4K放送画質 4
音質 3.5
ネット対応 4
操作性 4
各5点満点

有機ELのエントリー機で、4K映像は描写が克明。地デジはもう一つ

液晶からの買い替えを想定した有機ELのエントリー機。上級機との最大の違いは、映像エンジンに高級液晶でも使われている α7Gen2が投じられていること。 パネルは上級機と同一で、HDR10、HLG、ドルビービジョンと、HDRコンテンツへの対応も意欲的だ。

実際、引き締まったフォーカスといい、色づきのよさといい、その表現力は上級機と比べても遜色ない。黒が締まり、白ピークが伸びるという再現性は、まさに有機ELならでは。特に4K映像については、ディテールの描写が克明で、色調も安定している。

ただ、さまざまなコンテンツを見比べていくと、輪郭部分のノイズのざわつき、暗部から中間調にかけてのグラデーションの描き分けといった部分で、詰めの甘さが感じられる。また、60フレームから120フレームへの変換についても、上級機ほどの安定感はない。地デジの画質も、もう一つ。

ソニー KJ-65X9500G

・実売価格例:35万6270円
・発売年月:2019年6月

●HDMI入力×4●年間消費電力量/249kWh●サイズ/幅144.7cm×高さ90.2cm×奥行き33.3cm(スタンド含む)●重量/24.9kg(スタンド含む)

65V型/液晶(VA)

搭載チューナー
BS/110度CS4K×2
地デジ×2
BS/110度CS×2

4Kネット動画
YouTube
Netflix
Amazon

【採点】

地デジ画質 4
4K放送画質 4
音質 4
ネット対応 4
操作性 4
各5点満点

4K画質は情報を丁寧に描く。懸案の地デジ画質もきめ細かな描写

液晶ブラビアの高級スタンダード。VA液晶に直下型バックライトを組み合わせ、部分駆動で高コントラスト画像を描き上げる。同シリーズの85V/75V型では最高峰のZ9Dシリーズで実績のある高視野角技術を採用しているが、65V型以下のサイズでは採用見送り。視野角改善に大きな恩恵があるだけに、この65V型まで採用してもらいたかった。

Z9Dに比べると、LEDバックライトのエリア数が限られ、光のパワーも抑えられているため、明るさ、コントラストともに同等とはいえないが、華やかさを感じさせる絵づくりはソニーらしい。化粧がうまく、その不自然さが鼻につくことがない。

4K画質はハイライトが気持ちよく伸び、その部分の情報も丁寧に描き出す。そして懸案の地デジ画質についても、2K/4K変換精度に磨きがかかり、輪郭が細く、きめ細かな描写が楽しめるようになった。

ソニー KJ-65A9G

・実売価格例:59万3870円
・発売年月:2019年6月

●HDMI入力×4●年間消費電力量/248kWh●サイズ/幅144.7cm×高さ83.8cm×奥行き25.5cm(スタンド含む)●重量/24.8kg(スタンド含む)

65V型/有機EL

搭載チューナー
BS/110度CS4K×2
地デジ×2
BS/110度CS×2

4Kネット動画
YouTube
Netflix
Amazon

【採点】

地デジ画質 4
4K放送画質 4.5
音質 4
ネット対応 4
操作性 4
各5点満点

従来機とおおむね変わらぬ装備だが、画質も音質も向上している

従来の有機ELテレビ、65A9Fをベースに、設置面のコンパクト化、ドルビーアトモス対応(年内アップデート予定)など、細部の改善を加えつつ、4Kチューナーを搭載したモデルだ。映像エンジン(X1 Ultimate)も変更はないが、実際の映像を見ると、65A9Fに比べ、グラデーションの再現性が向上している。コントラストや色表現をリアルタイムで最適処理する技術も、やや効き目を抑え、薄化粧の処理に変わった。オブジェクト型の超解像処理も適切な補正量となり、より自然な奥行き感が表現できるようになった。

4K、地デジともに一定のコントラストを確保しつつ、華のある色再現で見せる。地デジについては、輪郭、ディテールがやや強調されぎみ。画面を振動させて発音する独自のスピーカーシステムは、前作に比べると、周波数バランスが整い、自然な音色が得られるようになった。

東芝 65Z730X

・実売価格例:37万7870円
・発売年月:2019年5月

●HDMI入力×4●年間消費電力量/199kWh●サイズ/幅145.1cm×高さ91cm×奥行き33.7cm(スタンド含む)●重量/27kg(スタンド含む)

65V型/液晶(VA)

搭載チューナー
BS/110度CS4K×2
地デジ×9
BS/110度CS×3

4Kネット動画
YouTube
アクトビラ
Netflix

【採点】

地デジ画質 3.5
4K放送画質 4
音質 4
ネット対応 4
操作性 4
各5点満点

シリーズ唯一のVAで、高コントラスト。黒が締まり、白が伸びる

4K液晶レグザの最高峰としては、4年ぶりの65V型。広色域のLEDをパネル直下に配し、部分駆動を行うのは、他のZ730Xシリーズと一緒だが、液晶パネルは倍速駆動のVAタイプだ。

実際に映像を見ると、確かに見た目のコントラスト感が55V型や49V型とは異なる。本機の場合、黒がギュッと締まり、白ピークがスッキリ伸びており、おそらく素のパネルコントラストも8000対1前後まで上がっていると思われる。半面、VA液晶で、しかも光の拡散を抑えているのか、視野角による画質への影響は大きめ。正面から見られるセッティングがおすすめだ。

映像の明るさ、キレ、色の透明感で見せる東芝伝統の絵作りは健在。スポットライトを浴びた人肌もキリッと引き締まり、飛ぶ寸前で堪えるという感じだ。2K→4K変換処理は優秀。輪郭の細さ、ディテールの描き分けと、その実力は抜きん出ている。

パナソニック TH-65GZ2000

・実売価格例:64万7870円
・発売年月:2019年7月

●HDMI入力×4●年間消費電力量/242kWh●サイズ/幅144.6cm×高さ90.7cm×奥行き31cm(スタンド含む)●重量/40kg(スタンド含む)

65V型/有機EL

搭載チューナー
BS/110度CS4K×2
地デジ×3
BS/110度CS×3

4Kネット動画
YouTube
Netflix
Amazon

【採点】

地デジ画質 4
4K放送画質 4.5
音質 4.5
ネット対応 4
操作性 4
各5点満点

独自パネルでダイナミックレンジが向上。音のシステムも豪華だ

これまで家庭用テレビの有機ELパネルは、すべてLGディスプレイ製だったが、このモデルは例外。画像を表示するセル部をLGから調達し、素材・構造を工夫してパナソニックがパネルを独自に仕上げたというもので、発熱の影響を最小限に抑え、表示素子としてのダイナミックレンジの拡大を図ったという。より安定した駆動が可能になったためか、明るさに余裕が生まれ、色再現も安定感を増した。単にハイライトが伸びるのではなく、従来、飛んでいて見えなかった明るい部分の階調描写が改善され、残像にも強くなった。

輝度が低めの絵柄でも見た目のコントラスト感が増し、その場の空間描写がより立体的に感じられる。黒の締まりのよさはそのままに、黒の中のディテール描写が意欲的で、輝度変化による色調の描き分けにも安定感がある。本体裏上部にイネーブルドスピーカーを組み込んだ3.2.2チャンネルのオーディオシステムも豪華だ。

まとめ

このクラスでも有機EL強し。中でも、緻密な階調性を実現したパナソニック機がベスト

最近は、50V/55V型が普通のサイズに感じるが、60V/65V型の画面を目の当たりにすると、やはりその大きさが実感できる。価格的にも55V型とは一定の開きがあり、特に有機ELテレビでは、その傾向が顕著だ。ここまで画面サイズが大きくなると、コントラストのよしあしが画質を大きく左右する。大きな画面で黒が締まらないと、どうしても電飾看板のように、表現が安っぽくなりやすい。東芝のZ730Xシリーズが65V型だけVA液晶を採用しているのも、そうした理由だと思われる。

さて、今回の結果を見ると、8Kテレビのシャープ・8T-C60AX1に特別な価値があること
は確かだが、テレビとしての総合的な表現力ということでは、やはり有機ELが有利だ。最終的に有機ELテレビ3機種の争いとなったが、画質ではパナソニック・TH-65GZ2000が一歩抜け出していた。パネルから自社で手がけ、映像表現の基礎ともいえるダイナミックレンジを拡大。緻密な階調性を実現し、これまでの枠を超え、落ち着いた深みのある映像が再現できるようになった。

有機ELの独自パネルを初採用!

パナソニック TH-65GZ2000

有機ELビエラの最高峰。画質で他社と差別化するため、有機ELの表示部材を調達し、自社工場で組み立てた独自パネルを採用している。

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解説/藤原陽祐(AV評論家)

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