【神社仏閣・建物・動物】写真の撮り方「風景編」 5秒でできるプロ技11選

文具・ホビー・カメラ

伝統的な工法で建築され、細かい細工や彩色が目を引く神社仏閣の建物は、絶好の被写体。だが、いざカメラを向けても、どこをポイントに切り取るかで迷うことも。その場合、神社のりっぱな門を超広角レンズで見上げるように撮ったり、神社の朱色の鮮やかさを意識するといい。また、動物園のフェンスや柵は望遠レンズで回避するのがおすすめだ。

解説者

フォトグラファー
大浦タケシ(おおうら・たけし)

フォトグラファー
吉森信哉(よしもり・しんや)

キメ技 風景編❶ハーフNDフィルターで空の表情を豊かにしよう

太陽の角度によって空の青さが薄くなったり、曇り空が真っ白に写ったりした経験があるだろう。
空と地上の明暗比が高いために起こる現象だが、それを調整するのがハーフNDフィルターだ。

四角いガラスの半分がNDフィルターで、透明な部分との境界はグラデーションとなっている。
NDフィルターの部分に空を、透明な部分に地上を入れるようにして撮影すると、画面全体が濃度的にバランスのいい画像が得られる。
高価な(1万円程度)カメラアクセサリーではあるが、風景写真では重宝するアイテムだ。〈大浦〉

薄い青色だった空が濃い紺色に写った

ハーフNDフィルターで空の濃度を上げてみた。薄い青色であった空が、濃紺になっている。

ハーフNDフィルターは、専用のホルダーを介してレンズに装着する。ガラス製と樹脂製とがある。

キメ技 風景編❷神社仏閣は20ミリ以下の広角で撮ろう

伝統的な工法で建築され、細かい細工や彩色が目を引く。そんな神社仏閣の建物は、絶好の被写体である。だが、近づいてカメラを向けてみると、どこをポイントに切り取るかで迷ってしまう。
かといって、離れた場所から建物全体を写し込むだけでは、平凡な状況写真になってしまうだろう。

このようにポイントが絞り切れない場合は、近くから超広角レンズ(20ミリ以下)で見上げるように撮ろう。
広角特有の“遠近感の強調”による柱や梁のデフォルメで、肉眼とは違う奥行きや広がり感が再現されるのだ。〈吉森〉

神社のりっぱな門を超広角レンズで見上げるように撮る

35ミリ判換算16ミリ相当の超広角で、神社のりっぱな門を見上げるように写した。

14ミリ相当までカバーする、オリンパスの超広角ズーム「7─14mmF2・8」を使用。

キメ技 風景編❸神社は朱色の鮮やかさを意識しよう

神社や寺院の境内では、朱塗りの建物を見かけることが多い。建物自体の造形も興味深いが、朱塗りの色鮮やかさによって、その建造物がさらに目を引く存在になる。

また、朱塗りの建造物は、被写体の背景としても魅力的である。ねらう被写体自体は地味でも、朱色の背景ボケによって、画面全体を華やかに演出できるからだ。
ただし、その演出効果を得るには、背景を大きくボカす必要がある。レンズの絞りを開放近くに設定したり、望遠レンズを使用したりすれば、思いどおりの朱色の背景にできるだろう。〈吉森〉

朱塗りの五重塔を背景にして、望遠撮影でボカす

灯籠の宝珠を、朱塗りの五重塔を背景に撮影。望遠(約300ミリ相当)の狭い画角で、無駄のない背景に。

色をより鮮やかにするには、画質モードで仕上がり設定を「ビビッド」や「風景」にするといい。

キメ技 風景編❹石仏は仏像の目線にまで下がって撮ろう

寺院の境内では、本堂や総門のような建物だけでなく、ひっそりと並ぶ石仏にも目を向けたい。
石仏の大きさや形状はさまざまだが、高さ50~60センチくらいの小がらなものが一般的である。
そういう被写体を人の目の高さから見下ろすように撮ると、石仏よりも地面や周囲が目立つ写真になりがち。
できればカメラ位置を下げ、水平もしくは少し見上げるアングルで撮影したい。
そうすれば、石仏に肉薄したリアルな写真になる。
その際、可動式の液晶モニターを利用すれば、構図の確認が容易にできるのだ。〈吉森〉

見上げるように撮影すると、普通に撮るより臨場感が出る

写真上 (GOOD!)カメラを地面近くまで下げ、背面の液晶モニターのチルト機構を利用して撮影。普通に撮るより臨場感が出た。
写真下 (NG!)ごく普通の体勢で、石仏を見下ろすように撮影すると、石仏は“下すぼみ”になり、印象が薄い。

キメ技 風景編❺定番的な街風景は一味を加えて仕上げよう

街中の観光地には、誰もがカメラを向けたくなる定番の被写体や風景がある。また、それらは誰が撮っても、それなりに絵になることが多いものだ。
でも、旅の記念にするなら十分だろうが、できれば一味加えて、ちょっと目を引く写真に仕上げたい。

その一味を具体的に挙げると、雨・風・雪、時間帯による光線の変化、画面内に入ってくる人や乗り物といった要素がある。
天候については、その場でコントロールできないが、人や乗り物は、構図を決めて少し待てば、そのチャンスがやってくる。〈吉森〉

屋形船が通るのを待って撮り、いい雰囲気に仕上がった

隅田川越しの東京スカイツリー。明かりを灯した屋形船が入る瞬間を待って撮影した。

キメ技 風景編❻街のにぎわいは超望遠で濃縮して見せよう

有名な観光地には、連日多くの人が訪れる。その多くの観光客でにぎわう様子にカメラを向けるのもおもしろいが、ただ漠然と群衆にカメラを向けても、見どころが曖昧になるだろう。

ということで、この種の“街のにぎわい”を写す場合は、群衆よりも周囲の建造物や奥行きに注目しながら、カメラポジションやアングルを検討したい。

そして、望遠や超望遠レンズの圧縮効果を利用して、奥に続く建物や群衆の密度感を高めるといい。そうすれば、実際のにぎわい以上に”にぎわい感”が出せるのだ。

400ミリで撮ったら群衆の密度感が出た

400ミリ相当の超望遠で、にぎわう参道を撮る。連なる店の飾りや群衆の高密度が印象的。

圧縮効果とは、遠くの物と近くの物との距離感が縮まり、密度が増すこと

キメ技 風景編❼ホワイトバランスの「電球」で朝の雰囲気を作ろう

ホワイトバランスはカラーフィルターとしても活用できることは、キメ技スナップ編(2)でも述べた。
ホワイトバランスの「(白熱)電球」は、電球の発する黄色い色かぶりを抑えるためのものだが、太陽光の下では、ブルー系のフィルターを使用したような効果が得られる。
そのため、使い方によっては、早朝のような効果を演出することが可能。
また、ちょっと露出オーバーに撮ると、ポジフィルムをネガフィルム用の現像液で現像したクロスプロセスのような効果も出るなど、アイデアしだいで多彩な表現が楽しめる。〈大浦〉

フィルターを使ったように色が変わる

ホワイトバランスを「電球」に設定。ブルーフィルターを使ったときと同様、青っぽく仕上がった。

「電球」のほか、カメラによっては「白色蛍光灯」などもブルーフィルターの代わりとして使える。

キメ技 風景編❽建物のライトアップは暮れきる前がベスト

観光施設や歴史的な建造物の中には、夕方以降にライトアップされる建物もある。そういう被写体は、日中とは違う幻想的な雰囲気があり、手ブレ対策(ISO感度アップなど)を講じながらトライしたい。
一般的なライトアップなら、光線状態や明るさに変化はないので、特にシャッターチャンスは考えなくてもいい……と思いがちだが、実は違う。
注目したいのは、まだ日が暮れきらない、空の青さが残る時間帯。その時間を選んで撮影すれば、自然光と人工光が合わさった変化に富んだ写真になる。〈吉森〉

ライトアップと濃紺の空との対比を演出

照らされる東京駅と、夕方の紺色の空との対比。完全に日が暮れると、この雰囲気はなくなってしまうのだ。

キメ技 風景編❾建築物の撮影は垂直線を意識して撮ろう

建築物が写り込む場合、注意しておきたいのがカメラの傾き。基本的に、建築物は垂直に建てられ、壁面なども垂直である場合が多い。
そのため、画面が傾いていると、どことなく不安定なイメージになる。
カメラに内蔵された水準器を使って水平に構えるか、グリッド(格子の線)を画面に表示できるなら、それを参考にカメラを水平にするようにしたい。

また、撮影後に画像ソフトで垂直を調整するのも一手。大きな画面で見られるし、グリッドも表示される場合が多く、高い精度で垂直が調整できる。〈大浦〉

カメラ内蔵の水準器を利用して撮影

ビルなどがあると、わずかな傾きも気になる。カメラの水準器を利用して、垂直になるように撮影。

水準器やグリッドを活用しよう!

キメ技 風景編❿動物園のフェンスや柵は望遠レンズで回避しよう

動物園は被写体の宝庫だ。さまざまな動物がいて、撮影は一日いても飽きることがない。
ただ、厄介なのがフェンスや柵の存在。画面に入り込んでしまうことが多く、悩ましい。
そのようなときは、なるべく画角が狭くなるように望遠レンズを使い、被写界深度が浅くなるよう、絞りを開いて撮影するのがおすすめだ。

また、フェンスや柵の目の大きさにもよるが、なるべくそれらに近づいて撮影するといい。図鑑などとは異なる、ぐっと洗練された動物たちの写真が得られるはずだ。〈大浦〉

望遠で絞りを開き、フェンスに近づく

望遠レンズを使い、絞りを開き、フェンスに近づいて撮影すると見違えるような写真が得られる。

被写界深度を浅くして撮るのがおすすめ!

キメ技 風景編⓫動物たちの生き生きとした表情や動きをとらえよう

動物園は身近な野生体験といえる。何も考えずに動物へカメラを向けると、単なる記録写真にしかならないが、せっかく撮るのだから、その生き生きとした表情や動きをねらおう。
そのために意識しておきたいのが、行動パターンと時間帯だ。動物によっては、決まったルートを定期的に動き回るため、どの位置に来たらシャッターチャンスなのか、あらかじめ考えておこう。

活発に動くタイミングを把握して撮影しよう

また、夕方になると活発に動く動物も多い。そのようなタイミングを見計らって撮影するのもありだ。さらに、太陽の位置も気にしよう。光の当たり方で、動物が別の表情を見せることも多い。なるべく速いシャッタースピードで、しっかり写し止めたい。〈大浦〉

ワオキツネザルは夕方になると活発に動くことが多い。逆光の中、池に掛かる橋の上を走り回る姿をねらった。

太陽の位置を意識し、動物の表情をとらえる

太陽の光を受けるヒガシクロサイ。露出をギリギリまで切り詰め(F4で1/950秒、マイナス1・7の露出補正)、肌の質感を強調した。

動かないといわれているが、実はよく動くハシビロコウ。太陽の光を浴びて暗い背景から浮かび上がった姿をとらえることができた。

行動パターンと時間帯、太陽の位置を意識!

解説/大浦タケシ(フォトグラファー)、吉森信哉(フォトグラファー)

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