【治る?】足底腱膜炎や外反母趾の原因「扁平足」を改善する方法 足のアーチを復活させる簡単体操

美容・ヘルスケア

扁平足というと、土踏まずがなく足の裏が平たい状態を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実際には、ある一定基準よりアーチがくずれていれば、それは扁平足です。アーチくずれは、外反母趾、内反小趾、モートン病、足底腱膜炎などの悪影響を及ぼします。【解説】吉野匠(吉野整形外科院長)

解説者のプロフィール

吉野匠(よしの・たくみ)

順天堂大学医学部卒業後、慶應義塾大医学部整形外科入局。慶應義塾大学病院をはじめ済生会神奈川県病院、済生会横浜市南部病院などの関連病院勤務を経て、横浜大口駅前に吉野整形外科を開院。特に、足の外科を専門としている。足の体操やオーダーメードのインソールなどでも足の不調を治療する。また、東邦大学医療センター大森病院膠原病科において関節リウマチの研究にも力を注ぎ、その研究成果が評価され医学博士号を取得。現在、クリニックにおける外来診療とともに、慶大関連病院へ院長自らが出向し、当院で手術加療を必要とされた患者様や依頼患者様の執刀も行っている。
▼吉野整形外科(公式サイト)
▼略歴や資格、所属団体(公式サイト)
▼専門分野と研究論文(CiNii)

健康な足には縦と横二つのアーチがある

足には、縦方向と横方向のアーチが備わっています。

足を横から見たときに認められるのが「縦のアーチ」、前からみたときに認められるのが「横のアーチ」です。この縦横のアーチが私たちの足の「土踏まず」と呼ばれるところです。

足のアーチは、私たちが歩いたり走ったりするときに、地面から受ける衝撃を吸収するクッションの役割や、地面を蹴り返すばねの役割をしています。足への負担を和らげ、効率よく歩いたり走ったりするために、足のアーチは必要不可欠です。

ところが、このアーチが低い、あるいは失われた「アーチくずれ」の人が、現代人には急増しています。

健康なアーチのある足と扁平足のレントゲン比較

しかし、この「アーチくずれ」の中には完全な扁平足の人から、自分では気づかない程度の低めのアーチの人までおり、私は後者のような足を「かくれ扁平足」と呼んでいます。そしてこの「かくれ扁平足」もまた現代人には増えてきているのです。

扁平足というと、全く土踏まずがなく、足の裏が平たい状態を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実際には、ある一定基準よりアーチがくずれていれば、それは扁平足です

そのチェック法は、医療の現場ではレントゲン写真で行いますが、家庭でもできる簡易法があります。

■家庭でできるアーチのチェック方法

イスに座り、ひざが90度になる高さの台に右足を乗せる。

ひざを90度に保ったまま、左手の中指と薬指を右足の土踏まずの中に差し込む。反対の足でも確認する。

【アーチがくずれた足】
中指と薬指の両方もしくは片方が第2関節まで入らないと、アーチがくずれている。

【問題のない足】
中指と薬指の両方が第2関節まで入れば、アーチはくずれていない。

「アーチのくずれは諸悪の根源」といえる

アーチくずれは、遺伝的な素因によって、生まれてから成人になるまでずっとという人もいれば、環境や生活習慣などの要因が大きく影響して次第になっていく人もいます。

近年、歩き始めたばかりの赤ちゃんに、早々と靴をはかせる親御さんが増えています。しかしこれは、成長期における足のアーチ形成を妨げる要因となっているのです。

成長期には、屋内はもちろん、外でも危険がないところでは裸足で遊ばせることが大切で、それによって、足の骨格形成が促され、正常のアーチを形作るのです。

また、正常なアーチを持つ人でも、成人期以降にアーチくずれを生じさせる要因が現代社会にはあります。その要因とは、「歩かなくなったこと」です。

交通機関が発達し、乗り物社会となった現代、一昔前と比べ明らかに自分の足を使う機会が減っています。その結果、体重を支える足の筋力が落ち、アーチくずれを起こしやすくなっているのです。

さらに、年齢を重ねることによっても筋力は低下し、一方で体重は増加する傾向にあるため、足への負担が増えて、アーチがくずれやすくなります。

また、アーチくずれは、足だけでなく、全身に悪影響を及ぼします。ですから、「アーチのくずれは諸悪の根源」といえるのです。

その一つが足の裏のタコです。アーチがくずれ始めると、足の指の付け根のあたりの骨が地面に当たり、タコができやすくなります。特に第2指の付け根にできやすく、他にも第1指の横や第5指の根本などにもできることがあります。

また、アーチくずれによって足裏から指先に向かう神経が押しつぶされて、指がしびれる人もいます。特に第3、4指に多くみられます。いわゆる「モートン病」という病気です。

クッション役のアーチがくずれることで、地面からの衝撃が足の甲や足首にダイレクトに伝わり痛みが生じる人もいます。

また、足の裏にある足底腱膜という組織が引っ張られ、足の裏の筋や、かかとの付着部位が痛む「足底腱膜炎」になることもあります。

一方、地面を蹴るときのバネ力が低下すると、前に進む力を筋力に頼ることになります。

その結果、アキレス腱やふくらはぎに負担がかかり、アキレス腱の炎症が起きたり、足が疲れやすくなったりします。

足の第1指が第2指側に曲がり、くの字に曲がる「外反母趾」、第5指が第4指の方へくの字に曲がる「内反小趾」も、アーチくずれが原因となって起こります。逆に、アーチくずれを改善すると、これらの不調や病気のリスクを下げらます。

このほか、アーチくずれによって体の重心がずれて、ひざ痛腰痛を起こす人もいます。

アーチくずれは頑固な頭痛も招く

さらに、「頑固な頭痛やうつの原因が、実はアーチくずれだった」という例もあります。自分の足のアーチをチェックし、低ければ正しい対処法を講じるようにしましょう。

アーチくずれを改善する手軽な方法として、下記の体操をお勧めします。

チューリップ体操は、第1指の付け根に付き、横のアーチを持ち上げる役割を担う筋肉(母趾内転筋)を鍛えてアーチがつぶれないようにする体操です。

タオルとってこい体操は、縦のアーチを支えるとともに地面を蹴り返すために動く足底筋(足の裏の筋肉の総称)を鍛える体操です。

アーチくずれ改善に、ぜひご活用ください。

横のアーチを取り戻す
「チューリップ体操」

【用意するもの】
太い輪ゴム2本(幅約2cm)
※普通の輪ゴムでも15本束にして代用可

イスに座って、両足のかかとをひっつけて、床につける。第1指に渡すように輪ゴムをかけ、両足の第1、2指で輪ゴムをしっかりとはさんで離れないようにする。

足先を開いた状態で5〜10秒キープ。(1)と(2)を20回を目安にくり返す。毎日行うこと。

普通の輪ゴムでもOK!

縦のアーチを取り戻す
「タオル取ってこい体操」

【用意するもの】
フェイスタオル1枚(やりやすい大きさのもので可)

イスに座り、足元前方に向かって縦にタオルを置いて、足を乗せる。左右の足の指で交互にタオルをつかみ、足元に引き寄せる。

左右の足の指で交互につかむ

この記事は『安心』2019年11月号に掲載されています。

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