コーヒーほど「いろいろな人がいろいろ言いたい飲み物」は少ないでしょう。ある人は、スタバが最高と言いますし、ある人はネルドリップに限ると言います。またエスプレッソがお勧めと言う人もいます。人により、こうも変わるのかと言うのが、コーヒー体験ですが、私がコーヒーの経験を積む中で、一番味が変わるなぁと思ったのは「豆」と「焙煎」です。

パナソニックのスペシャリティコーヒー提供サービス「The Roast」

何かと抽出方法が話題になりがちですが、生鮮食料品でもある「豆」、そしてその豆を方向性を決める「焙煎」、これらがしっかりしていないと、抽出法に執着してもあまり意味がありません。なんせ、劇的に変わりますので。

その焙煎を中心に、スペシャリティコーヒーを提供するサービスがあります。サービス名は「The Roast(ザ・ロースト)」。焙煎という意味です。やっているのは、なんとパナソニック。家電メーカーです。近年、急速にB to B化を進めており、いろいろな分野で特殊なサービスを提供していますが、このサービスには恐れ入りました。コーヒーのプロも使っているサービスです。

驚きのサービス内容

The Roastのサービスは、Basic(ベーシック)サービスとExpert(エキスパート)サービスがあります。

まず、Basicサービスを紹介します。
まず、焙煎機本体とスターターキットを購入します(10万円・税抜)。焙煎機本体には、チャフ専用ビンが付属します。焙煎というのは、生豆を煎る行為です。煎ることにより、内部で化学反応が起こり、抽出することにより、コーヒーが飲めるコーヒー豆になります。

画像1: panasonic.jp
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同時に、生豆の時に、豆を保護するためにあった薄皮が剥がれます。この薄皮を「チャフ」と言います。チャフを豆と一緒に挽くとスゴく不味くなるので、きれいに取り去ることが必要です。そのチャフを上手に剥がすのも、焙煎機の役目の一つです。チャフ専用ビンというのは、このチャフの受取をするゴミ箱のようなものです。そして、スターターキットは、生豆200g×2種類と「ジャーニー・ブック」です。

パナソニックの担当者の話によりますと、この中で最も価値が高いのは「ジャーニー・ブック」だそうです。これは、豆の品種、特長はもとより、産地の情報、バイヤーの声など、プロでも中々入手しにくい情報がギッシリ書かれています。蘊蓄のネタ本です。

画像2: panasonic.jp
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もう一つスゴいのが、その豆に合わせた焙煎工程のデーターです。
コーヒーは焙煎によって、味と香りが劇的に変化します。上手な焙煎だと、7〜15種類位の複雑な香り、豊かな味がでて、実に至福。出来がよい吟醸酒を口に含んだかがごときです。
が、ちょっと条件設定が上手くないと、香りもたちませんし、味もささくれだった感じになります。ですから、焙煎プログラムはコーヒーの命ともいうべきものです。

この焙煎プログラムが提供されるのです。プログラムは、ワールドコーヒーロースティングチャンピオンシップ 2013年優勝の豆香洞コーヒー オーナーの後藤直樹氏が作ります。世界チャンピオンの腕前がデーターとして送られてくるわけです。

私は昔、「IoTとは」と聞かれたとき、例として、電子レンジにその年の料理チャンピオンのレシピが送られてくるサービスなどが出てくるでしょうと言いましたが、そのコーヒー版です。

コーヒーの感動体験に必要なモノが全て揃っているのが、The RosastのBasicコースというわけです。プロも契約する理由がお分かり頂けると思います。

ちなみに、Expertの方は、この焙煎を自分でプログラムするコース。こちらは初回、25万円(税抜)です。まぁ、世界最高の食材を持ってきたので、料理してと言われているようなものですからね。焙煎師向けと言えます。

文化志向の強いサービス

このようなビジネスは、存在することはいいのですが、やはり、「なぜパナソニックが」という疑問も残ります。
赤字にはならないとしても、外部の人に監修など助けてもらうにせよ、このビジネスはいい生豆の入手から対応しなければなりません。当然、買い付け時は、社員が現地まで行き、確認しなければなりませんし、いかに焙煎がスゴいと言っても、手間が非常にかかります。M&Aで、できるところを買収した方が手っ取り早く済みます。

パナソニックが、わざわざ、このようなことをするのは何故でしょうか?

私は、ある種のパトロネーゼ思想だと思います。
パナソニックは老舗メーカーです。その上、世界でも大企業です。昔の経営者は会社で成功すると、その地域の文化に貢献することが多かったです。倉敷の大原美術館などは典型例ですね。

同様に、パナソニックは超一流の文化を集め、いろいろな形で社会還元しているように感じます。映像再現では、ハリウッドで映画のサポート、音響分野では、ベルリンフィルハーモニーの音響、録音サポート。そしてコーヒーの The Roastですからね。

この一流の遊びが、スタート時10万円、月々の生豆:3800〜5500円(生豆の良により異なる。また契約は1年契約。)で、スペシャルティ・コーヒーが堪能できるのですから、「安い!」と言わざるを得ません。量ではなく、質を求めるサービス方法は、令和のトレンドになるかも知れません。

画像: The Roast紹介動画【パナソニック公式】 youtu.be

The Roast紹介動画【パナソニック公式】

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◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。

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