【片付けられない人へ】須藤昌子さんが教える家族のルール「死んでも床にモノを置かない」で全てが解決!

暮らし・生活・ペット

たった一つ「これをやらない」だけで、どのような暮らしの人も片づけが苦手な人も、すべてが片づくルールがあります。それは「死んでも床にモノを置かない」こと。「やらないこと」を考えると、片づけはグッと楽になります。【解説】須藤昌子(整理収納コンサルタント)

解説者のプロフィール

須藤昌子(すどう・まさこ)
整理収納コンサルタント。「いつお客様が来られても慌てないおうちづくり」をするために、整理収納アドバイザー1級の資格を取得。その後、整理収納コンサルタント資格も取得。Amebaブログ「整理整頓・ミニマルライフ」ジャンルで1位を何度も獲得し、人気ブロガーとなる。2017年Ameba公式トップブロガーに認定。整理収納サポート、整理収納スタイリングレッスン、企業向けコラムの執筆や雑誌、テレビ出演など、多方面で活躍。著書に『死んでも床にモノを置かない。』(すばる舎)、『リバウンドしない収納はどっち?』(KADOKAWA)がある。

300世帯が片づいた! 「やらないルール」を決めれば家は勝手に片づいていく

■床にモノがないと掃除がとても楽

私は整理収納コンサルタントとして、これまでに300世帯以上の片づけを指導してきました。

人の暮らし方は千差万別だから、片づけのやり方もその人の暮らしに合わせたものになる──そう思っているかたも多いでしょう。

しかし、実はたった一つ、「これをやらない」だけでどのような暮らしの人も、片づけが苦手な人もすべてが片づくルールがあります。

それは、「死んでも床にモノを置かない」こと。

掃除と片づけというと、あれもやらなければ、これもやらなければと「やること」を増やす人がたくさんいます。実は逆なのです。

やらないこと」を考えると、片づけはグッと楽になります。その最たるルールが「死んでも床にモノを置かない」ことです。

床にモノがなければ、部屋に掃除機をかけることがとても楽になります。「それだけ?」と思うかもしれませんが、これが重要なことです。

逆に、床にモノがたくさん置いてあると、それを持ち上げたり、片づけたりしないと掃除機をかけることができません。掃除機をかけるだけでめんどうくさく感じ、「後でやろう」などと思うことになります。

片づけられない人の原因は、「片づけをめんどうくさくしている」点にあるのです。

人は誰でも、めんどうなことはしたくありません。片づけは、今しなくてもすぐには困りませんから、どんどん後回しにしてしまいます。

そうするとさらにモノがたまって、もっとめんどうくさくなります。そして、ついにずっとそのまま……ということになるのです。

「床にモノがある」──部屋の散らかりはそこから始まります。

実際に、私が指導にお伺いした家の9割以上は、床にモノがあることが片づかない最大の理由でした。

■「やらない」ルールの肝は「収納」

「じゃあ、まず床にあるモノを片づけよう!」と思ってくださったなら、それはとてもうれしいことです。「でも、言われて片づけても、また散らかってしまうんです」。こういう人が多いのではないでしょうか。

リバウンドしてしまう人の特徴は、片づけるときに「これをする」というルールを作っているところにあります。

するルールを作っていくと、どんどん増えていって、自分で作ったルールに追い立てられ、疲れてしまいます。そしてけっきょく、ルールはなし崩しになり、また散らかっていくのです。

そこで私が提案しているのは、「する」ではなく、「やらない」ルールを決めること。先にお話しした「死んでも床にモノを置かない」は、その中で最も大事なことです。

須藤先生のご自宅のリビング。生活感がありながらも、床にもテーブルにもキッチンにもモノは置いていない

するルールを決めるより、やらないルールを守るほうが気が楽ではありませんか? 掃除と片づけはずっとやっていくことですので、無理をしない、肩ひじを張らないルールのほうが絶対に楽なのです。

「やらない」ルールを続けるためにポイントとなるのは「収納」です。

モノは、収まるべきところに取り出しやすく収めれば、戻すときにもストレスなく、自然な流れで戻せます。片づけるのが簡単なので、出しっ放しがなくなるのです。

つまり、床にモノを置いている人は、そもそも収納の使い方、やり方が間違っているということです。

■収納するために収納用品を買ってはダメ

よくやりがちなのは、「片づけるために収納用品を買う」こと。これは片づけのやり方を知らない人の発想です。私の「やらない」ルールの一つに、「片づけるための収納用品を買わない」があります。

収納にゴチャゴチャモノが詰まっている状態で収納用品を買ってきて、きれいに引き出しへ収めようとします。きちんと収まると思いますか?

モノは入りきらずにあふれてしまうのです。むしろ収納用品が増えた分、結果的に家にはモノが増えただけに終わります。

寝室もモノを置かないことでスッキリ

私には10歳になる娘がいます。先日、娘が塾のたまったプリントを整理し始めました。プリントの収納は、太めのファイルボックス2つ。これに入りきらなくなり、あふれてきたのです。

娘は、すべてのプリントを取り出し、床に並べて、種類分けをしました。もう使わないプリントは捨て、残ったものを取りまとめます。

「ファイルボックス、もう1ついる?」と問うと、娘はこう答えます。「いらない。2つのファイルボックスに入るようにすることが目的だから」。

これこそが片づけと収納の本質です。「手元にある収納に収まるように、モノの量をコントロールする。収納用品は手元に残ったモノを使いやすくするためのもので、コントロールできない量のモノを収めるものではない」ということです。

■朝のバタバタ、イライラがなくなった

モノはあればあるほど目が行き届かなくなります。気に入っていたモノや、必要なモノの存在すら忘れてしまいます。必要なときにすぐ出てこないモノは、持っていても持っていないことと同じなのです。

そう考えると、使っていないモノは、思い切って減らすのがよいということになります(モノの減らし方については、後述)。

まずは次項より、私がお勧めする。家じゅうがきれいに片づく「やらない」ルールをご紹介します。私がこれまでにお手伝いした家庭も、「やらない」ルールできれいに片づいています。

「掃除が楽になり、自分の時間が増えた」「家がいつもきれいな状態で、とても気持ちがいい」「夫や子どもの笑顔が増え、以前より明るい家庭になった」「夫の出勤時、子どもの登校時など、朝のバタバタ、イライラがなくなった」

など、家じゅうが見ちがえたとたくさんの喜びの声もいただいています。皆さんの家もきっとそうなります。まずは「死んでも床にモノを置かない」ことから始めてください。

「やらない五原則」で掃除と片づけが楽になりイライラや忘れ物もなくなる

■モノがないほうが料理はスムーズにできる

「する」ルールより「やらない」ルールを作るほうが、掃除と片づけは楽になるとというお話を前項でしました。

最も大事なルールが「死んでも床にモノを置かない」でしたが、床以外の場所でもこの考え方が基本となります。

床にモノがなければ掃除機を楽にかけられるように、キッチンや棚、玄関でも、モノを置かなければ、拭き掃除、掃き掃除が楽になります。時短にもなるし、汚れをためることもありません。

私が特にお勧めしたい「やらない五原則」は以下のものです。

(1) 床にモノを置かない
(2) キッチンにはモノを置かない
(3) 棚の上になんでも置かない
(4) 玄関にモノを置かない
(5) 収納を満タンにしない

ほとんどの家はこの5つの「やらない」ルールだけで、きれいに片づくと思います。それぞれの「やらない」について、詳しくお話しします。

床にモノを置かない

これは、前項でもその理由とともにお話ししました。リバウンドしない、いつも片づいた家を保つには、これがいちばん簡単で、重要なことになります。

買い物で買ってきたモノ、持ち歩いたバッグ、届いた荷物、着替えた服、飲み終えたペットボトル……どんなものでも床に置いてはいけません。これだけで格段に部屋はきれいになるのです。

廊下や階段にももちろんモノは置かない

キッチンにはモノを置かない

そもそもキッチンは、家の中でも最も汚れやすい場所です。どんなに気をつけていても、料理をするときは、油が飛んだり、ちょっと調味料をこぼしたりします。

このとき、ササッと拭き掃除をしたくても、調味料のボトルやケースが、IHやガステーブルの脇に並んでいたり、キッチンツールが置いてあったりすると、めんどうになって「今拭かなくてもいいや」となってしまいます。

調味料や出番の多いキッチンツールがキッチンに置いてあると一見便利に見えます。しかし、モノが置いてあるせいで、料理の手際が悪くなることもあるのです。

料理好きの私は、料理をする前になってから、必要なものを取り出して並べます。このほうが動きにムダがないので、スムーズに料理ができます。

キッチンにモノを置かないことで、キッチンを清潔に保て、また、結果的に料理の手際もよくなるのです。

調味料やキッチンツールなども収納場所を作る

■「とりあえず棚に置く」はNG!

棚の上になんでも置かない

「棚の上にモノを置かない」と言うと、「棚はモノを置くためにあるものでしょ?」と思うかたが多いでしょう。ここでのポイントは、「なんでもかんでも棚に置かない」ということです。「とりあえず棚に置いておこう」これは厳禁です。

私の家の棚にも、モノは置いてあります。ちょっとした観葉植物や季節のアートフラワー、旅行先で購入した貝殻など、家のテイストに合うものだけを厳選して飾って楽しんでいます。

モノを部屋に飾る際は、事前にどのくらい置くか、何を置くか、どんなふうに置くか、を具体的に決めておくのがお勧めです。引き出しに入りきらないから、使う頻度が高いからなどの理由で、棚に置きっぱなしにしてはいけません。

棚の掃除は、拭き掃除だけでなく、棚に飾ったモノのほこりを払う作業もあります。これはけっこうたいへんな作業です。掃除を楽にするために、棚には選び抜いたモノだけを置くようにしましょう。

浴室と洗面所。棚に何もないと掃除もしやすい

玄関にモノを置かない

玄関にモノを置かないと、掃除が楽になるのはもちろんですが、朝からご主人の「あれ、どこに置いたっけ?」やお子さんの「○○がない!」の言葉で家の中を走り回らなくて済むことが大きな利点です。

帰宅してポケットのモノやカバンに入れていたものを、玄関の靴箱の上や棚に置くのが習慣になっているお宅も多いですが、これをやると「あれ、どこに置いたっけ?」の原因になりますし、忘れ物もします。

毎日必ず持って出るものは、置き場所を決めて、一カ所にまとめておけば、朝の貴重な時間をムダにしなくて済むのです。

私の主人は、出掛けるとき、支度を寝室でするので、寝室のクローゼットの一角を主人のスペースとし、そこに、鍵、財布、シャツ、下着、靴下、ハンカチなど、必要なモノをすべて同じ場所に、まとめておくようにしています。

一つの場所にまとめておけば、朝から「あれどこにやった」「これどこにやった」と家じゅうウロウロせずにそろうようになります。朝のイライラや忘れ物がなくなるのです。

印鑑や財布などは玄関に置かないのが吉

■収納の空きを作れば片づけは回り出す

収納を満タンにしない

そして、前項でもお話ししたとおり、「やらない」ルールの肝になるのが、収納を満タンにしないことです。

満タンにしないいちばんの理由は、モノが取り出しにくいからです。そして、取り出したモノを元の場所にしまいにくい。場合によっては、いったん周囲のモノを取り出さなければならないこともあります。どう考えてもめんどうです。

何かを収納するためには、そのモノが入るスペース+上下や両サイドにほどよい「空き」が必要です。この「空き」が作ることができれば、すべての掃除と片づけはきれいに回り始めます

収納に常に「空き」があると、急ないただきモノやどうしても捨てられないモノが生じたときに、キッチンの隅っこや棚、テーブルの上にひとまず積んでおくということも避けられます。

なぜ収納に「空き」を作れないのか。それはモノが多過ぎるからです。前項の私の娘のプリント整理ではありませんが、モノの量をコントロールすることが重要になります。

【 クローゼット 】「『いつか着るかも』という服はもう着ません」(須藤)
【 パントリー(納戸) 】モノはすぐ取り出せて、すぐ戻せる量しか入れないようにする

次項からは、上手なモノの量のコントロールのやり方、つまり、モノの減らし方を紹介していきます。限りのあるスペースに空きを作る方法は、不要なものを捨てることです。モノが捨てられない人は、ぜひ参考にしてください。

1年使わないモノは捨てる!思い出は1箱まで!家が片づく「モノの減らし方」

■買いだめはけっきょく損をする

これからモノの減らし方をお話ししていくわけですが、ここでもう一つ、私の「やらない」ルールをご紹介します。それは「ミニマリストは目指さない」です。

ミニマリストとは、生活にほんとうに最小限のモノしか持たない人のことを言います。必要最小限の暮らしになると、心の豊かさまでも捨ててしまうような気持ちになります。

私が目指すのは、自分らしくいるため、心安らげる空間を作るために、「モノが多過ぎず、少な過ぎない暮らし」です。なんでもかんでも減らしましょう、という話ではないことは理解してください。

さて、片づいた生活のために最もたいせつなのは、「自分がめんどうを見ることができる以上のモノを持たない」ことです。

「めんどうを見る」とはどういうことか。何がどこにあるか、すぐ把握できていることです。何がどこにあるか、自分でわからない場合、わかりやすい「モノが多過ぎる」サインです。

私の娘は、誕生日やクリスマスなどの特別なときを除いて、モノを欲しがりません。流行しているモノなど、「欲しくないの?」と尋ねると、娘は「モノがたくさんあっても、全部に愛情を注げなくなるから」と答えるのです。わが娘のことながら感心しましたが、これこそが「モノを増やし過ぎない」考え方です。

モノが増える原因の一つに、「買いだめ」があります。これはネット通販の時代になって、特に多い問題です。

「まとめて買うと安くなる」と大量に買うと、とたんにモノのめんどうを見切れなくなります。しまうスペースがなく、棚に出しっぱなしにしたり、収納の入る隙間に無理やり押し込んだりします。

こうなると、家の中が散らかるだけでなく、どこに何があるのかがわからなくなり、必要なときにすぐ取り出せません。数の把握も難しくなり、まだたくさんあることを忘れて、同じモノをまた買ったりしてしまいます。それでますますモノは増え、使わないモノを買うことで、結果的に金銭的にも損をするのです。

ですから、まず「買いだめはしない」「思いつきで買い物をしない」というルールを作ってください。

子供部屋。娘さんは「すべてに愛情を注げる」分しかモノを欲しがらないという

■収納にあるモノを全部出してみる

買いだめや衝動買いをやめてもスペースが足りないという人は、明らかにモノの持ち過ぎです。モノの減らし方にチャレンジしましょう。

ざっくりとモノを減らせる、一つの法則を紹介します。それは「1年以上使っていないモノは捨てる」こと。「もったいない」「いつか使うかも」と思っていても、1年使わなければ、9割方今後も使うことはありません。

もし使うことがあっても、そのときに買えばいいもので、ずっと家に置いておく価値のないものがほとんどです。使ってないな、使う予定がないな、というモノは減らしていきましょう。

収納や棚に置いてあるモノを全部出す」というやり方も有効です。全部並べてみると、ハッキリと要らないモノ、使ってないモノがわかります。

私が以前、お手伝いした家庭では、洗面所の収納に入っているモノを全部出したら、ご主人のヘアスプレーが何十本も出てきました。

それを見たご主人が、「こんなにヘアスプレーを持っていたんだ」と驚いて、それ以来、買い物に気をつけるようになったそうです。モノが減ったうえに、ムダな出費も削減できたわけです。

別のお宅では、キッチンの収納からモノを全部出すと、ご夫婦二人暮らしにもかかわらず、1度に5人分は料理できそうな、特大のフライパンがいくつも出てきました。

「捨てましょう」と言うと、「もったいない」と言うのですが、「使うんですか?」と聞くと「使わない」と言うのです。

モノが減らせない理由は、「まだ使えるから」「高価なものだから」「いただき物だから」「いつか使うかもしれないから」です。これらに共通するのは、「もったいない」です。

モノは、使われるためにあります。使われてこそ価値があるのです。使わないモノはあってもなくてもいっしょ、減らしてももったいなくないという意識を持ってください。

それでも捨てるのが心苦しい場合、人に譲ったり、中古品店に下取りに出したりするという手もあります。最近は大手通信販売サイトや、家電量販店でも電化製品や家具などの下取りを行っています。

ただ、仮に売れなかったとしても、「売れるなら売りたいモノ」も、けっきょくあなたにはいらないモノです。

気をつけたいのは、家族のモノを捨てるとき。その場合は、きちんと話をしてから、必要と不要を分けましょう。持ち物の価値観は人それぞれですから、家族といえども勝手に処分してはいけません。

子どもの絵や作品など、成長の記録はなかなか捨てにくいものです。「思い出は段ボール1箱」と決めて、子どもといっしょに何を入れるか決めるとよいと思います。

家の中がいつも片づいていると、心にもゆとりが生まれます。家の中がきれいになったら、家族にかける言葉もやわらかくなったというのはよくある話です。

逆に、散らかった部屋にいると、いつもイライラしたり、落ち着かなかったりします。それは家族も同じ。家がきれいに片づいてから、家族関係がよくなったという話もよく聞きます。

死んでも床にモノを置かない」だけで、家も、あなたも、家族も驚くほど変わるのです。

思い切ってモノを減らせる!
須藤式捨てる技術

「買いだめ」はしない

1年使わないモノは手放す

収納からモノを全部出す

「売れるなら売る」モノはいらないモノ

この記事は『ゆほびか』2019年12月号に掲載されています。

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