【心臓によい食事】心臓病の抑制に関係する「ポリアミン」とは?大豆やキノコ、漬物を食べることで補充ができる

美容・ヘルスケア

和食を長年食べてきた日本人は心臓病が少なく、長寿であるという事実が注目されています。最近では、和食に「心臓に最もよい食事は地中海食」という研究を取り入れた「地中海式和食」という考え方も出てきました。【解説】古川哲史(東京医科歯科大学難治疾患研究所・生体情報薬理学分野教授)

解説者のプロフィール

古川哲史(ふるかわ・てつし)
東京医科歯科大学難治疾患研究所・生体情報薬理学分野教授。1957年、東京都生まれ。89年、東京医科歯科大学大学院医学系研究科博士課程修了。著書に『血圧と心臓が気になる人のための本』『心房細動のすべて』(新潮新書)などがある。

オリーブオイルとナッツを積極的にとろう

心臓を健康に保つうえで、毎日の食事は非常に重要です。では、「心臓によい食事」とは、どのような物でしょうか。

まずは、減塩です。減塩することで血圧の数値が10%以上下がる人の性質を、「食塩感受性」といいます。日本人は食塩感受性の人の割合が高く、高血圧患者の50%前後が該当するといわれます。

私自身、もともと血圧が低いのですが、単身赴任中に高塩分の外食を続けていたら血圧が急に上がり、降圧剤を飲むはめになりました。

単身赴任が終わり、自宅で食事をするようになったら、血圧が基準値に下がりました。降圧剤をやめても、血圧は低いままです。食塩感受性を実感した出来事でした。

料理を薄味にすることで、白米などの主食の食べ過ぎを防ぎ、肥満予防効果も期待できます。血圧の高い人はもちろん、正常値の人も、ぜひ減塩を心がけてください。

さて、減塩を食事の基本として、ここからは「心臓によい食材」を紹介していきましょう。

2013年に、「心臓に最もよい食事は地中海食」という研究が発表されました。

地中海食とは、イタリアやギリシャ、スペインなど、地中海沿岸地域の食習慣です。その特徴は、オリーブオイルとナッツ、魚を多く摂取するところにあります。その後も、地中海食の有効性を示すデータが蓄積され、テレビや雑誌で取り上げられることも増えました。

ただ、「地中海食が完璧か」というと、そうとはいい切れません。なぜなら、これまでのデータは欧米人が地中海食をとった結果であり、日本人にとって最善の食事かどうかを検証した研究は少ないからです。

一方、和食を長年食べてきた日本人は心臓病が少なく、長寿であるという事実が、注目されています。そのため最近では、和食に、地中海食の長所を取り入れた「地中海式和食」という考え方も出てきました。

和食に欠けていて、地中海食にある長所は、低塩分、オリーブオイルやナッツの摂取、食後血糖値の上がりにくい食材を選ぶ、という3点です。

(1)は、先述した減塩を心がけてください。和食は、塩分が高めになる傾向にあります。

(2)のオリーブオイルは、炒め物や揚げ物などに使うといいでしょう。アーモンドやクルミなどのナッツ類には、血液をサラサラにする効果があります。

(3)は、少しわかりにくいかもしれません。例えば、白米よりも玄米、うどんよりもパスタ、パスタよりもそば、精製小麦を使った白いパンより全粒粉パンのほうが、食後血糖値は上がりにくくなります。頭の隅に入れておいてください。

ヨーグルトやチーズ柑橘類もお勧め!

次に、イタリアの内陸部にあるブルーニコ地方で行われた研究を紹介しましょう。約800人の住民を対象に、食事に含まれる成分と心臓病の発症率を調べた研究です。

そこでは、「ポリアミン」という物質が、心臓病の抑制に最も関係しているという結果が出ました。まずは、ポリアミンを含む食材を挙げてみます。

大豆製品 豆乳や豆腐、みそなど

豆類 大豆や黒豆、アズキ、インゲン豆など。食物繊維も腸内でポリアミンを合成する

チーズ 乳を発酵・熟成させたナチュラルチーズに多い。加熱したプロセスチーズには、あまり含まれない

ヨーグルト 含有量が多いうえに、腸内でポリアミンの合成を促進する

野菜・柑橘類 なかでもブロッコリーとピーマン、トウモロコシに多い。ミカン、オレンジなども多く含む

キノコ類 なかでも、シメジとエリンギが特に多く含む

漬物 ぬか漬けやキムチなど、発酵食品全般

エビ エビに多く含まれるアルギニンが、ポリアミンの合成を促進する

貝類 内臓を含んだ貝。サザエの肝に特に多い

内臓を含む貝類にも豊富

ポリアミンを含む食材を使った料理を、別記事で紹介しています。参考にしてください。

[別記事:心臓イキイキ美味薬膳レシピ→]

さて、ポリアミンは、ウイルスからヒトまで、すべての細胞内でつくられ、細胞の増殖に深く関与しています。

ヒトの体内のポリアミンは、生後10日から2週間で最も多くなり、その後加齢とともに減少します。体内でポリアミンをつくる力が衰えると、老化が進むのではないかと考えられます。

ただ、ポリアミンを多く含む物を食べたり、腸内細菌にポリアミンをつくらせたりすることで、補充することもできます。マウスのエサにポリアミンを加えたところ、寿命が25%延びたという実験結果があるのです。

ヒトにも同じ効果があるかどうかは、まだわかりませんが、次のような話もあります。

長寿で全国的に有名になった「きんさん、ぎんさん」をご記憶のかたは多いでしょう。ぎんさんの4人の娘さんたちも長生きで、2019年現在、お二人が105歳と100歳でお元気です。あとのお二人も、95歳で大往生されました。

長寿4姉妹のお一人の便を調べたところ、ポリアミンが平均の2倍もあったというのです。ヒトでのデータはまだ少ないものの、ポリアミンが心臓を病気から遠ざけ、健康長寿に寄与する可能性は高そうです。

基本は「塩分少なめ、野菜多め、良質のたんぱく質をバランスよく、腹八分目」です。それに加え、今回挙げた食材を上手に取り入れてください。

この記事は『壮快』2019年12月号に掲載されています。

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