腸内フローラを改善する「トマト味噌汁」とは 大玉よりもリコピンが多く含まれるミニトマトがおすすめ

美容・ヘルスケア

野菜から食物繊維をしっかり摂取するには、かさが減るよう加熱調理をするひと手間が重要です。そこでみそ汁です。ビタミンB群やCなどの水溶性ビタミンも汁ごととれます。リコピンが大玉のトマトよりも多く含まれるミニトマトを入れるのもお勧めです。【解説】内藤裕二(京都府立医科大学消化器内科学教室准教授)

解説者のプロフィール

内藤裕二(ないとう・ゆうじ)
京都府立医科大学消化器内科学教室准教授、同大学附属病院内視鏡・超音波診療部部長。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。専門は消化器病学、消化器内視鏡学、消化管学、酸化ストレスと消化管炎症、生活習慣病。長年、腸内細菌を研究し続けている腸のスペシャリスト。『消化管(おなか)は泣いています』(ダイヤモンド社)など、著書多数。

善玉菌のエサになる食物繊維を摂取しよう

私は、日々、消化器内科の診察を行うかたわら、腸内細菌の研究も進めています。

昨今、腸の状態が、心身の健康に大きな影響を与えると注目されているのは、皆さんもご存じでしょう。私たちの腸内には、約1000種類、100兆個以上の腸内細菌が棲息しています。その腸内細菌が形成する生態系のことを、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」といいます。

腸内フローラのバランスがくずれると、腸内環境が悪化し、便秘や下痢はもちろん、肌荒れ、肥満、さらには糖尿病やうつ病まで、さまざまな不調を招くリスクがあるのです。

そこで、私が腸内フローラの改善のためにお勧めしたい食品の一つが、発酵食品です。

発酵食品には、「発酵菌」と呼ばれる微生物が含まれています。乳酸菌や酵母、酢酸菌などが代表的です。これらの発酵菌は、腸内の悪玉菌の割合を減らし、善玉菌を増やします。

善玉菌が増えて腸内で発酵が起こると、「短鎖脂肪酸」が産生されます。短鎖脂肪酸とは、大腸細胞のエネルギー源です。腸内を弱酸性に保ち、よい菌が棲みやすい環境をつくります。

発酵食品であるみそには、アミノ酸ビタミンが豊富です。それらは、私たちの体の栄養源になるほか、腸内の悪玉菌増加の抑制にもつながります。

みそ自体にも短鎖脂肪酸は含まれていますが、腸まで届かずに体内に吸収されてしまいます。つまり、単にみそをとるだけでは、腸内に短鎖脂肪酸は増えないのです。

では、どうすれば、腸内に短鎖脂肪酸が増えるのでしょうか。

重要となるのが、食物繊維です。食物繊維には、便のかさを増す不溶性食物繊維と、便をやわらかくする水溶性食物繊維の2種類があります。

なかでも、腸内環境に大きな影響を与えるのは、水溶性食物繊維です。

水溶性食物繊維は、善玉菌のエサになります。そして、それが発酵して分解されると、短鎖脂肪酸が産生されます。その結果、腸内フローラのバランスが整い、腸内環境が改善するのです。

ところが、日本人は今、食物繊維が圧倒的に不足しています。まもなく発表される厚生労働省の食事摂取基準(2020年版)では、食物繊維の摂取基準は1日当たり19gとされています。しかし、本来目指すべきは、国際基準の24gです。

にもかかわらず、日本人は14gしかとれていないのが現状です。

食物繊維が不足している理由の一つに、近年の糖質制限ブームがあります。主食となる炭水化物には、糖質だけでなく食物繊維も含まれるため、主食を制限すると、食物繊維の摂取量まで減ってしまうのです。

ですから、主食には、食物繊維が豊富な玄米やもち麦などを積極的にとるといった、おかずだけでなく、食事全体で食物繊維の摂取量を底上げする必要があります。

食物繊維=野菜というイメージがありますが、生野菜では、十分な量の食物繊維はとれません。1日に必要な食物繊維を生野菜でとるには、とうてい食べ切れない量のサラダをとる必要があります。

ですから、野菜から食物繊維をしっかり摂取するには、かさが減るよう、加熱調理をするひと手間が重要です。

リコピンの炎症を抑える新作用に期待大

そこで、みそ汁です。野菜を具にして火を通すことで、生野菜よりも量を摂取できます。また、汁ごと食べれば、ビタミンB群やCなどの水溶性ビタミンも余すことなくとれます。

具材としては、水溶性食物繊維が豊富なダイコンゴボウニンジンなどの根菜類を入れるといいでしょう。

また、トマトを入れるのもお勧めです。

トマトには、旨み成分であるグルタミン酸が含まれるので、薄味でもおいしく食べられて、減塩に役立ちます。また、ビタミンCや、カリウムなどのミネラルも豊富です。当然、食物繊維も摂取できます。

現在、私たちのグループは、カロテノイド(動植物に存在する赤色または黄色の色素成分)の一種である、トマトのリコピンの研究を進めています。カロテノイドには、老化や病気の元凶である活性酸素を消去する、強力な抗酸化作用があります。

さらに、カロテノイドは、炎症を抑制する制御性T細胞の活性化に作用することもわかっています。

まだ研究の過程なので断言はできませんが、もし、リコピンにもこの作用があるとしたら、動脈硬化など、さまざまな病気に関与する炎症を抑える効果も期待できるでしょう。

ちなみに、リコピンは、大玉のトマトよりも、ミニトマトに多く含まれています。みそ汁の具にするなら、ミニトマトを使用したほうがいいでしょう。

ぜひ、皆さんも、トマトみそ汁をはじめ、腸内フローラを整える食生活を実践してください。

ミニトマトはよりリコピンが豊富!

トマトみそ汁の作り方

【材料】(2人分)
トマト…中1個(約150g)※ミニトマトの場合は8~10個。
みそ…大さじ1
出汁(水でも可)…300g
そのほか、お好みの具材を入れてよい。

【作り方】
トマトを適当な大きさに切る。
鍋に(1)と出汁を入れて中火にかけ、煮立ったら火を止めて、みそを溶き入れて器に盛る。

オリーブオイルを少量加えれば、リコピンの吸収率がアップ!

この記事は『壮快』2019年12月号に掲載されています。

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