【緑茶うがい】緑茶でインフルエンザは予防できるのか?科学的根拠は?

美容・ヘルスケア

毎年のように猛威を奮うインフルエンザ。今シーズンは、例年より早く流行期に入ったといわれている。インフルエンザの予防対策として、ワクチン接種、マスクの着用、手洗いやうがいの励行が勧められているが、それらに加えて「緑茶うがい」が注目されている。「緑茶うがい」の科学的根拠について研究した、静岡県立大学薬学部教授・健康支援センター長・山田浩先生の講演内容を紹介したい。

解説者のプロフィール

山田浩(やまだ・ひろし)

静岡県立大学薬学部教授・健康支援センター長。医師、薬学者(応用薬理学)。学位は博士(医学)(自治医科大学・1994年)。共立菊川病院小笠診療所所長、自治医科大学医学部助手、聖隷浜松病院総合診療内科部長、浜松医科大学医学部附属病院助教授、静岡県立大学健康支援センター副センター長などを歴任。
▼専門分野と研究論文
▼静岡県立大学健康支援センター

健康長寿の秘訣は緑茶

日本一の茶どころ・静岡県は、健康長寿ランキングが上位の県でもある。その理由として、温暖な気候、穏やかな人間性、運動習慣のある元気な老人が多い、魚や野菜が豊富でバランスのよい食事をしている、といったところがよく知られている。それらに加えて、緑茶をよく飲んでいることが健康寿命に一役かっているのではないかと、「緑茶と健康」についての研究が始まっている。

国立がん研究センターが、40~69歳の男女約9万人を対象に11年間調査した研究では、「お茶を飲むと全死亡リスクが下がる」ということが報告されている。しかも、1杯から2杯、2杯から3杯と量が増えるにしたがって、死亡のリスクが下がる、と報告されている。

緑茶に含まれるカテキン

最も研究され、効果が証明されているのがカテキンだ。カテキンは、緑茶で最も多いポリフェノール成分のこと。カテキンの効能として、抗菌・抗ウイルス作用、脂質異常改善・内臓脂肪減少作用、血糖上昇抑制作用、血圧上昇抑制作用、認知機能低下改善作用、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、抗酸化作用などが、これまでに発表されている。

インフルエンザのウイルスは、足のような突起(ジョイント)が、ヒトの細胞にくっついて感染し、広がっていく。カテキンは、ウイルスの突起にくっついて、細胞の中に入っていくのを阻止するのだ。さらにカテキンは、細胞に入ったウイルスが増殖するのをブロックし、細胞から外に出てほかの細胞に広がるのをブロックすることも確認されている。

カテキンは、インフルエンザウイルスが細胞に吸着するのを阻害する。

インフルエンザが3分の1以下に減少

静岡県立大学薬学部教授・健康支援センター長の山田浩先生は、静岡県菊川市全小学校9校の小学生(約2663人)を対象にして、インフルエンザの発症とお茶の飲用習慣の関連を調査。

2008年11月から2009年2月の4ヵ月間のアンケートをとり、2050人から回収し、解析したところ、お茶を飲む習慣が1週間に6日以上の小学生は、3日未満の小学生と比べて、インフルエンザになる確率が有意に(科学的に)少なかった。

1日1杯(200ml)未満の小学生に比べて、1日1~2杯飲む小学生で38%、3~5杯飲む小学生で46%、インフルエンザの発症が減っていた。

また、伊藤園中央研究所との共同研究でも、医療従事者を対象に、2009年11月~2010年3月の5ヵ月間、カテキンとテアニンのサプリメントを摂取してもらったところ、インフルエンザを発症したのは97名中4名(4.1%)。それに対して、対照群では99名中13名(13.1%)だった。

カテキンとテアニンの継続的摂取で、インフルエンザの発症率が3分の1以下に減少した。

「水道水うがい」より「緑茶うがい」

「緑茶うがいとインフルエンザ」の研究内容が紹介された新聞記事(静岡新聞)。

さらに山田先生のチームは、「緑茶うがいはインフルエンザ予防に効果があるのか」というテーマについても調査。以前から、「緑茶うがいでカゼやインフルエンザの感染を防げるらしい」ということは巷で言われていたが、山田先生は、緑茶うがいの科学的な検証に着手。静岡県掛川市の高校生を対象に、2010年12月~2011年2月(308人)、2011年11月~2012年2月(800人)の2回、「緑茶うがいのインフルエンザ予防作用」の臨床試験を行った。

被験者を、「緑茶うがい群」と「水道水うがい群」に分け、11月~翌年2月の90日間、1日3回のうがいを続けてもらったところ、緑茶うがい群のインフルエンザの発症率は、水道水うがい群に比べて、1回目の研究では約半分に減り、2回目の研究では約3割減った。

山田先生は、「手軽なインフルエンザ予防法として、緑茶うがいの効果を科学的に検証することは意義深い。これからも研究を継続して、統計学的な有意差が出れば科学雑誌に発表したい」と、抱負を述べている。

本稿は、2019年11月28日に開催された講演「伊藤園健康フォーラム・お茶で人生100年時代を生きる知恵」(主催・伊藤園中央研究所)をもとに構成したものです。

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