しなやかな、若々しい筋肉を保っていくことは、健康維持のためにもとても大切です。手始めに「ストレッチ」を実践してみてはいかがでしょうか。ポイントは、①体を温めてから行う。②深い呼吸をしながら行う。③決して無理をしない。の三つです。【解説】井上留美子(松浦整形外科院長)

解説者のプロフィール

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井上留美子(いのうえ・るみこ)

松浦整形外科院長。日本整形外科学会認定整形外科医。2002年、父親が開業した医院を継ぎ、院長となる。女性らしい目線での対話を重視した治療がモットー。最近では予防医学としてのヨガに着目し、「整形外科ヨガ」を考案し普及に努めている。

しなやかな筋肉が関節痛や転倒を防ぐ!

皆さんは、最近、筋力の衰えを実感していないでしょうか。

ある程度の年齢になってから運動しない生活を続けていると、筋力はどんどん衰えます。そして、筋肉の柔軟性も急速に失われてしまうのです。

しなやかな、若々しい筋肉を保っていくことは、健康維持のためにもとても大切です。かといって、いきなりジョギングやランニングを始めるというのは考えものです。無理をして急に運動をすると、かえって筋肉を痛めてしまうことが少なくありません。

そこでまず手始めに、日々の体づくりに役立つ「ストレッチ」を実践してみてはいかがでしょうか。

筋肉は、加齢とともにしだいにかたくなってきます。それを放置すると、筋肉がしっかり伸びることができなくなり、筋肉に支えられている関節の可動域が狭くなるのです。

関節の可動域を広く保って動かしやすくするためには、筋肉の弾性(柔軟性)を取り戻すことが重要。そこで、ストレッチが大いに役立つのです。

ここ最近、ストレッチ関連の書籍に注目が集まっているのも、うなずけます。

例えば、腰痛に悩んでいる人は、たいてい大腿二頭筋(太もも裏の筋肉)がカチカチにかたくなっているものです。この部位の柔軟性を取り戻さないかぎり、腰痛はよくなりません。

逆にいえば、大腿二頭筋のストレッチを日ごろから行っておけば、腰痛の予防・改善にも役立つのです。

同じように、ひざ周辺の筋肉をストレッチすることで、ひざ痛が解消するケースも多くあります。さらに、かたくなりやすい太もも表側の大腿四頭筋や、股関節につながる内ももの内転筋群、肩甲骨周りの筋肉などは、ぜひストレッチを行ってほぐしておくといいでしょう。 

ストレッチによって、筋肉がしなやかになり、関節の可動域が広く保たれれば、さまざまな関節痛の予防になるだけでなく、転倒を未然に防ぐことも期待できます。しなやかな筋肉は、ケガをしにくい体づくりにひと役買ってくれるのです。

体を温め深呼吸しながら無理をせずに実践!

ストレッチには、動かずに行う静的ストレッチや、動きながら行う動的ストレッチなど、いろいろな種類があります。

それぞれ、刺激する部位ややり方はそれぞれ違いますが、共通する重要なポイントをお伝えします。それが、次の三つです。

体を温めてから行う
深い呼吸をしながら行う
決して無理をしない

ストレッチは、体が温まり、血液循環がよくなってから行うのが原則です。ですから、ストレッチをするのは、入浴後や運動のあとが特にお勧めです。

かつては、運動をする前に準備運動としてストレッチを行うことが推奨されていました。しかし、現在ではそれはやるべきではない、というのが常識となっています。

もし、朝起きたときにストレッチをしたいかたは、起き抜けのベッドで行うといいでしょう。布団の中は温かいので、体も動かしやすく効果的にストレッチができるはずです。

そして、しっかり体に血液が循環している状態なら、ストレッチで少し「痛気持ちいい」くらいの負荷をかけてもよいでしょう。

逆に、体が温まっていないのに、「痛い」とか「つらい」と感じるようなストレッチをするのはやめましょう。

ストレッチをする際は、必ず深く呼吸をしながら行ってください。いい換えれば、呼吸が止まってしまうほどのストレッチは、やってはいけないということです。

いうまでもなく、ストレッチで無理は禁物です。前屈して床に手をつけられるようになりたいとか、ペターッと開脚したいなど、気持ちはわかりますが、極端に負荷をかけるストレッチは、ケガをするおそれがあります。

特に股関節は、可動域に個人差があるので、強い負荷をかけ過ぎないように注意することが必要です。

また、ストレッチは、勢いや反動をつけて行わないようにしてください。

ちなみに、血液をサラサラにする薬を飲んでいるかたは、ストレッチのやり方によっては、出血が起こる危険があります。心配なかたは、まず担当医に確認してください。

ストレッチを毎日しばらく続けていき、体を動かすことに慣れてきたら、筋肉トレーニングと組み合わせてはいかがでしょうか。ストレッチをすれば筋肉がしなやかになるので、筋トレ後の筋肉の修復がスムーズになります。

つまり、筋トレとストレッチを同時に行ったほうが、筋肉痛が起こりにくくなるのです。

これまでにお話しした注意点を守ったうえで、最も大事なことは、「ストレッチを毎日根気よく継続すること」です。無理をせずに続けていけば、実践しただけの効果が出てくるのが、ストレッチのいいところだといえるでしょう。

※この記事は『壮快』2020年4月号に掲載されています。

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