風船に上から圧力をかけると横に膨らむように、現代人のほとんどはウエスト部分が圧縮されてつぶれ、横に広がっているような状態です。ですから、ストレッチをしておなか周りを伸ばすと、もともとのサイズに戻り、くびれが現れるのです。【解説】藤澤孝志郎(Dr.孝志郎のクリニック院長・総合内科専門医)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

藤澤孝志郎(ふじさわ・こうしろう)

Dr.孝志郎のクリニック院長・総合内科専門医。2004年に宮崎大学医学部を卒業。主に脳卒中/循環器領域で経験と実績を積み総合内科専門医を取得。研究テーマは健康医学。医学教育の第一人者としても知られ、今日までに10万以上の医学生と研修医がその講義を受けている。「世界一効率よく若返る!1日5秒 骨トレーニング」(ビジネス社)などの著書多数。

ストレッチも筋トレも体への効果は同じ!

理想的なボディラインを実現するための方法としては、食事制限や有酸素運動、筋トレなどがありますが、続けるのは大変ですよね。

そこで、私がお勧めしたいのが、ストレッチです。

実は医学的に見ると、筋トレで筋肉を収縮させても、ストレッチで筋肉を伸ばしても、使うエネルギーは同じなのです!

ストレッチがお勧めの理由は、固まっていた筋肉が伸びることによって可動域が広がり代謝が上がる、圧縮から解放されて気持ちがいい、などがあります。

人間の体は、朝起きたときと夜では、身長が1.5cmも変わります。これは、重力や二足歩行の影響で体が圧縮されているからです。

ウエストも同じで、風船に上から圧力をかけると横に膨らむように、現代人のほとんどはウエスト部分が圧縮されてつぶれ、横に広がっているような状態です。ですから、ストレッチをしておなか周りを伸ばすと、もともとのサイズに戻り、くびれが現れるのです。

特に、現代人はスマホやパソコンの使用で前傾姿勢になりがちで、おなかにも常時、圧力がかかっています。体が圧縮されることで体内のさまざまな組織に負担がかかっていますから、ストレッチをして筋肉を伸ばすことは体にとてもいいのです。

〝緊張〟は病気の原因にもなる

筋肉が縮まってこわばっているのは、常に力が入っていて緊張している状態です。私は今、この「緊張」に注目しています。

緊張という言葉は日常生活でもよく見聞きしますから、軽視する方もいらっしゃるかもしれません。でも、次のような例があります。

私はもともと心臓外科医で、循環器を専門に診ていました。当時、心筋梗塞(※1)や狭心症(※2)といった疾患は、心臓の筋肉に酸素や影響を供給する冠動脈に脂の塊がこびりついて動脈硬化となり、血管が細くなって血流が悪くなるために生じるとされてきました。

※1 心臓が酸素不足になり壊死する病気
※2 心臓に急に起こり、激しい痛みを伴う症状。心筋の酸素欠乏によって起こる

ところが、近年の研究で、狭心症と心筋梗塞の患者の半分以上は、心臓の表面を走る太い冠動脈が何らかの原因で異常収縮する「スパスム」が原因であることが判明しつつあります。

スパスムとはすなわち、緊張です。疲労やストレス、過労などが原因で、冠動脈が「もう疲れたから、働くのや〜めた」と自分の役割を放棄してしまうために、重篤な病気が引き起こされてしまうのです。

私自身、心臓外科医として働いていた頃に、たくさんの心筋梗塞や狭心症の患者さんの治療にあたってきましたが、動脈硬化では説明がつかないケースに多々、遭遇しました。

例えば、カテーテル治療(※3)を行う際には造影剤(※4)を投与して血管の状態を確認するのですが、冠動脈にさほどすぼまりが見られない患者さんが少なからずいたのです。

※3 狭心症や心筋梗塞など、心臓の血管(冠動脈)がコレステロールなどによって詰まったり、狭くなることで起きる疾患に対する治療法の一つ
※4 画像診断の際に画像にコントラストを付けたり、特定の組織を強調して撮影するために患者に投与される医薬品

ストレッチはリラクゼーション

緊張の原因にはさまざまなものが考えられますが、見過ごせない要因の一つがストレスです。

ストレスを解消する方法は、休んだり、のんびりしたりすることです。なんでもいいので、自分が「気持ちいい」、と感じることをすればいいのです。

私は、忙しすぎ、働きすぎの現代人の健康維持に最も必要なのは、リラクゼーションだと思っています。ストレッチは体をほぐし、心をほぐしてくれる、立派なリラクゼーションの一つです。

ぜひ、ストレッチで体をほぐし、心身ともに毎日のびのび過ごしていただきたいものです。

おなかやせストレッチ」は、医学的にみてもウエストの引き締めに非常に効果的です。

特にインナーマッスルである腸腰筋は、表面からは見えないものの、運動能力のほかに姿勢やプロポーションにも関わってくるたいせつな筋肉です。

私は仕事の合間などで、片足を立てて反対側の足を後ろに伸ばし、腰を前に出すようなイメージで腸腰筋を伸ばしています(下写真)。

また、可能ならば、以下のトレーニングもあわせて行うと、さらに効果的です。座っている状態で片足を上げ、上げた片足の太ももに手を置き、手と太ももを押し合うようにするだけ!簡単で効果的なトレーニングなので、ぜひやってください。

トレーニングは片足5秒程度、ストレッチは片足10秒程度。朝夕、一回ずつでも続けていけば、3週間後にはウエストが1〜2cmは細くなるでしょう。

●イスで行う腸腰筋ストレッチ

画像: ●イスで行う腸腰筋ストレッチ

イスに浅く腰掛ける。左足を思いきり後ろに引く。右足の上に両手を乗せ、その姿勢を10秒続ける。反対の足も同じように行う

●イスで行う腸腰筋トレーニング

画像: ●イスで行う腸腰筋トレーニング

イスに座り、片足を上げる。手を上げた片足の太ももに置き、5秒程度、手と太ももを押しあうようにする。反対の足と手も同じように行う

この記事は『ゆほびか』2020年5月号に掲載されています。

This article is a sponsored article by
''.