「横になってもなかなか寝つけない」「夜中に目が覚めてしまう」「寝たはずなのに疲れが取れない」。そんな睡眠の悩みはありませんか? 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や、それに伴う生活の変化で、誰もがストレスを感じているでしょう。外出自粛による活動量の低下もあり、不眠を訴える人が少なくないようです。深く眠れる入浴法や、寝具の選び方、体内時計の乱れを正すセルフケアなどを、3人の医師の先生がたに伺いました。

眠れないのは疲れ目のせい?

パソコンやスマートフォンのLED画面には、ブルーライトが多く含まれています。このブルーライトが疲れ目やかすみ目といった目の症状と同時に、不眠の原因にもなっているといいます。また、近くばかり見ていると目の筋肉が緊張し続け、自律神経が乱れて不眠を引き起こすことも。
眼精疲労と不眠を改善する対策を、松本眼科院長の松本拓也先生に伺いました。

③解説者のプロフィール

画像: ③解説者のプロフィール

松本拓也(まつもと・たくや)

松本眼科院長。日本眼科学会専門医。最適の治療、最新の治療をモットーに、丁寧な説明と、患者に病気の状態を理解し納得してもらうことを大切にしている。治療のかたわら、テレビや新聞、雑誌にも多数登場し、目についての啓蒙に努める。
松本眼科(公式サイト)
専門分野と研究論文(CiNii)

体内時計とは?

人体に組み込まれたタイムスケジュール

最近、疲れ目やかすみ目といった目の症状と同時に、不眠を訴える人がいます。
よく「眼精疲労」という言葉を耳にしませんか? 眼精疲労とは、目を使うことによって体にさまざまな悪影響が出現し、休んでもそれが解消できない状態のことをいいます。具体的には、目の痛み、かすみ、まぶしさ、充血といった目の症状だけでなく、頭痛、肩こり、吐き気などの全身症状まで、すべて眼精疲労に含まれます。

そして、不眠もまた、眼精疲労の症状の一つとして起こることがあります。ほかの症状も同様ですが、そこには近年のパソコンやスマートフォンの使う時間の増加が、大きく影響していると考えられます。

というのも、目の疲れから不眠が起こる理由として、パソコンやスマートフォンのLED画面に多く含まれる、ブルーライトの影響が考えられるからです。

本来、太陽の光で目覚めて、日が沈むと眠くなるというように、人間の体には体内時計が存在します。この体内時計は、網膜が太陽光に含まれる青い光を感じることでつくられています。網膜が青い光を感知すると、メラトニンというホルモンの分泌が抑制され、脳は「朝だ」と判断して、体を目覚めさせます。一方、青い光がないとメラトニンの分泌が増え、脳が「夜だ」と判断して、眠気を催すのです。

ところが、夜遅くまでパソコンやスマートフォンの画面を見ていると、ブルーライトによって脳は「朝だ」と勘違いします。その結果、眠れなくなり、体内時計が狂って、やがて睡眠障害へとつながっていくのです。

目の筋肉の緊張が自律神経を乱す

もう一つ、近いところばかり見て作業していると、毛様体筋というピントを合わせる筋肉が緊張し、血流が悪くなります。筋肉が緊張し、血流が悪くなった状態は、自律神経(心臓や血管など意思とは関係ない働きをつかさどる神経)の交感神経(活動時に働く神経)が優位になっています。

そうなると神経が高ぶって、夜になってもなかなか眠ることができません。その状態が長く続くと、自律神経のバランスが乱れ、睡眠障害の原因になるのです。ですから、目の疲れからくる不眠を解消するには、夜間、特に睡眠前は、できるだけパソコンやスマートフォンを見ないようにしましょう。

朝の散歩は一石二鳥

夜に網膜に入るブルーライトを抑制すると同時に、朝日を浴びることも心がけるとよいでしょう。朝、散歩をすれば、朝日を浴びられるだけでなく、体を動かすことで血流改善にもつながります。血流改善という意味では、ウォーキングやエクササイズなど、軽く汗をかくような有酸素運動を行うのも効果的です。

眼精疲労と不眠への対策は「血流」

目にホットタオルを当てる

目の筋肉をほぐし、血流を改善するには、「目の枕」がお勧めです。目の枕とは、目を温めるためのものです。

手軽なのは、入浴中に行う目の枕です。湯ぶねのお湯に浸したタオルを軽く絞り、まぶたの上にのせるだけ。冷めたら、再度お湯に浸せばよいので、常に温かいタオルで目を温めることができます。

お風呂に浸かりながらやれば、体も温まるので、全身の血流もよくなります。血流がよくなれば、自律神経の副交感神経(リラックス時に働く神経)が刺激され、リラックスモードになって眠りやすくなります。夜、寝る前にお風呂に入り、湯ぶねに浸かって5分くらい目の枕を行うとよいでしょう。

画像: 湯ぶねのお湯に浸したタオルを軽く絞り、まぶたの上にのせるだけ。

湯ぶねのお湯に浸したタオルを軽く絞り、まぶたの上にのせるだけ。

目の不調が取れてぐっすり眠れる

最近は温めるタイプのアイマスクが、ドラッグストアなどで市販されています。これらは一定の温度を維持することができるので、お風呂場以外で目を温めたいときに便利です。仕事場などで目が疲れたときに行うのもお勧めです。

私の医院では、近赤外線で目を温める温熱治療を取り入れています。それ以外に、夜はできるだけパソコンやスマートフォンを見ないこと、朝日を浴びること、自分でも目を温めるとよいことなどをアドバイスしています。 

これらを実践することで、目の不快症状が取れると同時に、ぐっすり眠れるようになったという人も、実際におられます。皆さんも、まずは簡単にできて気持ちいい目の枕を、生活の中に取り入れてみてください。

まとめ

睡魔と闘って夜なべ仕事をしたり、寝る直前までスマートフォンの画面を見ていたり、起床後カーテンを開けずに家事を始めたり……。そうした生活習慣が不眠を引き起こしているのかもしれません。一つずつできることから実践し、良質の睡眠を取って、心身の状態を整えましょう。

*なお本稿は『慢性不眠が薬に頼らず(楽)治る最強療法』を一部抜粋・加筆して掲載しています。

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