【パソコンデータの整理・管理方法】主な保存メディアを比較 M-DISKやクラウドストレージを使うメリット・デメリット

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長期間保存可能なM-DISCに注目だ!ほかにも、HDD、SSD、USBメモリーなどの特性を知り、用途に合わせて選択しよう。また、リモートワークが多くなった昨今、クラウドストレージサービスを利用したり、共有機能をうまく使って複数人での作業を可能にする方法などを解説する。

保存メディア

HDD、SSD、USBメモリーなど、特性を知り、用途に合わせて選択

パソコンで扱うデータを、保存するメディアは多種多様である。それぞれのメディアの特徴を把握して、データや用途に合わせて適切なメディアを選ぶようにしたい。

データを何年、何十年にわたって長期保存したいというときに思いつくのが、光学ディスク。CD→DVD→BDと進化してきた光学ディスク(書き込み可能タイプ)を使えば、本棚や物置でデータの長期保存ができると考えがちだ。

しかし、実際には一般的なCD-RやDVD-Rなどの書き込み可能光学ディスクは、長期保存にはあまり向いていない。書き込み後に年単位で時間が経過すると、記録面が劣化し、データが読み出せなくなる事例が多発している。

どうしても光学ディスクを使いたい場合は、長期保存を目的としたM-DISCを使うといいだろう。これは、DVD/BDと互換性のある光学ディスクで、ディスクと書き込み用ドライブは専用のものを使用するが、書き込んだあとのディスクは通常のDVDドライブBDドライブで読み出せるというもの。100年以上保存可能とされている。

長期間保存可能なM-DISCに注目!

アイ・オー・データ
BRP-UT6UHD/CK
実売価格例:1万4560円

M-DISCの書き込みに対応したポータブルタイプの6倍速書き込み対応BDドライブ。パソコンでのUltra HD Blu-rayの再生も可能。

BRP-UT6UHD/CK

三菱ケミカルメディア
DBR100YMDP5V1
実売価格例:6800円(BD-R XL 100GBの5枚セット)

100年以上の耐久性があるとされるBDタイプ100Gバイト記録のM-DISC。書き込み後のメディアは、一般的なBDドライブで読める。

DBR100YMDP5V1


光学ディスクに次いで一般的なものといえば、HDDである。HDDは意外と長期間の保存に向いている。データ保存専用として使われる外付けUSB HDDは、Windows10がインストールされているパソコン内蔵HDDに比べると、実際の稼働率がとても低いため、壊れにくい。電源を抜いた状態で保管していてもデータが勝手に消えてしまうことがなく、10年単位の保存も可能である。自分で撮った動画など、ファイルのサイズが大きく、それでいてパソコンへの極端な高速転送が求められないデータは、外付けHDDで保存するのがいい

USBメモリーSSDSDカードは、データの記録方法がすべて同じ。これらはパソコンから外して電力の供給がなくなると、数年でデータが消失してしまうおそれがある。そのため、データの長期保存には不向きだ。基本的にはデータを受け渡すときの一時的な保存場所と考えたほうがいいだろう。

なお、SSDはHDD並みの大容量ながらデータ転送速度が速いので、頻繁に大容量データの参照・書き替えが発生する動画編集の素材保存場所には最適である。

パソコンのデータを保存できる主なメディア一覧

左からCD-R、DVD-R、BD-R、M-DISC

左から外付けHDD、SSD、USBメモリー、SDカード

名称 メディア
タイプ
保存容量
の目安
手軽さ
汎用性
長期保存
の信頼性
CD-R 光ディスク 700MB
DVD-R 光ディスク 4.7GB
BD-R 光ディスク 25G~128GB
M-DISC 光ディスク 25G~100GB
外付け
HDD
HDD 1T~18TB
SSD メモリー 128G~8TB
USB
メモリー
メモリー 2G~2TB
SD
カード
メモリー 4G~1TB

データ保存メディアを使うときに注意したいのは、メディアのフォーマット(ファイルシステム)である。内蔵HDDの延長として利用するHDDとSSDは、内蔵HDDと同じNTFSでフォーマットするのが基本。

それぞれのメディアに適したフォーマットを行う

❶エクスプローラーで記録メディアのアイコン(Dドライブなど)を右クリックしメニューから「フォーマット」を選択する。

❷メディアに適したファイルシステムを選択する。HDDとSSDは原則「NTFS」、USBメモリーは「exFAT」(または「FAT」)がいい。

また、USBメモリーは、ほかの機器で読み込むことも考えて互換性の高いexFATでフォーマットしよう。さらに、SDカードは、そのカードを使う機器(デジカメやゲーム機、スマホなど)でフォーマットするとトラブルが少ないと覚えておこう。

ポータブルSSD

今や価格も安くなり、外付け記憶装置もSSDがイチ推し!

パソコンのシステムドライブ(Cドライブ)に、SSDが採用されることは珍しくなくなった。500Gバイトや1TバイトのSSDが、手ごろな価格になっているからだ。それを受け、Tバイトクラスのポータブル外付け記憶装置もSSDという時代に突入。

SSDはHDDより読み書きが高速で、衝撃を与えても壊れにくい。ポータブルの記憶装置に最適な特徴を備えているわけだが、今まで普及してこなかった唯一の理由は、その価格の高さであった。

しかし、現在では事情が異なる。外付けの記憶装置として、大容量の一つの目安である1TバイトのSSDが、実売価格で1万円ちょっとで買える時代になっている。セールなどでは1万円を切る可能性もあり、SSD=高価という印象は薄れた。

USB接続のポータブルSSDは、大容量のファイルを高速で読み書きするのが得意なので、4K動画データなどの受け渡しに最適なメディアといえるだろう。

ポータブルSSDは1Tバイトで1万円程度

バッファローの1TバイトSSD「SSD-PG1.0U3」が、Amazonで1万586円。1万円切りまであと一息というところだ。

www.amazon.co.jp

大容量ファイル

ギガ単位のデータを送るならファイル転送サービスが重宝する

高画質の動画などは、1ファイルでGバイト単位になるのが当たり前だが、これを誰かに渡そうと思ったとき、その方法に困ることが多い。一般的なメールでは添付ファイルの容量が数Mバイト程度に制限されているからだ。

そこで重宝されているのが、無料で利用できるファイル転送サービスである。「Firestorage(ファイヤーストレージ)」は無料登録会員で1ファイル2Gバイト、総量無制限だ。

ギガファイル便」なら1ファイル200Gバイト、総量無制限でファイルをクラウドで預かってくれる。そのファイルが保存されているURLを相手に送信してくれるので、相手がダウンロードすればファイル転送が完了する。

預けたファイルは一定期間が過ぎると削除される仕組み。操作はブラウザーだけで行える。

ファイル転送サービスを使おう

Firestorage

無料会員は1ファイル2Gバイトまでのファイルを総量無制限でアップロードできるサービス。預かったファイルは7日間で削除される。

https://firestorage.jp/

ギガファイル便

ユーザー登録不要で、1ファイル200Gバイトまでのファイルを預かるサービス。預かったファイルは最大60日間保存される。

gigafile.nu

クラウドストレージ

有料プランをお得に使うなら、「OneDrive」がねらい目

インターネット上にデータ(ファイル)の保存場所を借りて、パソコンやスマホなど、どの端末からでも、自分のアカウント情報でファイルの保存・取り出しができるサービスを「クラウドストレージサービス」という。

有名なところでは「Googleドライブ」「OneDrive」「Dropbox」などが挙げられる。どのサービスも会員登録すれば無料で使えるのだが、無料で使える容量はさほど大きくない。そのため、総量15Gバイトを超えるファイルを保存しようと思ったら、有料プランを検討しなければならない。

有料プランとなると、おすすめは「OneDrive」である。OneDriveは、月額1284円または年額1万2984円で1Tバイトとなるが、この金額には、OneDriveの容量以外の料金が含まれている。実は、「Microsoft 365 Personal」の料金なのである。これは、以前は「Office 365 Solo」と呼ばれていたサービスで、2020年4月に改称となった。本来は、MSオフィス系のソフトを定額で利用するためのもので、「ワード」や「エクセル」や「パワーポイント」といったソフトを、常に最新版で利用できるのだが、そこに1Tバイト分のOneDriveも付属しているのだ。

OneDriveはWindowsと一体化されている

クセがないのがOneDriveの特徴。ブラウザーからもアクセスできるが、Windows10ではエクスプローラーと一体化されている。

OneDriveは、Microsoftアカウントを持っていれば無料で5Gバイトまで使えるが、Microsoft 365 Personalを契約すれば、1Tバイトまで利用できる。

仕事でいつもMSオフィス系のソフトを使うなら、オフィスソフトの料金とクラウドストレージの料金を一体化したMicrosoft 365 Personalにしたほうが、トータルコストは安くなるわけだ。

OneDriveを含めた主要なクラウドストレージサービスの料金などを下記にまとめたので、参考にしてほしい。

OneDriveのほか、主要なクラウドストレージサービスの内容

左からOneDrive、Googleドライブ、Dropbox

名称 無料で
使える容量
有料プラン 対応OS
OneDrive 5G 1TB=1284円/月
または
1万2984円/年
(個人向けの場合。Microsoft
365のサービスも込み)
Windows
Mac OS
Android
iOS
Googleドライブ
(Google One)
15G 100GB=250円/月
2TB=1300円/月
など
Windows
Mac OS
Android
iOS
Dropbox 2G 2TB=1200円/月
3TB=2000円/月
(個人向けの場合)
Windows
Mac OS
Android
iOS
Linux

無料クラウド

使い方しだいで大容量ファイルを無料で保存できるサービスがある

クラウドストレージサービスの場合、無料で利用できるのは各社5Gバイト程度。比較的無料の容量が大きいGoogleドライブでも、15Gバイトである。それより大きな容量を保存するなら、有料プランへの切り替えが必要となる。

しかし、無料でもある程度の大容量を使えるサービスがある。「MEGA(メガ)」の場合、基本の無料容量は15Gバイトだが、新規登録者には30日間ほどプラス35Gバイトの容量アップがある。さらに、専用アプリをインストールすると、180日間だけ35Gバイト増量などのサービスも付く。短期で完了することがわかっているプロジェクトの情報共有など、使い方を限定すれば有料プランを契約せずに、50Gバイト程度のクラウドストレージが利用できるわけだ。

条件をクリアすると、保存容量の増量が可能

「MEGA」のトップ画面。ここから新規アカウント作成やログインを行う。アプリもあるがブラウザーで十分使いやすい。

無料は基本15Gバイトだが、「モバイルアプリのインストール」や「友人をMEGAに招待」などの条件をクリアすると、容量を増やせる。

データ復旧

データをうっかり削除しても復旧できるサービス&アプリを活用

大切なファイルをうっかり削除してしまった経験は誰にでもあるはず。どうしても復元しなければならないファイルならば、データ復旧のプロに任せるのが安心だ。

例えば、バッファローの「データ復旧サービス」は、HDDやSSD、USBメモリーなどから削除データを復旧させてくれる。バッファローの対象商品が保証期間内で、かつ「軽度の論理障害」だった場合は無料で復旧できるし、他社製品でも1万円から有料で復旧可能である。

プロの技術でファイルを取り戻す

バッファロー
データ復旧サービス

バッファローのデータ復旧サービスだが、他社製品でもOK。

www.buffalo.jp

プロに頼むほどではないがあきらめきれないというなら、自分で復旧に挑戦するのもいい。HDDなら「Recuva(リキューバ)」というアプリ、USBメモリーなどは「USBメモリ復旧」というアプリを使うと、かなりの高確率で、削除してしまったファイルを復元できる。

復旧天使
USBメモリ復旧

削除ファイルの復元が難しいとされるUSBメモリーやSDカードのデータ復旧が高確率でできるフリーのアプリだ。

www.recovery-angel.jp

ファイルの共同編集

クラウドストレージの共有機能を使えば複数人で作業できる!

リモートワークが多くなった昨今、仕事で使うファイル(いわゆる「ドキュメント」)を、ネットを介して共同で編集するという機会も増えているはずだ。編集したファイルをいちいちメールに添付して送り合っていると、そのうち、どれが最新のファイルだかわからなくなったり、誰かの手元でファイルが停滞したりすることもあるだろう。

複数のメンバーで共同してドキュメントの編集を行うならば、クラウドストレージの「共有」機能を使うといい。

クラウドストレージの代表格である「Googleドライブ」の場合、「マイドライブ」にアクセスし、共同編集したいファイルを右クリックして「共有」を選択。共有したい相手のGoogleアカウント(Gmailアドレス)を入力すれば、共有設定が完了する。また、ファイル編集に対する権限も段階的に設定できる。

共有設定をしてもらって、編集権限を得た人は、管理者から送られてきたURLにアクセスすることで、そのファイルを開くことができる。また、そのまま編集することも可能だ。専用アプリも不要で、編集も含めて、操作はすべてブラウザー上で行える。

Googleドライブでファイルの共有設定を行う

❶ブラウザーで「マイドライブ」にアクセスし、共有したいファイルを右クリックして、メニューの中から「共有」を選択する。

❷共有したい人のGoogleアカウントを入力。閲覧者/編集者の区別や、編集権限などの設定も可能。共有したい人にURLが送信される。

一方、ビジネスでもホームユースでもよく使われるクラウドストレージといえば、マイクロソフトの「OneDrive」が挙げられる。こちらも、共有のやり方はGoogleドライブとほぼ同じ。

ファイルの管理者がOneDriveの自分の管理領域にアクセスし、共有したいファイルを右クリックして「右クリック」→「共有」を選択する。そして、ファイルを共有したい人のメールアドレスを入力すれば、相手側に、共有ファイルにアクセスできるURLが送信される。

共有するファイルの多くはオフィス系のファイルになるだろうが、その場合もブラウザー上で閲覧や編集が可能である。

OneDriveでファイルの共有設定を行う

❶ブラウザーでOneDriveにアクセスし、共有したいファイルを選択。ここで右クリックし、メニューから「共有」を選べばいい。

❷共有したい人のメールアドレスを入力。アクセス制限や、編集権限などの設定が可能。URLの付いたメールが送信される。

※価格は記事作成時のものです。

■解説/福多利夫(フリーライター)

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