ペーパーレス化やテレワークの浸透とともに、なにかと触れる機会が増えてきたのが「PDF文書」だ。閲覧するのに原則、有料アプリが必要なワード文書などと違って、PDF文書は無料のビューワーアプリが提供されているため、パソコンやスマホなどがあれば、誰でも内容を閲覧できる。
もちろん、PDF文書の作成や編集には有料アプリが必要だが、実は「注釈」程度なら無料のビューワーアプリだけでも十分こなせる。注釈機能を活用すれば、PDF文書にメモや訂正内容などを簡単に書き込めるので非常に便利だ。

そもそも「PDF」とは?「Acrobat Reader DC」とは?

加速する紙媒体からデジタル文書への移行

最近は、ビジネス資料や政府発行の公文書、家電のマニュアルなど、これまで紙媒体で提供されてきた文書が、デジタルデータで提供されることが非常に増えてきた。ペーパーレス化のさらなる促進を始め、テレワーク作業の効率化などを鑑みると、無論、デジタル文書普及の動きは率直に歓迎すべきだろう。

もっとも、ひと口に「デジタル文書」といっても種類は実にさまざまだ。ワードやエクセルなど、マイクロソフトオフィスで作成したファイルもデジタル文書といえるし、もちろん、それ以外のアプリ──例えば、会計アプリやCADアプリなどで用意したファイルもデジタル文書のひとつといえる。

とはいえ、これらのデジタル文書を開くには、基本的にその文書を作成した大元のアプリが必要となる。無論、こうしたアプリは当然有料だ。デジタル文書の閲覧のためだけに、こうしたアプリをいちいち購入していては不経済極まりない。

「PDF」は事実上、デジタル文書のデファクトスタンダード

そんな不満を解決すべく生まれたのが、ほかならぬ「PDF」フォーマットだ。有り体にいえば、PDF文書の場合、無料のビューワーアプリが用意されているため、閲覧だけなら有料アプリは一切不要。手持ちのパソコンやスマホなどに、ビューワーアプリさえ導入してもらえば誰でも内容を閲覧できるので、相手のアプリ環境を気にせず、文書のやり取りができるというわけだ。

こうした使い勝手の良さが多くのユーザーに受け入れられ、現在、PDF文書はビジネスシーンはもちろん、行政機関などでも広く活用されている。

ウィズコロナ時代の新しい日常では、オンライン経由のやり取りがいっそう増えるのは自明の理だし、テレワーク業務とも相性のいいPDF文書の普及は今後いっそう弾みが付くのは間違いない。

画像: こちらは、経済産業省提供の新型コロナウイルス感染症予防対策向けパンフレット。ビジネスシーンのみならず、政府機関でも公文書をPDFで配布するケースが増えてきている。

こちらは、経済産業省提供の新型コロナウイルス感染症予防対策向けパンフレット。ビジネスシーンのみならず、政府機関でも公文書をPDFで配布するケースが増えてきている。

つまり、好むと好まざるとに関わらず、今後、PDF文書は私たちの生活によりいっそう浸透していくわけであり、それならば、なるべく早くその扱いに慣れておくに越したことはないだろう。

無料のPDFビューワーアプリは「Adobe Acrobat Reader DC」がおすすめ

パソコン向けのPDFビューワーはさまざまにあるが、もっともメジャーなアプリはアドビの「Adobe Acrobat Reader DC」だ。

画像: 無料のPDFビューワーアプリは「Adobe Acrobat Reader DC」がおすすめ

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード
https://get2.adobe.com/jp/reader/

Acrobat Reader DCは、PDFフォーマットを開発元でもあるアドビが手掛けたアプリであり、無料のPDFビューワーとして機能面も使い勝手も申し分ない。

ほかにも無料のPDFビューワーはあるが、事実上、Acrobat Reader DCはPDFビューワーとして標準アプリ的な立ち位置にある。例えば、ビジネスシーンでのPDF文書の閲覧は、本アプリの使用を前提とする場合が多いので、まず真っ先に使い方をマスターしておいたほうが最善だろう。

「Adobe Acrobat Reader DC」でできるのはPDFの閲覧だけじゃない!

まずはPDF文書の閲覧方法をおさらい

「Adobe Acrobat Reader DC」でPDF文章を閲覧するのは特に難しいことはない。PDFファイルをダブルクリック等で開ければ、そのまま内容を表示してくれる。

文書の拡大縮小や印刷は、画面上部のツールバーのアイコンから実行可能。テキストの範囲選択は同じくツールバーの矢印アイコン、文書の移動は手のひらアイコンから行える。

画像1: まずはPDF文書の閲覧方法をおさらい

文書内の文字列を検索したいときは、ツールバーの虫眼鏡アイコンをクリック。検索ボックスが起動したら、検索したいテキストを入力して「次へ」をクリックすればいい。

画像2: まずはPDF文書の閲覧方法をおさらい

この程度の基本機能さえ抑えておけば、PDF文書の閲覧で困ることはないはずだが、右クリックメニューの使い方も覚えておくとより便利だ

右クリックメニューからはツールバー同様、文書の拡大縮小や選択、移動などの操作を行える。ツールバーで必要な機能をいちいちクリックする必要がないので、手間が省けるはずだ。

画像3: まずはPDF文書の閲覧方法をおさらい

文字の挿入や修正指示にも便利な「注釈」機能を搭載

Acrobat Reader DCと聞くと、ネーミング上、閲覧限定のアプリと思ってしまいがちだが、実はPDF文書に文字や修正内容などを追加できる「注釈」機能も搭載している

「注釈」というやや曖昧な機能名ゆえイメージが沸きにくいかもしれないが、実際には下記のとおり、極めて多彩な装飾作業を行うことが可能だ。

ノート注釈文書内にコメントを追加する
ハイライト表示選択した文章にマーカーを追加
下線選択した文章に下線を追加
打ち消し線選択した文章に打ち消し線を引く
テキストを置換打ち消し線を引いた文章に置換テキストを追加
テキストを挿入文章内にテキストを挿入
テキスト注釈文書内にテキストを追加
テキストボックス文書内にテキストボックスを追加
手書き文書内に手書き線を描画
描画を消去手書きや矩形などの描画を消す
スタンプ文書内にスタンプを押す
ファイルを添付文書に音声などのファイルを添付
描画ツール文書内に線や矩形などを図形を追加

例えば、資料に修正指示を書き込んだり、家電マニュアルの注意点などマーカーを引いたりするのも簡単。さらに、プレゼン文書にちょっとメモを差し込んだり、文章の誤りを指摘して修正指示を追加したりなど、さまざまな活用ができるはずだ。

画像: Acrobat Reader DCはビューワーアプリだが、マーカーや文字の追加、スタンプなど、さまざまな注釈ツールも搭載されている。

Acrobat Reader DCはビューワーアプリだが、マーカーや文字の追加、スタンプなど、さまざまな注釈ツールも搭載されている。

「Adobe Acrobat Reader DC」の注釈機能の使い方を覚えよう

「文字の追加」と「テキストを置換」をマスターしよう

「Adobe Acrobat Reader DC」にはさまざまな注釈ツールが備わっているが、特に使い勝手がいいのが「文字の追加」と「テキストを置換」のふたつだ

文字の追加」を使えば、PDF文書内の好きな位置にテキスト文字を挿入可能。フォントの種類やサイズ、カラーの変更も可能なので、文書中に目を引く見出し文字を入れることができる。

一方、「テキストを置換」は、わかりやすくいえば「文章の校正」の際に役立つツールだ。文章を範囲選択して打消し線を引いた上で、修正内容などをポップアップノートで入力できる。

活用方法はアイデア次第ではあるが、例えば、見積書に「文字の追加」を使って赤字で疑問点や要望を書き込んだり、企画書チェックで校正作業に「テキストを置換」を利用したりすることも可能だ。

「注釈」ツールを表示する

注釈ツールを利用するには、まず画面上部に「注釈ツールバー」を表示する必要がある。まず画面右のサイドバーから吹き出し風のアイコンをクリックしよう。

画像1: 「注釈」ツールを表示する

画面上部に「注釈ツールバー」が表示される。

画像2: 「注釈」ツールを表示する

【文字の追加】見出し文字を追加しよう

PDF文書に見出し文字を挿入したい場合は「文字の追加」を使うと便利。フォントの種類やサイズ、カラーを指定して、目を引くテキストを追加できる。

まず注釈ツールバーから「文字の追加」アイコンをクリック。「文字の追加」ツールがオンになると、アイコンが青色に変わる。

画像1: 【文字の追加】見出し文字を追加しよう

次に、文章中で文字を追加したい部分をクリック。カーソルが点滅して入力モードに切り替わったら、テキストを入力する。この際、ツールバーの「テキストのプロパティ」から、フォントの種類やサイズ、カラーなども指定できる。

文字の入力が済んだら、サイドバーの注釈アイコンをクリックして注釈ツールを閉じよう。念のため、PDFファイルの保存も早めにしておいたほうがいい。

画像2: 【文字の追加】見出し文字を追加しよう

【テキストを置換】打消し線を引いてコメントを挿入する

文書中で訂正指示などをしたい場合は、「テキストを置換」を利用すると便利。選択した文書に打消し線を引いたうえで、訂正内容などを記したコメントを挿入できる。

まず注釈ツールバーから「テキストを置換」アイコンをクリックしよう。

画像1: 【テキストを置換】打消し線を引いてコメントを挿入する

訂正したい文章を範囲選択する。

画像2: 【テキストを置換】打消し線を引いてコメントを挿入する

打ち消し線末尾をダブルクリックしてポップアップノートを開くか、もしくは、打ち消し線の部分を右クリックして、メニューから「ポップアップノート」を選択する。

ポップアップノートにテキストを入力し、最後に「投稿」をクリック。これで置換テキストが追加される。

画像3: 【テキストを置換】打消し線を引いてコメントを挿入する

最後に注釈ツールを閉じ、文書を保存して変更内容をしっかり記録しておこう。なお、追加した置換テキストはあくまで注釈であり、元の文章自体が置き換わるわけではないので注意してほしい。

「テキストを置換」で入力した内容を手早く確認したい場合は、打ち消し線部分にマウスカーソルを重ねてポップアップノートを開くと便利だ。

画像4: 【テキストを置換】打消し線を引いてコメントを挿入する

書き込んだ「注釈」を表示してみよう

注釈ツールでは元文書の編集はできない

「Adobe Acrobat Reader DC」はビューワーアプリのため、元文書の内容自体を直接変更できるわけではない。注釈ツールで書き込めるのは、打ち消し線やノート、ハイライトなどのいわば上乗せ的な校正内容のみ。完全に元の文書を変更したい場合は、編集機能を搭載した有料アプリの「Adobe Acrobat DC」などが必要だ。

そこでネックとなるのが、注釈ツールを使って書き込んだ内容の把握だ。注釈の量にもよるが、PDF文書をただ眺めるだけでは、せっかく書き込んだ注釈を見逃すことも大いにありうる。

こうしたミスを防ぐには、注釈をリストアップしてわかりやすく表示するのがベストだ。

書き込んだ注釈をリストで表示する

まずサイドバーの注釈アイコンをクリックする。
通常はこれで画面右端に注釈リストが表示されるはずだ。

画像1: 書き込んだ注釈をリストで表示する

もし表示されない場合は、画面右側中央の「◀」をクリックしてパネルウィンドウを展開しよう。

画像2: 書き込んだ注釈をリストで表示する

パネルウィンドウでは、文書中に追加したすべての注釈がリストアップしてくれる。リストの注釈部分をクリックすると、該当ページに直ちに移動することが可能だ

画像3: 書き込んだ注釈をリストで表示する

リストの注釈部分をクリックして選択すると、右上に「…」が表示される。ここからは注釈の編集や削除などが可能だ。

画像4: 書き込んだ注釈をリストで表示する

まとめ

オンラインで簡単にやり取りできるPDF文書は非常に便利だが、紙文書と違って、ちょっとした書き込みや訂正などがしにくいと考えている人は決して少なくないはずだ。

しかし「Adobe Acrobat Reader DC」なら無料アプリにも関わらず、文書中に簡単に注釈を入れられるので、書き込みはもちろん、訂正指示なども手間なく追加することができる
政府発行の公文書を始め、資料や見積もりなどのビジネス文書においても、デジタル化は避けられない趨勢といえる。PDF文書の閲覧だけで満足せずに、この機に「注釈ツール」の使い方もしっかりマスターしておきたい。

◆篠原義夫(フリーライター)
パソコン雑誌や家電情報誌の編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。専門分野はパソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル家電が中心で、初心者にも分かりやすい記事をモットーに執筆活動を展開中。

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