フェンスは、隣家や道路と敷地を隔てる目隠しだけでなく、草花をイキイキと見せる舞台背景や、その庭の世界観をまとめる囲いにもなる優れたアイテムです。面積が広く、庭の雰囲気を左右するので、色も含めて考えましょう。【解説】戸倉多未子(ガーデナー)
著者のプロフィール
戸倉多未子(とくら・たみこ)
有限会社グレイスオブガーデン代表。ガーデナー。暮らしを豊かにする緑の庭づくりをモットーに、小さな庭からエクステリア、ガーデンリフォームまでオリジナルガーデンを手がける。化学肥料に頼らない、自然の恵みを生かした庭づくりを得意としている。ガーデニング講師歴30年、ガーデニング関連の雑誌などでも活躍中。
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本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
Technique2フェンス
フェンスは一石二鳥の便利アイテム
プライベート感を高めて植栽をイキイキと見せる背景にも
フェンスは、隣家や道路と敷地を隔てる目隠しだけでなく、草花をイキイキと見せる舞台背景や、その庭の世界観をまとめる囲いにもなる優れたアイテム。悪条件が重なる小さな庭でこそ活用したい構造物です。
主な素材は天然木、耐久性の高い樹脂木、デザイン性の高いアイアンなどで、その並べ方も大切です。横に渡すと左右の空間が強調され、縦に並べると上の空間を感じる視覚効果もあります。面積が広く、庭の雰囲気を左右するので、色も含めて考えましょう。
ニュアンスの違う素材の組み合わせ
アンティークのアイアンゲートとウッドフェンスの異素材の組み合わせ。間にはハンギングやランタンを下げられる柱を設置して、空間を大きく見せています。
フェンスの足元に花の演出を
既成のアイアンの飾りを組み込んだウッドフェンスは、隣家との境に設置して目隠しに。足元にはブルーグレーに映える、黄色や赤の花を植栽しました。
抜け感のある小窓つきのフェンス
玄関先の目隠しに思い切って高さを出したウリン材のフェンス。小窓を複数設けて、明るさと風通しを確保。グリーンを飾るスペースにもなっています。
アーチと一体型のフロントフェンス
玄関先の狭小スペースに設置した、同素材のフェンスとゲート。フェンスは目隠ししつつ、ハンギングを飾る門柱役も果たしています。
四季の移ろいを映す立体キャンバス
足元のナチュラルガーデンと、フェンスに誘引したクレマチスなどのつる性植物が一体となって、空間全体が緑のキャンバスになりました。
風景に自然になじむ天然木
縦格子は、正面からは光を通し、斜めからは目隠しになる機能性の高いフェンスです。背の高いフェンスでも、足元の植栽の日あたりは確保できました。
耐久性の面でも安心な樹脂木
メンテナンスフリーがうれしい樹脂木フェンス。ハーブグリーンのカラーリングが人工的な素材感を薄めて、フェンス下の明るい色の草花と一体感を生みました。
POINT
フェンスに美しく絡むつる性植物
隣家や道との間につくるフェンスの足元は、たとえ空間が狭くてもかっこうの植栽スペースになります。フェンスの壁面に絡むつる性植物をとり入れて、高さを生かした緑の演出にチャレンジしてみませんか。
ヘンリーヅタ
秋にはまっ赤に紅葉します。
ブラックベリー
かわいい花と実が魅力。日陰もOK。
ブドウ
実がなり、葉の形が爽やかです。
トケイソウ
時計のような花姿が人気。種類も豊富。
ホワイトプリンセス
ジャスミンの仲間で、香りがよい花。
ヤマホロシ
花期が長く、丈夫で育てやすい。
なお、本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
※(6)「「庭づくりの空間演出テクニック・小道編」」の記事もご覧ください。
