自宅のWi-Fiを使っていると急に遅くなったり、まったく繋がらなくなったりなど、予期せぬトラブルに遭遇する場合がある。原因はWi-Fiルーター、それともパソコンやスマホ?──気になる点は色々あっても、そこから原因を突き止めるだけでも、ビギナーには非常にハードルが高い。そんなときに慌てふためくことがないように、Wi-Fiトラブルの対処法をしっかりマスターしておこう。

【機器トラブル編】機器に問題がないか確認しよう

親機となるWi-Fiルーターはもちろん、子機側のスマホやパソコンのどれかひとつでも物理的な不具合を抱えていれば、Wi-Fi通信にも支障が出てくる。最悪のケースは故障だが、Wi-Fiを無意識にオフにしていたりなど、単純なケアレスミスが問題の引き金になっているケースも少なくない。

まずは本節の解説を参考に、Wi-Fiトラブルを引き起こしている機器の問題を探ってみよう。

Wi-Fi機能がオフになっている

そんな馬鹿なと思うかもしれないが、意外に多いのがこのケース。なにかしらの操作ミスで端末のWi-Fi機能をオフにしてしまい、Wi-Fiが無効化しているパターンだ。

スマホの場合、画面操作を誤ってWi-Fiをオフにしたり、「機内モード(フライトモード)」をオンしたりしてしまうケースは決して珍しいことではない。パソコンでも、なにかの拍子にWi-Fiをうっかりオフにしてしまうこともある。

画像: Android端末では、一般的に「クイック設定」のWi-FiアイコンがグレーになっているときはWi-Fiがオフになっている。Wi-Fiアイコンをタップしてオンにしよう。

Android端末では、一般的に「クイック設定」のWi-FiアイコンがグレーになっているときはWi-Fiがオフになっている。Wi-Fiアイコンをタップしてオンにしよう。

加えて、パソコンの場合、特有の事情として、機種によっては筐体に「Wi-Fiスイッチ」が備わっているケースがある点にも留意したい。例えば、パソコンの運搬中などにスイッチをうっかり動かしてしまって、図らずもWi-Fiがオフになっている可能性もある。

それに、ユーザーのなかには、そもそも自分のパソコンにWi-Fiスイッチがあることすら把握していないこともある。どうしてもWi-Fiをオンにできないときは、まずは自分のパソコンにWi-Fiスイッチがあるかどうか確認してみよう。

画像: パソコンのWi-Fiスイッチがオフになっていて、Wi-Fiが使えない場合もある。 support.hp.com

パソコンのWi-Fiスイッチがオフになっていて、Wi-Fiが使えない場合もある。

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Wi-Fiルーターのアンテナが外れている

Wi-Fiルーターには「外部アンテナ」と「内蔵アンテナ」タイプの2種類があるが、このうち外部アンテナ式のモデルでよく見受けられるのが「アンテナの脱落」だ。

多くの場合、外部アンテナ方式のWi-Fiルーターはアンテナ部が着脱可能になっており、購入時はユーザー自身で装着することになる。通常、アンテナをネジのようにグルグルと回して本体のアンテナ端子に装着するだけと特に難しいことはないが、装着が甘いと時間経過とともに緩んでアンテナが外れてしまうことがある。

ルーター購入直後ならアンテナが外れていることに気付くかもしれないが、半年、1年と問題なくWi-Fiルーターを使い続けたあとだと、アンテナの脱落まで気が回らなくても不思議はない。

もし、ルーターをチェックしてアンテナが外れていたら、再び装着すればOK。これで問題なくWi-Fiがつながるようになるはずだ。

画像: 外部アンテナタイプのWi-Fiルーターを使っている場合は、アンテナが脱落していないか確認しよう。 www.tp-link.com

外部アンテナタイプのWi-Fiルーターを使っている場合は、アンテナが脱落していないか確認しよう。

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ケーブルの断線

LANケーブルを始め、モジュラーケーブルや光ケーブル、電源ケーブルなど、Wi-Fiルーター周りで使用するケーブル類は非常に多い。簡単には断線するようなことはないが、それでも可能性は皆無ではない。特に薄型のLANケーブルは、通常厚のLANケーブルよりは耐久性は劣るため、断線のリスクがどうしても高くなる。

例えば、なにかの拍子に家具やドアに挟まって、知らず知らずのうちにダメージが蓄積されていることもあるはず。ただし、一見してケーブルの損傷が分かる場合はともかく、外観からは断線を把握できないケースのほうが圧倒的に多い。

こうした場合は、まずモデムやONU、Wi-Fiルーターの警告ランプをチェックしてみよう。機種によって詳細は異なるが、通信状態に問題がある場合は赤ランプの点灯などで警告が出ているはずだ。怪しい場所が分かったら、新品のケーブルにつなぎ替えて様子を見てみよう。

画像: 踏まれやすい場所にケーブルを引いていたり、ペットによる噛みつきの恐れがある場合は、断線に強いケーブルを使いたい。 www.sanwa.co.jp

踏まれやすい場所にケーブルを引いていたり、ペットによる噛みつきの恐れがある場合は、断線に強いケーブルを使いたい。

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利用しているスマホやパソコンが古い

10年前以上の古いスマホやパソコンの場合、Wi-Fi通信の暗号化方式に「WEP」しか使えない場合が多い。対して、最近のWi-Fiルーターでは「WPA」以上の暗号化方式が初期設定されていることが多く、そのままではWEPしか使えない古い端末からはつなぐことができない。

この場合、Wi-Fiルーターの暗号化方式を「WEP」に変更すれば古い端末からも接続は可能だが、WEPによる暗号化方式は非常に脆弱なため、この方法はあまりおすすめできない。通常は、セキュリティ的に安心な「WPA」以上の暗号化方式を利用するのがセオリーといえる。

例えば、パソコンなら古いモデルでも、「WPA」以上の暗号化方式に対応したWi-Fi子機を増設することも可能だ。スマホの場合は、周辺機器などでWi-Fi機能をアップグレードすることが不可能のため、WEPより強固な暗号化方式を使うには新しいスマホに買い直すほかない。

画像: 最新のWi-Fiルーターでも暗号化方式に「WEP」を選ぶことは可能だが、セキュリティが著しく低下するため、一般的には推奨されない。

最新のWi-Fiルーターでも暗号化方式に「WEP」を選ぶことは可能だが、セキュリティが著しく低下するため、一般的には推奨されない。

Wi-Fiルーター・端末の故障

Wi-Fiルーターはもちろん、スマホやパソコンも「家電」のひとつゆえ、残念ながら壊れるときは壊れる。あらゆる処置を試してもWi-Fiがつながらないというなら、故障の可能性も疑ってみるべきだろう。

故障がどうかの見極めは難しいが、例えば、Wi-Fiルーターでは、電源が入っているのにランプがまったく点灯しないなどの状態が、故障の目安のひとつとなる。機種によってランプが示す状態は異なるので、詳しくはマニュアルを参考にすること。

一方、スマホの場合、Wi-Fiアイコンをいくらタップしてもオンに切り替わらない、Windowsパソコンでは「デバイスマネージャー」の「ネットワークアダプター」項目にWi-Fiデバイスの情報が表示されない、異常を示すアイコンが出ているといった症状が出ていて、パソコンを再起動をしても改善しない場合は故障の可能性も考えられる。

いずれにせよ、故障の可能性があるときは、まずはメーカーのサポートに連絡して判断を仰ぐのがベストだ。

画像: Windowsパソコンの場合、Wi-Fi機能が正常に動作しているかどうかは「デバイスマネージャー」の「ネットワークアダプター」の項目から確認可能。なにかしら不具合がある場合は、ネットワークアダプター名(機種によって異なる)の冒頭に「!」などの警告アイコンが表示されているはずだ。

Windowsパソコンの場合、Wi-Fi機能が正常に動作しているかどうかは「デバイスマネージャー」の「ネットワークアダプター」の項目から確認可能。なにかしら不具合がある場合は、ネットワークアダプター名(機種によって異なる)の冒頭に「!」などの警告アイコンが表示されているはずだ。

【設定トラブル編】Wi-Fi設定が正しいか確認

Wi-Fiルーターとスマホやパソコンなどの子機を実際につなぐには、SSIDの選択やパスワードの入力など、さまざまな設定をする必要がある。

スマホやパソコンに詳しいユーザーなら大した問題にはならないが、やはりビギナーにはこうした設定はハードルが高いものだ。

マニュアル通りに設定できたと思っていても、実際には単純な間違いをしている可能性もある。こうした設定ミスが原因となって、Wi-Fiがつながらなくなるケースも少なくない。

設定ミスの疑いがあるときは、本節を参考に今一度、スマホやパソコン、Wi-Fiルーターの設定を見直してみよう。

SSID・Wi-Fiパスワードが間違っている

スマホやパソコンでWi-Fiを利用する際には、接続先となるWi-Fiルーターの「SSID」と「パスワード」が必要となる。基本中の基本だが、このSSIDとパスワードが間違っていて、Wi-Fiがつながらくなっているケースが多く見受けられる。

こうしたときは子機側のWi-Fi設定をいったん削除してから、再度、SSIDとパスワードを入力し、Wi-Fiルーターにつないでみよう。この際、SSIDとパスワードはともに「大文字・小文字」の区別がある点に注意すること。大文字の「I(アイ)」と小文字の「l(エル)」のように紛らわしいものもあるので、正確に入力するように心がけよう。

なお、余談となるが、購入直後のWi-Fiルーターには初期SSIDと初期パスワードが割り振られており、初回接続時には、スマホやパソコンでこのふたつを入力してWi-Fiにつなぐことになる。

ただし、初期SSIDとパスワードはあくまで仮のもので、セキュリティ上、そのまま使い続けるものではない。マニュアルなどでもSSIDやパスワードの変更が推奨されており、多くのユーザーもそれに習って変更しているはずだろう。

ただし、一般的にはSSIDとパスワードはそう頻繁に利用するものではないこともあり、しばらく経つと変更したこと自体を失念してしまうこともしばしば。こうして久しぶりに新しい端末をWi-Fiにつなげようとした際に、うっかり初期SSIDと初期パスワードを使ってしまい、Wi-Fiに接続できなくなっているというパターンも散見される。

こうしたときは当然、変更したSSIDとパスワードを使えば、問題なくWi-Fiルーターに接続可能。もし変更した内容が思い出せない場合はWi-Fiルーターを初期化すれば、初期SSIDと初期パスワードを利用できる。ただし、ルーターを初期化すると、Wi-Fiルーターの設定内容などはすべて消えてしまうので注意すること。

画像: Wi-Fiルーターに接続する際は、「SSID」と「パスワード」を大文字・小文字の区別も含めて正確に入力すること。

Wi-Fiルーターに接続する際は、「SSID」と「パスワード」を大文字・小文字の区別も含めて正確に入力すること。

セキュリティアプリがWi-Fi接続をブロック

マルウエアや不正アクセスなど、インターネット上のさまざまなリスクから端末を保護してくれる「セキュリティアプリ」だが、時折、強固過ぎるガードが仇となって、Wi-Fiの接続に支障をきたすケースも見受けられる。

この場合はセキュリティアプリの動作を一時的に無効化するなどして、Wi-Fi接続が可能かどうかチェックしてみよう。

ただし、セキュリティアプリを無効化しているあいだは、当然、端末のセキュリティが著しく低下する。確認が済んだら、速やかにセキュリティアプリを有効化すること。

ファイアウォール機能との競合

Windows10には、「ファイアウォール」と呼ばれる外部からの不正アクセスなどを防いでくれる機能が標準搭載されている。端末のセキュリティを保つために欠かせない機能だが、このファイアウォールがWi-Fi接続をブロックしてしまうケースもある。

そんなときはファイアウォール機能をいったん無効化して、Wi-Fi接続が可能かどうか確かめてみるのも手だ。

Windows10のファイアウォール機能を無効化するには、まず「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windowsセキュリティ」を表示。次に、「ファイヤウォールの保護とネットワーク保護」を開き、アクティブになっているネットワークをクリックする。あとは、「Microsoft Defenderファイアウォール」をオフにすれば、ファイアウォールを無効化することが可能だ。

画像: ファイアウォール機能との競合

なお、ファイアウォールを無効化しているあいだは、パソコンのセキュリティが著しく低下する。Wi-Fi接続の確認が済んだら、ファイアウォールをすぐに有効化しよう。

SSIDステルスとの相性問題

スマホやパソコンからWi-Fiにつなぐ際には、まず接続先となるWi-Fiルーターの「SSID」を選択する必要がある。いわばSSIDはWi-Fiルーターの名前のようなものだが、標準状態では第三者でも閲覧可能な状態になっており、不用意なSSID名を足がかりに自宅を割り出されてしまうなど、セキュリティ低下を招くという考え方もある。

そんなときに役立つのが「SSIDステルス」という機能で、こちらを使えばSSIDを周囲からは参照不可の状態にすることが可能。ただし、第三者のみならず、当然、ユーザー自身からもSSIDが見えなくなるため、Wi-Fiルーターに接続する際にはスマホやパソコンのWi-Fi設定からSSIDを入力して指定しなければならない。Wi-Fiに接続する際の手間は増えるのがネックだが、そのぶんセキュリティをある程度底上げする効果が望める。

なかなかに便利な機能だが、利用する端末によってはSSIDステルスが有効になっていると、残念ながらWi-Fi接続に支障をきたす場合がある。この場合はWi-Fiルーターの設定からSSIDステルスを無効化すれば、問題なく接続できる場合が多い。

画像: SSIDステルス機能は、「SSIDを非表示にする」など、機種によって異なる名称が用いられている。

SSIDステルス機能は、「SSIDを非表示にする」など、機種によって異なる名称が用いられている。

Wi-Fi接続を登録機器のみに限定

ほとんどのWi-Fiルーターには、接続できる端末を制限できる機能が備わっている。基本的には、第三者による不正な接続を防ぐための便利な機能だが、ついつい設定したのを忘れてしまい、新しいスマホやパソコンがつながらないと勘違いしてしまうことがある。

こうした場合は、Wi-Fiルーターの設定から利用する端末の「MACアドレス」を登録しておけばOK。あとは通常どおり、端末のWi-Fi設定からWi-FiルーターのSSIDやパスワードを入力。これでWi-Fiルーターにつなぐことができる。

もし新しい端末を利用するたびに登録するのが面倒なら、セキュリティは若干落ちるかもしれないが、接続端末の制限を解除してしまうのもアリだ。

画像: iOS端末の場合、MACアドレスは設定の「一般」→「情報」の「Wi-Fiアドレス」に記載されている。Android端末は機種によって異なるが、多くの場合、端末情報から確認できる。

iOS端末の場合、MACアドレスは設定の「一般」→「情報」の「Wi-Fiアドレス」に記載されている。Android端末は機種によって異なるが、多くの場合、端末情報から確認できる。



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