皆さんのご自宅には、何種類の洗剤がありますか?食器洗い用、ガス台や換気扇のアブラ汚れ用、トイレ、お風呂、床、窓、網戸、家具、車……。それぞれ別の洗剤を使い分けていると、相当な数になるでしょう。さらに消臭や除菌のスプレーも加わるかもしれませんね。でも実は、一般家庭の汚れは主に4種類で、洗剤は5つあれば十分なのです。【解説】本橋ひろえ(ナチュラルクリーニング講師)

漂白と除菌ができる「過炭酸ナトリウム」

ギトギトのアブラ汚れ落としや除菌・漂白ができる

過炭酸ナトリウムは、つまり酸素系漂白剤のことです。「色柄ものの衣類を漂白する洗剤」というイメージがありますが、アルカリが強めで、除菌も漂白もできる優れた洗剤なのです。過炭酸ナトリウムは、お湯に溶かして漬けおきすると、効果が上がります。60度のお湯2リットルに過酸化ナトリウムを小さじ1杯が目安。食器やふきん、水筒などの除菌・漂白ができますし、ギトギトのアブラで汚れた換気扇や五徳を漬ければ、汚れがスルリと取れます。

アルカリ度が高いので、肌が弱い人は取り扱うときに手袋をした方が安心です。また、漬けおきのあとは、しっかりすすぎをしましょう。

画像: 取り扱い時には手袋をした方が安心。

取り扱い時には手袋をした方が安心。

泡で汚れを包み込む「石けん」

しっかり泡立てて一気に流す

石けんもアルカリ性なので、アブラ汚れなどの酸性の汚れ落としが得意です。泡で汚れを包み込むので、たっぷり泡立てて、泡が消えないうちに一気に洗い流すことが大切。泡が消えると、汚れが元に戻ってしまいます。また、石けんのすすぎ残しは雑菌やカビのエサになるので、しっかり洗い流しましょう。洗い流すのが鉄則なので、基本的には食器やふきんの手洗い、衣類の洗濯などに使用します。アブラ汚れを落としやすくするためにも、石けんの洗浄力もアップさせるためにも、40度前後のお湯を使うのが効果的です。

画像: 固形以外に液体や粉末タイプもある。

固形以外に液体や粉末タイプもある。

水周りで良い仕事をする「クエン酸」

水アカなどのアルカリ性の汚れを落とす

クエン酸が活躍するのは、お風呂場や洗面所などの水周りです。鏡や蛇口についた水アカや、お風呂のイスや手桶などについた石けんカスといった、アルカリ性の汚れをゆるめて落としやすくします(つまり、水アカや石けんカスは、中性洗剤・アルカリ性洗剤では落ちないということです)。また、アンモニア臭や焼き魚、タバコのにおいを洗い流したり、ペットのトイレ周りを掃除したりするのにも適しています。

ちなみに人間のトイレも、尿の飛沫が残って時間が経ち、アンモニア臭を発しているようであれば、クエン酸での掃除が効果的です。逆にいうと、アンモニア臭のする汚れは、一般的なトイレ用中性洗剤では落ちません。「掃除したのに、なぜかにおう」のは、そういうわけです。

もう一つ、「魚焼きグリルを重曹で洗ったのに、いつまでも魚くさい」というときも、クエン酸が活躍します。重曹でアブラやたんぱく質の酸性の汚れを取った後、クエン酸スプレーでアルカリ性のにおい成分を中和。この2段階でスッキリします。

クエン酸には「混ぜるな危険」の表示があります。クエン酸は塩素系の洗剤と混ぜると有毒ガスを発生させてしまうので、絶対に避けてください。また、大理石や鉄などは酸に弱いので、クエン酸は使わないようにしましょう。

1%のクエン酸水をスプレーする

水200mlにクエン酸小さじ1/2杯を入れて混ぜ、スプレーボトルに入れて使いましょう。2~3週間で使い切ります。水周りにつく水あかや石けんカスに、クエン酸水を吹きつけてぞうきんなどでふき取ります。汚れが固まってしまっていたら、クエン酸パックをしましょう。クエン酸水を吹きつけた後にキッチンペーパーを貼りつけ、さらにスプレーをして10分おくと、汚れが緩んで落ちやすくなります。クエン酸は、残っていると金属がさびたり傷んだりするので、しっかり洗い流してください。

画像: 水アカで曇った風呂場の蛇口。

水アカで曇った風呂場の蛇口。

画像: クエン酸スプレーをかけて拭くとピカピカに。

クエン酸スプレーをかけて拭くとピカピカに。

水を使えない場所の掃除に便利な「アルコール」

除菌のほかにアブラも溶かす

掃除用洗剤として使うときは、35%濃度のアルコール水にして、スプレーボトルに入れると便利です。劣化しにくいので、3ヵ月くらいは使えます。ただし、アルコールで傷つくプラスチックボトルもあるので、「アルコール使用可」のものを選びましょう。水110mlに消毒用エタノール(アルコール分80%程度)を90ml入れて、合計200mlにするのが目安です。

アルコールは消毒薬ですから、除菌やカビ予防の効果が高く、さらにアブラを溶かす作用があります。また、揮発性が高いのもメリット。水拭きができない家電や畳、カビが発生しやすい押し入れの中などは、アルコール水を吹きかけた布で拭くのがおすすめです。パソコンのキーボードやテレビのリモコンは、アルコールを浸した綿棒で、すきまの汚れを取ります。ニスやワックスが塗装された家具や床は、アルコールで拭くとはがれてしまうことがあるので、注意しましょう。また、引火性があるので、火を使っているときは使用を避けてください。

画像: 水を使えないところの掃除に便利。

水を使えないところの掃除に便利。

汚れを落とさなければニオイは消えない

消臭剤や消臭スプレーを常備しているご家庭も多いでしょう。でも、ニオイは汚れのサインです。ニオイの発生源を取り除かなければ、ニオイは消えません。ニオイの原因を確かめて、その元となっている汚れに合った洗剤で掃除をしてください。キッチンのアブラ汚れのにおいなら、重曹や過炭酸ナトリウムでしっかり掃除を。カビ臭さなら、お掃除+除菌を。「冷蔵庫に重曹を置いて消臭剤にしている」という人がいますが、意味がありません。冷蔵庫から悪臭がしたら、腐敗した食べ物がないか、すぐ確認!取り外せるところは外して洗い、外せない内棚の汚れはアルコール水をスプレーして拭き取りましょう。

まとめ

「どんな汚れを落としたいか」を考えると、使う洗剤が見えてきます。そして、汚れに合った洗剤を使うと、簡単にきれいになります。さらに、毎日の掃除で「二度拭き」や「すすぎ」をしなくて済むのは、ほんとうに楽です。掃除が苦にならないので、汚れがたまらず、ベトベトやガチガチになりません。ホコリ取りや水周りの乾拭きをするだけでも、格段に家がきれいになります。特に梅雨の時期は、カビや雑菌も繁殖しやすくなるので、この機会に掃除の仕方を見直しましょう。ナチュラルクリーニングは、短時間で効率よく、楽にお掃除できる方法です。お掃除が嫌いな人や忙しい人にこそ、ぜひ実践していただきたいと思います。



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