【ネタバレあり】Pixivからアニメ映画へ大躍進!「映画大好きポンポさん」シリーズの魅力を追っかけライターが解説

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今回は大ヒット中の劇場アニメ『映画大好きポンポさん』の魅力を、作品公開時からシリーズを追いかけ続けている筆者がお伝えします。2017年に突如として無料公開された本作が書籍化、そして映画化されるまで駆け上がった背景には何があったのでしょうか。後半部ではネタバレありの映画視聴レポートも!

話題作「映画大好きポンポさん」は何がすごいのか?

Pixivから火が付いたシリーズ

2017年4月4日に、ある1本の長編漫画が投稿サイト「Pixiv」で突如として公開されました。

136ページもの大ボリュームで、純粋な1次創作漫画。普通であれば、相当コアな漫画好きの目に届く以上の広がりは無かったでしょう。

しかしながら、この作品はWeb漫画・書き下ろし・ユーザー投稿型・ノンプロモーションという垣根を大きく越え、遂には2021年6月、劇場版アニメーションとして全国各地で上映される運びとなりました。それが「映画大好きポンポさん」です。

pixiv上での閲覧数は80万を超え、投稿漫画では異例の「このマンガがすごい!」「マンガ大賞」といったランキングに次々と顔を出す功績を残しました。それはひとえに、「いかにこの作品が圧倒的な面白さを秘めているか」ということの証左になるでしょう。

「ポンポさん」公開時の興奮は、今でも忘れられません。同人誌即売会でもなかなか見られない圧巻のボリュームながら、無駄も中だるみも感じさせないストーリーテリングの巧みさ。Web漫画というフォーマットを最大限に活かした表現と構成。そして何より、モノ作りへの確かな情熱が込められた、作品全体に通底する熱いメッセージ。その全てが、10年に1度クラスの圧倒的なクオリティに到達していました。

それもそのはず、アカウント「人間プラモ」名義で本作を投稿した作者・杉谷庄吾氏は、アニメーション映像の制作プロダクション・グッドブックに所属する「裏方のプロフェッショナル」だったのです。花々しいアニメーションの世界で堅実な仕事を続けた、映像愛あふれる人にしか作れない見事な内容でした。

#創作漫画 映画大好きポンポさん – 人間プラモのマンガ – pixiv

www.pixiv.net

「映画大好きポンポさん」のあらすじ

凄腕の映画プロデューサー・ポンポさんのもとで、製作アシスタントを務めるシネフィルの青年・ジーン。彼は、人生の全てを映画に捧げる、幸福ながら鬱屈とした日々を送り続けていた。

ある日突如として、予告映像の制作をポンポさんに託されたジーンは、高いハードルを飛び越えるような15秒のプロモーションを完成させる。それを機に、ポンポさんがあるインスピレーションから脚本を書き上げた新作映画『MEISTER』の監督に起用され……。

1作じゃ終わらない!次回作~劇場版と目白押しの展開

以上が「ポンポさん」の大まかなあらすじです。王道なサクセス・ストーリーでありながら、それを一切感じさせない巧みな展開が続き、136ページの重みを忘れてしまうこと間違いなし。それでいて読後の余韻は、まさに名画を1本観た直後のように、しっかりと胸に残ります。

そんな同作は、書籍化と共に「映画大好きポンポさん2」「映画大好きフランちゃん」「映画大好きカーナちゃん」と、全編描き下ろし形式で新作を次々とリリース。今年5月には待望の「ポンポさん3」も出版されました。まさに映画のような制作方法にも注目です!

【ネタバレ注意】ポンポさんを追うライターが映画の魅力を徹底レビュー!

豪華な制作スタッフと声優陣にも期待が高まる

ポンポさんシリーズの勢いは留まるところを知らず、遂には映像化を果たすことに。しかも90分の長編アニメーション映画という、理想的なフォーマットでの公開へ。最初期から追いかけ続けていたファンにとっては、まさに理想の展開です。もちろん、劇場版の制作陣にも勢いのあるメンバーが結集しました。2016年の公開以後、こちらも大きな話題を呼んだ映画『この世界の片隅に』チームが立ち上げた新進気鋭の制作会社・CLAPと共に、豪華スタッフ・声優陣が名を連ねています。

逆に「これで最高じゃなかったら……?」と不安にさえ思ってしまうほど充実した条件を前に、筆者の中で映像化へのハードルは高まるばかりです。考えていても仕方がないので、意を決して観に行きました。以下、ネタバレを含む作品のレビューになります。

ファンの意表を突くまさかの展開

序盤から中盤にかけては原作に忠実かつ、主人公・ジーンの編集シーンを戦闘に見立てるなどのユニークな趣向が凝らされている、納得の出来栄えでした。ここまででも大満足のクオリティで、特に原作のクライマックスを飾るワンカット、奇跡のようなシーンの映像化は見事!と呼べるモノでした。

と、ここまではあくまでも原作ベースで、本作の個性が更に発揮されるのは、やはり後半にかけての「原作に無い」追加シナリオでしょう。登場キャラクターの一人・銀行員のアランを軸に物語は思いもよらぬ展開へ。映画狂・ジーンのワガママによって生じたスケジュールと資金繰りの問題から、大手銀行を巻き込む大騒ぎへと発展していきます。

ただ、この辺りのストーリーは「ポンポさん2」で描かれた”ジーン vs ポンポさん”に着想を得てのことでしょう。しかしながら、視聴時にはそれを思い出すこともなく、ただただ予想外の展開に驚かされるばかりでした…。幸せ…。

「映画の映画」を最大限に活かした展開と、奥底に感じられる確かな愛

作品後半部からは、原作で描かれなかった劇中劇「MEISTER」の細かなストーリーとジーンの姿が重なり合いつつ、物語が動いていきます。ジーンの姿は、劇中劇で描かれる傲慢な「音楽界の帝王」と交差し、それでもなお「映画/音楽が好きだ」と声を揃えてクリエイションへの愛を語る姿には、造り手たちの奥底に宿る激情が感じられます。

カメラワークの一挙動やキャラクターの息遣い一つひとつにも細やかなこだわりが込められており、ラストにかけての怒涛の展開に圧倒されるばかりでした。

とにかく、監督や制作スタッフたちの「原作を超越しよう」という挑戦的な意思が込められた映画です。映画を愛し、アニメを愛し、そして何より原作を愛するピュアなメッセージが、本作の根底を成している要素でしょう。誰か一人でも「好き」の気持ちが欠けていては成立し得なかった、とさえ思える内容でした。

まとめ

以上、つい白熱させられてしまうほど素晴らしい作品に仕上がった「劇場版 映画大好きポンポさん」のレビューでした。「好きを仕事にすること」の恍惚と苦悩については未だ1%程度の理解しか出来ていない筆者でさえ、心をここまで動かされてしまう作品でした。第一線で活躍する表現者の方々がこの作品を目にしたとき、一体どんな気持ちになるのでしょうか?

あらゆる分野で、どんな規模でもいいから、「何かを創った経験」を持つ人と、「何かに取り憑かれたように没入した経験」のある人全員に、一度観て欲しい映画です。

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松島広人(フリーライター)

Webディレクターとしてコンテンツの企画・編集・校正・執筆・SEOを担当する傍ら、フリーランスのWebライターとしても精力的に活動。業種・業界を問わず多数のジャンルを手がける。ポップカルチャー・サブカルチャーにも精通しており、幅広い知識を活かしたライティングを得意とする。

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