『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、現在公開中の劇場公開最新作。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から12年後の宇宙世紀0105年を舞台に、腐敗した地球連邦政府の閣僚を粛正し、人類はすべて宇宙に住むべきと主張する反地球連邦政府運動「マフティー」のリーダー、“マフティー・ナビーユ・エリン”による事件を描いている。シャアの起こした反乱の後、世界はどのように変わったのか。そして、第5世代モビルスーツの登場は、モビルスーツによる戦いをどう変えるのか。

大人になったハサウェイの現実世界との戦い

本作は、少年期に「シャアの反乱」を目の当たりにし、心に深い傷を負いながら成長したハサウェイ・ノアが主人公だ。地球連邦軍のケネス・スレッグ大佐も結婚歴のある大人だし、連邦側、マフティー側ともにモビルスーツのパイロットたちはみな大人だ。ヒロインであるギギ・アンダルシアは十代だが、歴代のガンダム作品で子供がほとんど登場しない物語は珍しい。かつての少年が大人になった。これは視聴者にも当てはまる。その意味で、本作は大人たちによるガンダムと言えるかもしれない。

画像: 主人公であるハサウェイ・ノア。 (C)創通・サンライズ

主人公であるハサウェイ・ノア。

(C)創通・サンライズ

監督は、村瀬修功。『新機動戦記ガンダムW』でキャラクターデザインと、TV最終話のモビルスーツ戦で作画の一部を務め、伊藤計劃の小説を映像化した『虐殺器官』の監督を務めた。『ガンダムW』はガンダム作品として面白さに加え、数多くのキャラクターが魅力的に描かれ、当時少年少女だった視聴者から見ても大人っぽいドラマだと感じていた人は少なくなかったと思う。登場人物たちが、それぞれに葛藤しながら戦う姿を魅力的に描いている。『虐殺器官』は、スパイ映画を思わせるミステリアスな展開と、登場人物たちの会話が実に意味深長で魅力的に描かれている。作画監督

個人的には、そんな監督だからこその本作への抜擢だと思ってしまう。まだ公開中の作品でもあるため、詳しい内容には触れないが、それぞれのキャラクターが実に生々しく描かれ、他愛のない会話のようでいて、相手の思惑や隠し事を探り合っているような緊迫感は、本作の大きな見どころだ。

画像: ヒロインであるギギ・アンダルシア (C)創通・サンライズ

ヒロインであるギギ・アンダルシア

(C)創通・サンライズ
画像: 地球連邦軍大佐のケネス・スレッグ (C)創通・サンライズ

地球連邦軍大佐のケネス・スレッグ

(C)創通・サンライズ

ドルビーアトモス制作によるリアルな音響で宇宙世紀を描く

本作は、最新のサラウンド方式であるドルビーアトモスで音響を制作していることも、大きな話題だ。舞台の中心は地球となるが、冒頭の地球へと向かう往還シャトル・ハウンゼン356便のシーンでは、人々が宇宙で生活している時代を、その音響とともに体感できる。シャトルの内部は無重力のためにシートベルトの着用が欠かせないものの、豪華なラウンジのような作りになっていて、窓の外は宇宙なのに、暮らしのスタイルは21世紀の現代とあまり変わらないというギャップを強く感じさせる。そこに、マフティーを名乗るハイジャック犯が現れシャトルを襲撃するが、ハサウェイの機転で犯人達を倒し、ケネス大佐の助力もあって、危機を乗り切ることができた。ハサウェイとケネス、そしてギギの出会いを印象的に描いた場面だ。

画像: マフティーを名乗るハイジャック犯 (C)創通・サンライズ

マフティーを名乗るハイジャック犯

(C)創通・サンライズ

ドルビーアトモスは、こうしたシーンでもその威力がよくわかる。ハイジャック犯の襲撃前の平和そのものの船内は、政府高官たちの会話が四方から聞こえ、そんなざわめきの中でのケネスとギギの会話も実に明瞭。たくさんの音がありながらも、それらがきちんと整理されてその場所の空気感を生み出していることがよくわかる。ハイジャック犯の銃撃はかなりの迫力で、本物の武器がそうであるように、痛さや怖さを感じさせる音だ。怯えて泣きわめく政府高官や、その家族たちの演技も真に迫っている。架空のSFロボットアニメでありながら、その世界やドラマはリアルを追求している。それがガンダムという作品の凄さだが、そんなガンダムにドルビーアトモスはとてもよく似合う。

モビルスーツ同士の空中戦を立体的に再現

もちろん、ドルビーアトモスの威力はモビルスーツ戦でも存分に発揮されている。ハサウェイらが宿泊しているホテルを攻撃したマフティーのモビルスーツは、人々が逃げ惑う街の中に降り立って戦いを始める。ハサウェイとギギは、まさしくその足元で巨大なモビルスーツの戦いを目にする。単に銃弾やビームが飛び交うのではなく、巨大な質量を持ったモビルスーツが目の前に立ち、目の前を歩き回る。その足音の迫力や、ビルや公園の木々が爆発、炎上し、その音に四方から包み込まれる。これはまさしく恐怖そのもの。それでいて、ビーム・サーベルによって動きを止められたモビルスーツからは、ビームの粒子が飛び散り、モビルスーツの装甲も破断、融解して激しく火花を散らす。このあたりのシーンは、ハサウェイたちの視点で描かれることもあり、まさに体感的な映像と音になっている。

画像: ハサウェイとギギの目の前で繰り広げられるモビルスーツ戦。 (C)創通・サンライズ

ハサウェイとギギの目の前で繰り広げられるモビルスーツ戦。

(C)創通・サンライズ

そして、ついに登場するΞ(クスィー)ガンダムの姿も印象的だ。第5世代モビルスーツは、ミノフスキー・フライト技術によって自由に空を飛ぶことができることが特長だ。同じ第5世代モビルスーツのペーネロペーは、飛行時に独特の飛翔音を立てて飛んでいく。今までのモビルスーツにはなかった姿だ。ガンダムの世界では、空を飛べないモビルスーツは移動用のサブ・フライト・システム(モビルスーツを搭載できる飛行機のようなもの)に乗って移動し、空中戦と言えば自由落下の状態で銃器を撃ち合ったり、格闘するのが精一杯だった。一般の兵士たちの乗るモビルスーツがそのような戦い方をするので、Ξガンダムやペーネロペーの動きの異様さがよくわかる。

画像: 空を飛ぶモビルスーツ、Ξ(クスィー)ガンダム C)創通・サンライズ

空を飛ぶモビルスーツ、Ξ(クスィー)ガンダム

C)創通・サンライズ

自由に空を飛べるだけに、映像でも実に立体的な動きで描かれていて、初見では目が追いついていかないほどだ。無数のミサイルを撃ち合い、それらを迎撃しながらビーム・サーベルで斬り込む戦いも、現実の戦闘機の戦いとモビルスーツ戦がミックスされたような、今までにない凄みがある。そんな目まぐるしいほどのバトルに、ドルビーアトモスが臨場感を与えてくれる。コックピットからの様子はまさに空を飛んでいるようだし、発射される無数のミサイル群の飛ぶ様子も迫力たっぷりだ。

まとめ

続編が楽しみ!BDを見ながら待とう

本作は3部作となっており、次回作の公開が待ち遠しいところ。しかも、劇場では劇場限定版のBlu-ray(劇場先行通常版、劇場限定版)が発売されている。劇場限定版では、本編のBDのほか、171分の映像特典BD、澤野弘之によるオリジナルサウンドトラックCDの3枚組。さらに、小説「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」上巻と、それを朗読した録り下ろしCD(6枚組)も同梱。朗読者は『逆襲のシャア』でハサウェイ・ノアを演じた佐々木望だ。アニメと小説の両方で「閃光のハサウェイ」を満喫できる内容となっている。バトルシーンの迫力はもちろんのこと、ハサウェイの心情やケネス、ギギとの会話や駆け引きも魅力的な作品だけに、何度見ても面白い。ドルビーアトモス環境を整えて、自宅でも存分に楽しんでほしい。

画像: 劇場で販売中の劇場限定版Blu-rayのパッケージ内容 (C)創通・サンライズ

劇場で販売中の劇場限定版Blu-rayのパッケージ内容

(C)創通・サンライズ

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