ハイエンドオーディオ用のイヤホン・ヘッドホン専門メーカー、final(ファイナル)のセカンドブランド、「ag(エージー)」の完全ワイヤレスヘッドホンが大ヒットしています。finalの細尾満社長によると、2019年の発売開始から順調に売れ始め、現在は、final全社の売り上げの4割を占めるまでに達したそうです。「ag」の中でも、2019年にデビューした「TWS03R」は、年間10万台以上も売れています。今年3月に発売した「WHP01K」は、1万円前後価格帯のヘッドホンでは、国内販売シェアの約50%を獲得したといいます。この急成長に細尾社長をはじめ、finalスタッフ皆が驚いているそうです。本欄では、「ag」のエントリー向け最新製品「COTSUBU(こつぶ)」をレビューします。でもその前に、まずはfinal社のとてもユニークな開発の考え方を紹介しましょう。

執筆者のプロフィール

画像: 執筆者のプロフィール

麻倉怜士(あさくら・れいじ)

デジタルメディア評論家、ジャーナリスト。津田塾大学講師(音楽理論)、日本画質学会副会長。岡山県岡山市出身。1973年、横浜市立大学卒業。日本経済新聞社を経てプレジデント社に入社。『プレジデント』副編集長、『ノートブックパソコン研究』編集長を務める。1991年よりオーディオ・ビジュアルおよびデジタル・メディア評論家として独立。高音質ジャズレーベル「ウルトラアートレコード」を主宰。特選街webにて「麻倉怜士の4K8K感動探訪」好評連載中。
▼麻倉怜士(Wikipedia)
▼@ReijiAsakura(Twitter)
▼ウルトラアートレコード(レーベル)

イヤホン・ヘッドホン専門メーカー「final」

finalI(ファイナル)は、先進的なイヤホン・ヘッドホン専門メーカーです。かつては、社名がS’NEXT(エスネクスト)といい、そのブランドが「final」でした。S’NEXT時代に開発したハイエンドヘッドホン、「D8000」は、ヘッドホンの理想と言われた平面磁界型を採用し、またハイエンドイヤホン「A8000」は、夢の振動板素材、ピュアベリリウムを世界で初めて実用化しました。

次元が違う、明らかにハイエンドな音づくりに定評

D8000、A8000、どちらも音質は実に素晴らしく、A8000ではこれほど上質で粒子が細かく、なおかつ生命力に満ち溢れたイヤホンサウンドは聴いたことがなかったです。これまで大小様々なメーカーのイヤホンを聴いてきた私ですが、これは次元が違う、明らかにハイエンドな音と認識しました。

セカンドブランド「ag」とは

そのfinalのセカンドブランド「ag」は、どんな立ち位置なのでしょうか。雑誌『Pen』(2021年8月号「ヒットの秘密」特集<音のよさで大人気、agはこうして開発された>で私のインタビューを受けた細尾満社長は、こう言いました。

EQに頼らない

「完全ワイヤレス時代になり、4年ほど前から業界の受注と発注の構造がすっかり変わつてしまいました。どこでも買えるデバイスやソフトウエアを寄せ集めて、安価にセットをつくり、コンピュータ上のEQ(イコライザー)で望みの周波数特性をデジタル的につくる、オープンな製造方法が急増したのです。すると、これまで『同志』として、こだわりを持って一緒に開発してきた技術力が高い協力企業の受注も大きく減少しました。これはなんとかしなければ…ということで、仲間とタッグを組んで、音質を追求する新ブランドを立ち上げたのです。価格も品質も"ちょうどいいもの"にしたいと考えました。完全ワイヤレスを買おうと思って検索をかけると、訳の分からない有象無象が山ほど出てきます。玉石混交の現状において気軽に買える真っ当なものを出したい。音作りでは、具体的には『EQに頼らない』ことを徹底しています」(細尾社長)

画像: 2019年12月の発売以降、ロングヒットを続けている「TWS03R」。 final-audio-design-directshop.com

2019年12月の発売以降、ロングヒットを続けている「TWS03R」。

final-audio-design-directshop.com

左右独立で無線接続する完全ワイヤレスイヤフォンは、面倒なケーブルを追放し、イヤピースだけを耳に入れればよい便利さが受けていますが、でも、そもそも「音的な条件」はたいへん厳しいのです。小型で軽快な装着感が売りなので、ユニット口径は大きくできないし、小さなハウジングだから、バッテリーも小型に限られ、強力にユニットを駆動できません。帯域が狭いBluetoothでの無線伝送だから、音声圧縮による音質劣化が大きい…と、設計上の制約がとても多いのです。

「ag」ネーミングの秘密

そこで安易に頼るのが、EQです。低域が少ししか出ないのなら、低域を電子的にブースト(増大)、ついでに高域も上げる…という、人為的な音作りをして商品化するところがほとんどです。その結果、強調された不自然な「ドンシャリ音」が横行します。

悪い特性を無理して直そうとするから、より悪くなるという悪循環です。私のところには、多くのメーカー、ブランドから試聴依頼が来ますが、やっぱりこれはEQの掛け過ぎだよ、と判断することが、とても多いです。

「ag」は、違います。「もとから正す」のです。ドライバーユニットの基本特性を徹底的に改善し、構造を見直し、EQに頼らず、決めた周波数のターゲットカープを音響的に実現しようとするのです。

「ありがたし=めったいにない」が由来

「ag」のネーミングの秘密を聞いてみました。

「私が大学で古典文学を専攻していた経緯もあってのネーミング」と細尾社長は言います。それは、古語の「ありがたし」に由来します。日本国語大辞典によると「存在することがむつかしい」の意。万葉集ではここから転じて「めったにない」の意で、平安時代の宇津保物語では「優れている」「立派である」の意で使われています。その思いは、つまり「滅多にない傑作をつくりたい」ですね。そしてもうひとつ、「完全ワイヤレスなのにEQに頼らないなんて、滅多にないこと」なのです。

agの新製品「COTSUBU(こつぶ)」

画像: 「ag」のエントリー向け最新製品「COTSUBU(こつぶ)」

「ag」のエントリー向け最新製品「COTSUBU(こつぶ)」

「ag」の新製品「COTSUBU(こつぶ)」は、冒頭に述べたように、2019年12月の発売以降、ロングヒットを続けている「TWS03R」の後継モデルです。

すべて揃った“ちょうど良い”イヤホン

「音・つながり・使いやすさ、すべて揃った“ちょうど良い”イヤホン」というのが謳い文句です。充電ケースを開けるとペアリングを開始する「オートペアリング機能」や、イヤホンの片側を充電ケースに戻すと自動的に切り替わる「片耳モード」が新しい工夫です。

完全ワイヤレスイヤホンを使用するシーンとして、家事などの作業をしながらの「ながら聴き」が増えています。そこで、音楽再生中に片耳分をケースに戻すと、音楽が途切れずに、残った片耳再生でのモノラル再生に切り替わる、という便利な機能です。

画像: 片方のイヤホンをケースに戻すだけで、音楽が途切れることなく自動的に「片耳モード」に切り替わる。

片方のイヤホンをケースに戻すだけで、音楽が途切れることなく自動的に「片耳モード」に切り替わる。

協業で実現した「COTSUBU」の開発

7つのカラーバリエーションをラインナップしたデザインも可愛い。三回塗り重ねた粉雪塗装もおしゃれですね。さてCOTSUBUは、どのように開発されたのでしょうか。細尾社長に聞いてみましょう。

画像: 皮脂や指紋などの汚れが付きにくいオリジナル表面加工「粉雪塗装」は7つのカラーバリエーション。

皮脂や指紋などの汚れが付きにくいオリジナル表面加工「粉雪塗装」は7つのカラーバリエーション。

7色カラーバリエと新機能の片耳モード

「新しく関係のできた中国のメーカーと一緒につくりました。一方的に仕様書を送りつけるのではなく、双方の担当者が納得のいくまで話し合い、進めました。その具体的な成果の一つが、新機能の片耳モードです。プロフェッショナルどおしが、真剣にやり取りし、新しい機能を共同して実現したのです。こうした設計・製造を自社で行なえるfinalと、実力のあるメーカーとの協業という、agならではの新しいものづくりのスタイルは、今後さらに深めていきたいと考えております」(細尾満社長)

メーカーの強い思いが伝わる「COTSUBU」の音

では「COTSUBU(こつぶ)」の音を聴きましょう。
誠実ないい音ですね。帯域強調によりメリハリを付けるとか、輪郭を強めてはっきり、くっきりさせるという「人為的な仕業」をまったく感じさせない、素直で素晴らしい音です。いわゆるマニア的な音の情報量、解像度やハイファイさとは違う、聴いていて耳に優しい、「生成りの音調」がとても好ましいです。

画像: 生成りの音調がとても誠実で好ましい「COTSUBU」

生成りの音調がとても誠実で好ましい「COTSUBU」

エントリーモデルとして最適

試聴には、カーペンターズの「イエスタディ・ワンス・モア」を使いました。冒頭のピアノがしっとりと気持ち良く奏でられ、カレンの声がクリーンで耳馴染みがよいです。UAレコード合同会社の「情家みえ・エトレーヌ」の「チーク・トウ・チーク」も試してみましょう。冒頭のベースの弾みが心地好く、清潔で誠実なヴォーカルが楽しめます。その温度感には、心がほっこりします。

画像: Qualcomm®QCC3040搭載で安定した接続性能。

Qualcomm®QCC3040搭載で安定した接続性能。

新進気鋭のハイエンドオーディオ用のイヤホン・ヘッドホン専門メーカー、final。そのセカンドブランド「ag」の新製品「COTSUBU(こつぶ)は、「玉石混交の現状において気軽に買える真っ当なものを」という細尾社長の強い思いが、その音から熱く伝わってきました。その価格からは信じられないほどの高品質な音を楽しめる逸品です。エントリーモデルとして特におすすめしたいと思います。

画像: 【final監修】agシリーズ最小・最軽量の完全ワイヤレスイヤホン「COTSUBU」 “音”も“使い勝手”もちょうど良い!
ag COTSUBU(こつぶ)
VGP2021 Summer
コスパ大賞・金賞ダブル受賞
小型・軽量・MEMSマイク付き・リモートワーク推薦 ワイヤレスイヤホン
▼2色の定番色に5色の新色をプラスした7つのカラーバリエーションをラインナップし、本体と充電ケースとも超小型・超軽量を実現。▼新たにタッチ操作に対応した極小ボディはどんな耳穴にも快適にフィットします。▼新機能として、充電ケースを開けただけでペアリングを開始する「オートペアリング機能」や、イヤホンの片側を充電ケースに戻すだけで自動的に切り替わる「片耳モード」を追加。▼そして、音質はオーディオブランドfinalによる高音質仕様。▼毎日聴きたくなる自然な音質です。

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