陶器や磁器、耐熱ガラス、耐熱性のあるプラスチックやシリコン容器などはレンジ加熱に使える。その一方で、アルミやステンレスなどの金属容器や土鍋などの素焼きの器、耐熱性のないガラスやプラスチック、アルミホイルなどは使えない。ここでは、電子レンジに関する疑問をまとめて解説する。
電子レンジ電子レンジにはいろいろな加熱の仕方があるが、温まり方にどんな違いがある?
多機能電子レンジは、通常の「レンジ加熱」のほか、庫内全体をヒーターで熱して温める「オーブン加熱」、庫内上部のヒーターで食材を焼き上げる「グリル加熱」、蒸気で温める「スチーム加熱」、100℃を超える蒸気で焼く「過熱水蒸気加熱」など、さまざまな加熱方法を利用できます。レンジ加熱は、電磁波を用いて食材の水分を沸騰させるため、食品内部まで温まりやすいものの、揚げ物などの衣はフニャフニャになりがちです。
機能レンジの加熱方法の違いを理解して上手に使い分けよう
レンジ加熱
電磁波を用いて食材の水分を沸騰させる方式
オーブン加熱
ヒーターを用いて庫内全体の温度を上げる方式
グリル加熱
庫内上部のヒーターで食材の表面を焼き上げる方式
スチーム加熱
庫内に蒸気を充満させて食材を蒸して調理する方式
過熱水蒸気加熱
沸点を超える高温の水蒸気で食材を調理する方式
これに対してオーブン加熱は、幅広い温度帯でじっくりと時間をかけて食材を温める本格調理向き、グリル加熱は、食材の表面だけを焼き上げるのに向いています。
電子レンジ電子レンジで温めるときはそのレンジの最大ワット数を使ったほうが効率がいい?
電子レンジのレンジ加熱する場合、食品のパッケージなどに表示されている500ワットや600ワットだけでなく、800ワットや900ワット、1000ワットなど、最大ワット数を使うことで、調理時間を短縮することができます。ただし、低いワット数に比べて加熱ムラが生じやすく、特に冷凍食品などは、一部は熱々なのに一部は凍っているといったことも起きやすくなります。
また、例えば1000ワットを使えば500ワットの約半分の時間で調理できますが、最高ワット数は3分までなど、最大調理可能時間が短い場合が多いので、その点も注意が必要になります。そのほか、冷凍した食材を解凍する場合は、ワット数を上げると食材が焼けてしまうことが多くなるため、おすすめできません。
電子レンジ陶器、磁器、ガラス、漆器などで、電子レンジの加熱に向かない素材は?
電子レンジのレンジ加熱する場合、食品のパッケージなどに表示されている500ワットや600ワットだけでなく、800ワットや900ワット、1000ワットなど、最大ワット数を使うことで、陶器や磁器、耐熱ガラス、耐熱性のあるプラスチックやシリコン容器などはレンジ加熱に使えます。一方でアルミやステンレスなどの金属容器や土鍋などの素焼きの器、耐熱性のないガラスやプラスチック、アルミホイルなどは使えません。金箔などを施した陶磁器も、金属部分が電磁波に反応して火花が飛ぶことがあるのでNGです。木製容器も内部に水分を含んでいるため、変形や破損してしまう場合があります。
そのほか、料理のテイクアウトに用いられる発泡スチロール(ポリスチレン)容器は、耐熱温度が低いことから、溶けたり縮んだりしてしまうことがあるため、ほかの容器に移し替える必要があります。
電子レンジ電子レンジで食材を温めるときにラップをするべきかどうか迷う
ラップは料理から出る水蒸気を閉じ込めて温まりやすくするだけでなく、汁やスープなどの飛び散りを防ぐなど、鍋のフタのような役割を果たします。冷凍した食品や冷やご飯、煮物、シュウマイなどの蒸し料理はラップをしたほうがいいでしょう。
そのほか、煮魚やたれのかかった料理、カレーやシチュー、炒め物など、汁が飛び散りやすい料理もラップをして温めるのがおすすめです。一方、ラップをすると水分が逃げなくなるため、焼き魚やフライなど、水分を逃がしてカラッと仕上げたい料理の場合はラップなしがおすすめです。
ラップをかける際は、蒸気の圧力でラップが裂けてしまう場合もあるので、煮物やカレーなどはゆったりとかけるようにしましょう。
◆解説/安蔵靖志(家電・ITジャーナリスト)