9月1日(水)は「防災の日」。これは、1923年9月1日に発生した関東大震災に由来しています。地震だけではなく、近年は大雨や台風による被災も珍しくありません。災害は誰にでも起こり得ること。水道やガス、電気が急に途絶えた場合の備えとして、「パッククッキング」と呼ばれる調理方法をお伝えします。耐熱性のポリ袋に食材を入れて湯せん調理する料理で、作り方はとてもシンプル。災害時だけでなく、日常の時短レシピ、一人暮らしの少量レシピ、キャンプなどのアウトドア料理にも応用できます。今回はまず、必要な道具や調理ポイント、ごはんの炊き方とアレンジを紹介します。

主食と主菜がいっぺんに!炊きこみごはん系アレンジ

熱源も調理道具も限られる災害時は、栄養バランスがとれた一汁三菜の食事を作ることが非常に困難です。そこで、一度の湯せん調理で、主食(ごはん)・主菜(肉や魚のおかず)を食べられる炊きこみごはん系のアレンジを、私のおすすめ順に紹介します。4品ありますが、作り方は同じなので、最後に説明するとことして、まずは材料だけ記載していきますね。

◆アレンジ①参鶏湯(サムゲタン)風おかゆ

《材料》1人分

・米:40g

・水:200g

・チキンささみほぐし肉(レトルトパウチ):1袋(40g)

・卵スープ(フリーズドライ):1食分(手でほぐして入れる)

・にんにく:1かけ(皮をむいて丸ごと使う)

・しょうが:1かけ(キッチンバサミかピーラーで削る)

*卵スープ→わかめスープや野菜スープでも美味しいと思います!

画像: 卵スープのだしを活用するので調味料は不要。

卵スープのだしを活用するので調味料は不要。

◆アレンジ②五目とりめし

《材料》1人分

・米:60g

・水:90g+大さじ1(ひじき戻し分)=105g

・やきとり缶詰(塩味):1/2缶(35g)

・乾燥ひじき・ごぼう・にんじん:ひとつかみ(2g)

・乾燥おきあみ(干しエビ):ひとつまみ(1g)

・和風顆粒だし:少々 *ナシでもOK

*やきとり缶→あさり水煮缶やツナ缶を使っても◎
*顆粒だし、乾燥おきあみ→塩昆布や昆布茶、干し椎茸を使っても◎

画像: やきとり缶は醤油味も美味しいと思います!

やきとり缶は醤油味も美味しいと思います!

◆アレンジ②チキンピラフ

《材料》1人分

・米:60g

・水:90g

・やきとり缶詰(塩味):35g(1/2缶) 

・コーン缶:大さじ3(40g)

・トマトケチャップ:携帯サイズ1袋(12g)

*やきとり缶→ツナ缶や魚肉ソーセージを使っても◎

画像: やきとり缶詰のスープも活用して調味します。

やきとり缶詰のスープも活用して調味します。

◆アレンジ④茶がゆ

《材料》1人分

・米:40g

・ほうじ茶:1カップ(200g)

・蒸し大豆(ドライパック※1):40粒(30g)

・塩昆布:小さじ1(3g)

・梅干し:1個 

*ほうじ茶→ウーロン茶や昆布茶+水でも◎(緑茶は苦味が強く出るかもしれません)
※1)ドライパック=あらかじめ水戻しした素材や軽くボイルした素材をレトルトパウチや缶に詰めて素材に含まれる水分で蒸し上げる製法。水戻し不要でそのままでも食べられる。

画像: 梅干し、塩昆布は炊きあがってから好みで加えても◎

梅干し、塩昆布は炊きあがってから好みで加えても◎

◆作り方(4品共通) 

調理時間:30分(吸水時間を除く)

ポリ袋に米と水(茶がゆはほうじ茶)を入れ、30分吸水させる。先にお米に水分を吸わせてから、後で具材を加えるのがポイント

吸水後のポリ袋に各具材を加え、それぞれ袋の中の空気を抜きながらねじり上げ、袋の上の位置でしっかりと結ぶ。さらに、手で軽くもんで味をなじませる。

画像: パッククッキングなら、4種類のおかゆ・炊き込みごはんを同時に作れます!

パッククッキングなら、4種類のおかゆ・炊き込みごはんを同時に作れます!

鍋の容量の1/2程度の水を入れ、鍋底に布巾または耐熱皿を敷く。食材入りポリ袋(②)を入れ、濡れ布巾をもう1枚覆うようにかぶせ、鍋蓋をして強火にかける。白ごはんと比べ、炊き込みごはんは具材の量が多いので、上からも濡れ布巾をかぶせ、さらに鍋蓋をすることで湯せん+蒸らし効果を高める

画像: 吹きこぼれやすいので、火のそばから離れないでください。

吹きこぼれやすいので、火のそばから離れないでください。

沸騰したら鍋蓋を少しずらし、火加減を中火〜弱火にして20分間加熱。火を止めてきちんと鍋蓋をして10分間蒸らす。トングなどでポリ袋を取り出し、結び目を外し、盛り付ければ完成!

画像: 左上から時計回りに、五目とりめし、茶がゆ、参鶏湯風おかゆ、チキンピラフ。

左上から時計回りに、五目とりめし、茶がゆ、参鶏湯風おかゆ、チキンピラフ。

どれも美味しく炊き上がり、家族に特に大好評だったのは、参鶏湯風おかゆ。ショウガとニンニクの風味が、ほのかに口の中に広がり、ニンニクのホクホク加減も絶妙でした。長引く避難生活で風邪を引いたり、体調を崩したときに食べると元気が出そうです。

【番外編】湯せん調理の麺料理は難易度が高め

実は、主食+主菜が兼ねられる湯せん調理として、パスタ料理にも挑戦しました。①乾燥パスタ+スープ+具材を全てポリ袋に入れて湯せん調理、②水漬けパスタで柔らかくしてからスープと具材を加えて湯せん調理、③麺と水・スープと具材を別々に湯せん調理。以上の3パターンを試したところ、一番美味しく感じたのは③でした。ですが、①②③とも、洗い物をなくす前提でパスタを茹でこぼさなかったため、粉っぽさが口の中に残り、納得できる仕上がりになりませんでした。引き続きトライ&エラーを重ね、いつかパッククッキング続編として、パスタやうどんなどの麺料理をご紹介できたらと思います。

画像: おいしい茹で加減に至らなかったパスタ料理。改めて、リベンジしたいです!

おいしい茹で加減に至らなかったパスタ料理。改めて、リベンジしたいです!

まとめ

最後に、パッククッキングのポイントをおさらいしましょう。

◆耐熱性(100℃以上)のポリ袋を必ず使う

◆食材を入れたポリ袋の中の空気を可能な限り抜き、しっかりと結ぶ

◆炊飯は水から入れて沸騰させ、吸水・加熱・蒸らし時間を守る

調理方法はシンプルですが、普段の料理とは勝手が異なるため、家族人数に合う鍋の大きさや湯せん水の量、カセットコンロに応じた湯せん調理の火加減など、平時に何度か作ってみてコツをつかむことをおすすめします。

次回は、パッククッキング実践レシピの後編として、おかず・おやつ編をお伝えします。また、前後編の総括として、災害に備えたストック食材についても触れたいと思います。

※参考文献:松本仲子監修『調理のためのベーシックデータ 第5版』女子栄養大学出版部,2018年、下村道子・和田淑子編著『新調理学』光生館,2018、公社日本フードスペシャリスト協会編『調理学 第2版』建帛社,2020

文◆ 野村ゆき(栄養士・編集ライター)
編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題にかんする情報を中心に分かりやすい記事をお届けします。私がパッククッキングを初めて知ったのは、栄養士養成校の給食実習。コロナ禍の映像学習のみで実践はできなかったため、今回の挑戦で多くの発見がありました!

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